国際ガールズ・デー 今知ってほしい、先頭に立って活動している次世代の少女たち
2020年11月5日
2020/10/8
世界各地で、少女たちが変化を起こしています。社会的・人種的平等をめざす活動の最前線に立ち、声を上げています。気候変動対策にまったなしで取り組むことや、地域社会、国、またそれよりも広い範囲における意思決定の場への参加権を要求しています。
今年の国際ガールズ・デーのテーマは「 私の声、私たちの平等な未来」です。私たちがめざす世界、私たちが手にして当然な世界を作ろうと世界各地で活動する少女たちの姿を大きく取り上げています。少女たちの権利、声、才能、夢。これらは私たちがめざす世界の土台です。
今皆さんに知っていただきたい、世界を変えようと奮闘している8人の少女を紹介します。
ジュリエッタ・マルティネスさん チリ
「私たちに直接影響する問題について、その解決策がなかなか生まれないことをもどかしく思っています。危機感の欠如や政党間の対立による政治の停滞に人々は不信感を抱き、問題の解決は遠のきます。単に少女のための解決策があればいいというものではなく、それを少女とともに作っていくことが大切です。変化を生み出す場面では、私たちは観客ではなく主人公でありたいのです。」
17歳のジュリエッタ・マルティネスさんは、気候とジェンダー平等に関して活動しており、少女と若者をエンパワーする団体を設立しました。大きな協働プラットフォーム(Tremendas Collaborative Platform)は、地域社会で若者が影響を与えることができるように取り組んでいる団体です。環境、インクルージョン(多様性のある包括的社会))、ジェンダー、健康、福祉、教育といった主要な世界規模の問題、そして地域の問題に若者たちを取り込んできました。ジュリエッタさんはまた UN Womenの平等を目指す全ての世代のためのユース・タスクフォース のメンバーです。北京宣言及び行動綱領は、女性の権利とジェンダー平等に関する最も包括的な国際合意です。ユース・タスクフォースは、この北京会議25周年の対話とレビュー・プロセスで若者が中心的な役割を果たせるように組織されました。
ラティファトゥ・コンパオーレさん ブルキナファソ
「毎年多くの少女がFGM(女性器切除)の犠牲になっています。これは、私と同世代の少女が経験した非道な慣習です。少女たちは苦しみ、そしてその苦しみは一生続きます。FGMをなくすために共に戦いましょう。私は生涯この主張を守り通します。」
14歳のラティファトゥ・コンパオーレさん(ラティさん)は、抵抗の精神を母親から学びました。ラティさんの母親は女性器切除を受け、またそれが原因で亡くなった少女の姿を見て、自分の娘の安全と健康を決して犠牲にはしないと誓いました。母親の話を聞いたラティさんは活動を開始し、FGMの廃止を要求する声を上げました。歌手としての才能を生かし、歌でFGMの有害性を広く訴えています。2018年、UNFPA(国連人口基金)はラティさんをはじめとした少女活動家たちをたたえました。皆、この有害な慣習をなくすために活動しています。
グレタ・トゥーンベリさん スウェーデン
「あなたたちは私たち若者に希望を求めて近づいてきます。よくそんなことができますね。あなたたちは、うわべだけの言葉で私の夢や子ども時代を奪いました。それでも私は幸運な方です。人々は苦しんでいます。人々は亡くなっています。生態系が破壊されつつあります。」
この16歳の活動家は2019年、気候変動に関する世界的な運動の顔になりました。 グレタさんの活動は、将来世代のために地球を守る行動をするべきだと訴えて、学校に行かずスウェーデン議会の前で座り込みをしたことから始まり、その後、世界的なストライキへとつながりました。2019年9月、グレタさんは国連気候変動サミットで演説をするために、CO2を排出しないヨットで大西洋を渡り、ニューヨークに到着しました。演説では行動を起こさない世界のリーダーたちを非難しました。
サマイラ・メフタさん アメリカ
「ジェンダー平等のために声を上げようとする人が増えています。皆が一丸となって行動したら、もっと大きな影響を与えることができるでしょう。私の世代とそれに続く世代は、こうした話し合いの場で重要な役割を果たすことができます。私たちには新しい視点やアイデアがあるからです。私たちの声を届けることができたら、この先どれほどの可能性が開かれるかわかりません。」
サマイラ・メフタさんはわずか11歳ですが、コーダーバニーズ社の創設者兼CEO(最高経営責任者)です。Coderbunnyz と Codermindzという2つのボードゲームで、 子どもたちにコンピュータープログラミングと人工知能の概念を教えています。また、2030年までに10億人の子供にSTEM (科学・技術・工学・数学といった理系分野の教育)とコーディングツールを学んでもらうことをめざした「Yes, One Billion Kids Can Code」活動の発起人でもあります。サマイラさんは今年、 UN Womenの平等を目指す全ての世代のためのキャンペーンに賛同し、 STEMにおけるジェンダー格差をなくす方法についてのヒントを教えてくれました。
ミリー・ボビー・ブラウンさん イギリス
「世界のどこかでまさに今、思春期の少女がオンライン上で暴力を受けています。彼女はおびえ、弱い立場にあり、孤独を感じています。そんな少女たちに次のメッセージを送ります。あなたは一人ではありません。あなたのことを気にかけている人がいます。助けを求めれば話を聞いてくれる人がいます。あなたには意思表示をする権利があります。」
人気ドラマ「ストレンジャー・シングス」のイレブン役で知られるミリー・ボビー・ブラウンさんは、子どもの権利を強く擁護しています。ユニセフの親善大使として、世界各地の子供たちが直面している教育や安全な場所の不足、暴力や虐待、貧困の影響といった問題に人々の関心を集めるために、俳優という自身の立場を生かして発言しています。
ネハさん ネパール
「国際ガールズ・デーが近づいてくる一方で、たくさんの少女がオンライン上でハラスメントにあっています。子どもは自分の食事を作ることはできなくても、SNS のアカウントの設定方法は知っています。オンライン上でハラスメントを受けても、もっと強力な通報システムがあればソーシャルメディアの会社は行動を起こしてくれるでしょう。ソーシャルメディアのプラットフォームは、私を含めた少女たちにとって安全な場所であるべきです。私たちはできるだけ大きな声を上げて、若者たちに呼びかけなければなりません。」
ネパール・カトマンズのスラム街で育ったネハさんは、少女の権利やジェンダー平等に関する活動家です。子どもの人身売買からジェンダーに基づく暴力まで、さまざまな問題に取り組んでいる地域社会の少女や若者のクラブで活動を始めました。現在、プラン・インターナショナル の国際的な若者のインフルエンサーとして、草の根運動にかかわっており、またカトマンズ盆地にある10カ所の大きなスラム街で活動する少女たちを結びつけているネパール女性団結協会(Mahila Ekta Samaj)の少女ネットワークのリーダーです。さらに、ネパールのラジオ番組#CoolKids.comのパーソナリティーとして、少女に対するオンライン上の性的搾取やハラスメントに関する意識向上に努めています。国際ガールズ・デーに先立って、ネハさんはUN Women とプラン・インターナショナルが主催した デジタル青年運動の会議に参加しました。
ジャコンバ・ジャビーさん ガンビア
「教育は少女にとって特に重要です。自分に自信を持ち、才能を発揮し、権利を主張することができるようになるからです。教育を受けなければ、自分の権利や義務を知ることができません。すべては教師のかかわりから始まります。将来何がしたいのかと尋ね、少女が医師になりたいと答えたなら、『でもあなたは女の子でしょう』とは言わず、『あなたならできる』と言うべきです。」
ジャコンバ・ジャビーさん16歳は、ガンビアで特に科学技術の分野に関して すべての少女が教育を受けられるようにするべきだと訴えています。少女が技術やイノベーションを学び、関連する職業を志すことを良しとしない風潮があることを知ったジャコンバさんは、学校にロボット工学のクラブを作り、活動を始めました。航空宇宙エンジニアをめざす彼女は、STEMを学習したいという少女たちの励みとなる存在であり、少女が極めて少ないこの分野において、少女に活躍する機会を与えることの大切さを常に力説しています。2019年、ジャコンバさんは第63回国連女性の地位委員会で、UN Women が主催した女性と少女のための法律における平等についてのサイドイベントに参加し、自身の経験を語りました。
ソフィア・スカーレットさん ルーマニア
「私はルーマニアで活動しているたくさんの若い人たちから刺激を受けています。自分のアイデアに自信を持ち、自分が育った地域社会を変えたいという希望を持っている人たちです。私たちの多くは大きな夢など持つものではないと言われてきましたが、自分の力で変化は起こせるし、リソースは限られていても大きな影響を与えることができると気づき始めていると思います。」
ソフィア・スカーレットさんは、ルーマニアの17歳の学生です。彼女はルーマニアで初めてのティーンエイジャーのためのジェンダー平等団体「ガール・アップ」を創設しました。ドメスティックバイオレンス、性的暴力、人身取引の防止を通してジェンダー平等を進める活動をしています。また包括的な性教育の実践を強く訴えており、ジェンダーに基づく暴力による未成年の被害者に対する法的支援を推進しています。2020年10月、ソフィアさんがUN Womenの平等を目指す全ての世代のためのユース・タスクフォースの新しいメンバーになることが発表されました。
(翻訳者:早乙女由紀・実務翻訳スクール)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会