COVID-19最前線で活躍する女性 達の声:第3話 ルナ・ジャ医師、ネパール国立公衆衛生研究所

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2020年5月11日

2020/4/13

    オフィスのルナ・ジャ医師(写真:本人提供)

私の視点:「娘を抱きしめたい。両親の面倒をみたい。でも新型コロナウイルス感染症から、家族や多くの人の命を守るには、我慢が必要です」

ルナ・ジャ医師(42歳)は、ネパール国立公衆衛生研究所の主任病理医兼所長です。国立公衆衛生研究所は、ネパール国内277か所にある政府の試験所と連携しており、ネパールで唯一新型コロナウイルス感染症検査の実施が認可されている研究所です。ジャ医師と67名のチームメンバーは、新型コロナウイルス感染症対策の最前線で非常に重要な役割を担っています。

全ては175名のネパール人留学生が中国の武漢から帰国した日に始まりました。飛行機は2月15日に到着し、翌16日に彼らの隔離施設に足を踏み入れたのは、私たちが最初でした。
検体採取に当たり、チームメンバーには一切ためらいはありませんでした。まだ21歳と若いメンバーや、家に赤ちゃんがいるメンバーもいましたが、チーム全員心の準備はできていました。その夜は徹夜で働き、翌日には無事175人分の検査報告を揃えることができました。
私たちは、その日から新型コロナウイルス感染症の検体検査に追われ、通常業務を全て止めざるをえないような非常に厳しい状況の中にいます。他の国々には、確立された研究所があり、感染症の研究に人生のほとんど全てをかけてきた研究者たちがいますが、ネパールではそのような研究所も、経験豊かな研究者も限られています。そのような中、私たちは必死に頑張っています。
1日に60から70の検体が届きます。しかも、いつ届くかわかりません。そのため日々夜遅くまで働かざるをえません。
所長の私も、研究所に夜遅くまでいることが普通となり、技術的な仕事に加え、普段は行わない移動・運搬や食事の手配など、チームの支援もしています。とても困難な局面だからこそ、チームを励ます必要があります。元気がないように見える人にはいつも話しかけて「あなたたちの安全が一番大切です」と伝えるようにしています。
私個人の生活も一変しました。娘と夫はカトマンズの研究所から遠く離れた故郷のジャナクプルに行かせました。それ以後、私はアパートで一人暮らしです。
両親はわずか2kmほどのところに住んでいるので以前は週3回会っていましたが、もう3週間も会っていません。
娘が電話をかけてきて「お母さんに早く会いたいよ」と言ってくれますが、私は、どんなに家族に会いたくても、それが命にかかわる恐れがある以上、距離を置くことが絶対に必要だと思っています。
母も電話で「会いに来て。私たちは、もう十分歳をとっているから、感染のことは心配しないで。ただ顔を見られればそれでいいの」と言います。
娘を抱きしめたい。両親の面倒をみたい。でも新型コロナウイルス感染症から家族や多くの人の命を守るには、我慢が必要です。

世界全体をみると、女性は保健・福祉分野で働く労働者の70%を占めていて、新型コロナウイルス感染症対策の最前線にいます。ルナ・ジャ医師と彼女のチームも、ネパールの新型コロナウイルス感染症対策の最前線で闘っています。ジャ医師は、個人の犠牲と現場の懸命な努力についてUN Womenに語り、社会の支援を求めています。

(翻訳者:外山 宗博・実務翻訳スクール)

国連ウィメン日本協会からの緊急支援のお願い
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国連ウィメン日本協会
理事長 有馬真喜子

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