緊急支援から生計維持サポートへ、UN Women、COVID-19(新型ウイルス感染症)の影響に苦しむ女性・少女に投資を促進
2021年6月14日
2021年6月1日
「家庭であれ、医療センターであれ、学校であれ、介護施設であれ、人々を繋いで社会をまとめていく責任はいつも女性の肩にかかっています。しかもこれは増え続けているのに無償の仕事なのです」とUN WomenのインドのNGOパートナーの一つ、ニューデリーのチャイタニア財団のミタ・ロンカー氏は説明しています。これらのNGOは、国がCOVID-19の第2波と闘う中で、女性やその家族に欠かせない支援をしています。
「パンデミックの最前線にいるのはほとんど女性で、女性向けの研修、健康管理、教育を必要としています」とロンカー氏は付け加えました。「女性達はとくに経済的に弱い立場に置かれています。男性と比べ、個人的財政基盤は弱く、労働市場でも不安定な立場におかれています」
2020年1月以来、インドのCOVID-19感染者は2700万人に昇り、死者も30万人以上に達しています。しかもこの数字は低すぎると多くの人々が思っているのです。感染者数が増えるにつれ、病院では、ベッド、酸素、薬が足りなくなり、ワクチンも欠乏し始めました。先週、サイクロン・ヤスが上陸して、海岸沿いの地域は大規模な洪水に見舞われ、多くの避難民が生まれました。
この危機の規模はかって類を見ないもので、そのたびに繰り返されることではありますが、女性・少女、特に貧困で取り残されたコミュニティが最も大きな被害を受けました。少なくとも7つの州の統計によると、COVID-19感染者の34-42%が女性でした。食料、個人用防護具、衛生/生理用品、ワクチンなどの必需品からより長期的に必要な、女性が労働市場に戻って起業したり、起業融資にアクセスしたりする時の支援まで、ニーズは急を要しています。
世界的に見て、COVID-19は女性の失職を誘発しました。インドも例外ではありません。パンデミック以前でさえ女性の労働市場参加率は減る傾向にあり、女性の報酬は男性の5分の1で、世界平均を大きく下回っていました。非正規セクターでは状況はさらに悪いのに、インドの91%の女性が非正規か家内工業に従事しているのです。インドの女性が無償の家事労働に従事している時間は男性の10倍です。パンデミックが猛威を振るう中、多くの女性は家族の世話をするために有償の仕事を辞めなくてはなりませんでした。
チャイタニア財団は、2019年以来UN Womenと協働でインドで「学びなおし」プログラムや職業訓練を実施しており、これには5万人もの女性が参加しています。このプログラムは、研修を修了した女性たちの就業チャンスを増やし、少額設備投資が必要な小規模企業を支援しました。小規模企業のローン申請はパンデミック中には断られていたのです。
危機は、ロンカー氏や彼女のチームに、社会が女性の仕事をどのように評価して報酬を払っているかを精査しなくてはならないことを教えてくれました。
UN Womenインド所長のスーザン・フェルグソン氏は、それに同調して「家であれ、オフィスであれ、畑であれ、女性の仕事を当たり前と思うことを辞めなくてはなりません。そして、女性・少女の教育機会を広げることも必要です」と述べています。
フェルグソン氏は次のようにも述べています。「UN Women インドにおける『学びなおし』プログラムは、就業機会を提供しながら、最前線の医療従事者への研修を実施することで、パンデミックからの復興と女性のキャリア向上機会提供に同時に取り組んでいくという良い例です」
現在、UN Womenとインドのパートナー団体は最前線で対応している医療従事者にマスク、手袋、個人用防護具を提供し、COVID-19対応している医療従事者を研修し、女性の生計プロジェクトを支援し、生活に困窮する女性に現金を配布しています。既存の不平等が根強く良く残る中で増大するジェンダーに基づく暴力のリスクを軽減するため、UN Womenは、ワンストップ危機センターのスタッフ、カウンセラー、ソーシャルワーカーを研修しています。ワンストップ危機センターでは、女性被害者が一連の包括的サービス、医療的配慮、法的支援を受けられ、緊急シェルターも利用できます。
UN Womenはこのようなイニシャティブを維持し、さらに広げていくために緊急資金を必要としています。現場で活動している女性団体にとって、もう一つの懸念は情報へのアクセスです。「女性の発達・エンパワーメントは質の良い情報を手に入れられるかどうかにかかっています。情報は私たちの日常生活のあらゆる分野に入り込んでいます。それでいて女性のほとんどは、適切、正確、タイムリーな情報にアクセスできていません」とチャイタニア財団のミタ・ロンカー氏は指摘しています。COVID-19やワクチンの誤った情報が広まっており、正しい情報が得られないと女性が致命的な結果に苦しむことになります。
UN Womenは市民社会やユースグループと手を組んでコミュニケーション能力向上に取り組み始めました。正しい情報へのアクセスを高め、誤報と闘い、女性のCOVID-19予防やワクチン接種の知識を高めるためです。このほか暴力から逃れてきた女性が医療サービス、緊急宿泊施設、保護命令にアクセスできることも目指しています。
(翻訳 本田敏江 理事)
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