世界人権デーにルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の偉業と人生をたたえる女性リーダーと法律専門家たち

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2021年1月26日

2020/12/10

UN Womenは、2020年国際人権デーに開催された、世界の著名な指導者、法学者、専門家を集めたハイレベルな討論会に、「平等を目指す全ての世代」(Generation Equality) のためのキャンペーンリーダーの一員として参加し、ハーバード大学ロースクール法曹センター、スタンフォード大学ロースクール法曹センター、そしてペンシルベニア大学キャリー・ロースクールとともに、ルース・ベイダー・ギンズバーグ米連邦最高裁判事が遺した世界的な遺産に敬意を表しました。

UN Womenとそのパートナーたちは、2020年国際人権デーに、各国の女性リーダーと法律専門家による世代を超えたハイレベルなオンライン交流会を開き、ギンズバーグ判事の取り組みが法の下の平等、人生における平等に与えた変革的な影響について回想しました

イベントのオープニングを飾ったのは、世界的なオペラ歌手デニラ・コールマンによる、オペラ「リゴレット」からジルダのアリアの歌でした。

最初のセッション「公的生活における平等-法と人生に変革を起こす女性リーダーの役割」では、国連事務次長を務めるプムジレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長が、全ての法科大学院でジェンダー平等教育を提供するよう訴えました。「私たちが活動する多くの国で、裁判官や検察官と仕事をすると、そのような人々がなかなかジェンダー的な視点を持つことができないということに気づきました。法務を通じてジェンダー平等を支援する力を十分に身につけた人材を輩出していただくようお願いします」。

ハーバード大学ロースクール法曹センターのディレクターであり、法曹グローバル・イニシアチブ学部の副学部長でもあるデヴィッド・ウィルキンス氏は、次のように付け加えました。「法律家を指導者として教育する必要があります。指導者になるには、今日の世界に蔓延している人種、ジェンダー、不平等に関する根深い構造的問題に取り組むことは自分の責務であるということを法律家が自覚しなければなりません」。

セッションの司会を務めたペンシルベニア大学ロースクールの「世界リーダーシップ・プロジェクト」のディレクターであり、ハーバード大学ケネディスクールの「女性と公共政策プログラム」(2019~2021)のリーダーでもあるランギタ・デ・シルバ・デ・アルウィス氏も、全ての裁判官が国連女性差別撤廃条約(CEDAW)や他の人権問題に関する手段を利用することを求めました。

セッションの参加者たちは、完全に平等な社会に向けてさまざまな条件を変革する上で、法曹界における女性リーダーがいかに決定的な役割を果たすことができるかについて考察し、講演者たちは、ジェンダー平等の追究においてギンズバーグ判事が世界中の法律専門家に与えた影響の深さについて語りました。

「何を擁護するかだけでなく、何を擁護するために立ち上がるかが重要だということを、ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事は思い起こさせてくれます」と、カナダ最高裁判所のロザリー・アベラ判事は述べました。

南アフリカの最高裁判所のシシ・カンペペ判事は、ギンズバーグ判事が南アフリカの最高裁判所に与えた影響について述べながら、アベラ判事の言葉を次のようにわかりやすく説明しました。「ギンズバーグ判事は、その判例と生き方を通じて平等な社会への道を拓きました。彼女のような先駆者たちのお陰で、ジェンダー平等は、彼女が初めて法曹界に足を踏み入れた時と比べると、もっと身近な現実になりました」。

コロンビア大学ロースクールのジリアン・レスター学部長は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって露呈し、一層拡大しつつあるジェンダー不平等との関連で、労働者としての女性の平等の重要性について語りました。「これからも、女性に課せられている無償の家事労働という頑強で不平等な負担を変えるために闘い続けなければなりません」。

公民権団体であるライズのCEOであり創設者であるアマンダ・グエン氏は、自身の#MeTooストーリーを紹介しながら次のように述べました。「自分の身に起きた辛い現実を取り上げて法に訴えることは昔からよく行われています。ギンズバーグ判事は、ライフワークとしてそれに取り組み、私と同じような経験をした人に自分の権利を行使する道を拓いてくれました」。

2つ目のセッション「法の下の平等-フェミニスト的法解釈で公的・私的領域における平等を促進する」で司会を務めたのは、アメリカ自由人権協会(ACLU)の法律専門家でギンズバーグ判事の孫娘でもあるクララ・スペラ弁護士でした。この国境をこえた討論会では、世界各国での教訓やエピソードを紹介し合い、ギンズバーグ判事の先駆的な法戦略、特に、包括的で実質的な平等を目指した司法判断をするために、合衆国憲法の範囲を最大限に解釈することを重視したことについて考察しました。

セネガルの元首相(2013~2014)であり、平等を目指す全ての世代のためのキャンペーンリーダーの1人でもあるアミナタトゥーレ氏は、次のように主張しました。「国と政府は、自分たちが署名した内容に対して責任を負わなければなりません。国連女性差別撤廃条約(CEDAW)に署名し、憲法にも規定があるのですから、それを適用して法律を通過させ、議員の半分を女性が占めるようにしなければなりません」。

他方で、スタンフォード・ロースクール法曹センターのディレクターでボラ・ロード氏は、女性議員の数を増やすことで、逆に平等への進展の後退が隠れてしまう恐れがあるとして、「女性がエンパワーすることは、女性を権力のある地位に置くことと同じではありません」と警鐘を鳴らしました。

ギンズバーグ判事が次に続く世代に与えてきた影響に思いをはせながら、クララ・スペラ弁護士は、次のように強調しました。「祖母が法科大学院に入学した時、クラスメートの中で女性はわずかに9人でした。でも私の時は、クラスの半分は女性でした。祖母や祖母と同じ年代の女性がなんとか大学院の門戸をこじ開け、私の母の世代が扉を開けておいてくれたので、私はその扉からすんなりと入ることができました」。

イベントには、世界中から1500人を超える視聴者登録があり、最後はグローバル・クリエーティブ・イニシアチブのマーシャ・ブロツカヤによるNexVoxの脳波音楽「脳との即興デュエット」で締めくくられました。

イベントの動画はこちらから:Women leaders and jurists honour the work and life of Justice Ruth Bader Ginsburg on Human Rights Day | UN Women – Headquarters

法の下の平等、人生の平等:ルース・ベイダー・ギンズバーグ氏をたたえて

UN Women

平等を目指す全ての世代のためのキャンペーン

(翻訳者:松本香代子・実務翻訳スクール)

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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