あなたの疑問にお答えします:インドの女性とCOVID-19 (抄訳)
2021年8月10日
2021年7月27日
インドのCOVID-19第2波は前例のない数の死者を生み出しました。貧しく、疎外されている女性・少女は経済的ショックを吸収したり、健康危機を軽減したりするすべを持たないため、より大きなリスクにさらされています。彼女たちは、第3波の脅威の中で家族の世話をし、生計を維持し、パンデミックと闘っています。
UN Womenと保健分野の専門家が、COVID-19やそれがインドで女性・少女にどのような影響を与えたかについてのよくある質問に答えています。以下ご覧ください。
女性・少女は男性よりCOVID-19に感染するリスクが高いのですか?
インドでは3千万人の人がコロナウイルスに感染しています。COVID-19はすべてのジェンダー、年齢の人たちに感染しますが、女性・少女には感染のリスクがより高いのです。なぜなら、彼女たちは貧しくて、情報やリソースへのアクセスがなかったり、医療サービスの最前線で介護者として働いていたりするからです。
インドでは、医療従事者の多くが女性で、看護師や助産婦の80%以上が女性です。それなのに意思決定の場で役割を果たすことが出来ておらず、報酬も男性に比べてかなり少なくなっています。女性は、国のCOVID-19タスクフォースのわずか13%しか占めていません。
インドでは女性が子供、高齢者、病人の世話にあたることが多く、しかも個人用防護具がしばしば男性サイズで作られているため、女性は男性よりウイルスにさらされるリスクが高いと思われます。
現在、インドでは男性に比べ女性の接種者が少ないというのが懸念材料になっています。男性は女性より17%も多く接種を受けています。女性はインターネットやスマホへのアクセスが少ないためもあって、接種の予約が出来ていないのです。また父系社会の規範がいきわたっているため、女性は一人で接種会場に行けないのかもしれません。またワクチンは女性の出産を危うくするなどの社会的通念もあります。新型の変異株が広がる中、接種を受けていない女性は感染の高いリスクを負うことになります。
COVID-19はインドの女性の雇用にどのような影響を与えたのでしょうか?
男女の賃金格差や無報酬のケアの重荷によって、多くの女性が仕事を失って貧困に追い込まれました。インドではパンデミック以前でさえ、女性は男性の5分の1の収入しか得られていませんでした。アジム・プレムジ大学持続可能な雇用センターの最近の報告書によると2020年の最初のロックダウン中、男性は7%しか仕事を失わなかったのに、女性は47%も失業しています。非正規セクターでは、女性の立場はさらに悪くなっています。2021年3月―4月中、地方の非正規分野で働く女性の失業は全失業の80%を占めています。
インドの女性は無償のケアワークに男性より多くの時間を費やしています。平均して、男性の9.8倍の家事をこなし、毎日4.5時間を子ども、高齢者、病人の世話に費やしています。パンデミックの間に彼女たちの無償ケアワークは約30%も増えました。
このような状況は、女性をターゲットにした政策やアクションを取らない限り、女性・少女に長期に渡る社会経済的影響を及ぼします。ここには、女性の大量離職が長く続きジェンダー平等を後退させるだけでなく、GDP成長率も鈍化させるというリスクもあります。UN Womenのデータによると、パンデミック中に少年より少女の方がより多く学校をやめ、調査に協力した親の65%は少女の教育を続けさせることに消極的で、節約のために児童婚に頼りがちです。これは多くの若い女性が教育を受けられず、就業の機会も持てない状況を作り出します。
インドでCOVID-19は女性に対する暴力を増加させましたか?
COVID-19ロックダウンによって女性は虐待者と一緒に家に閉じ込められることになり、世界的に見てもドメスティックバイオレンスは急増しました。インドでは、パンデミック以後数か月でドメスティックバイオレンス、児童婚、サイバーバイオレンス、女性・少女の人身取引が増加したと報告されています。全国女性委員会のデータによると、インドでは、2020年2月―5月の間にドメスティックバイオレンスが2.5倍増えています。女性がプライバシーを確保できないため助けをよべず、暴力の被害を訴えられなかったという報告もあります。
インド政府はドメスティックバイオレンスの支援やシェルターを「必須サービス」と位置付けています。これはCOVID-19対応においては重要なステップです。第1波、第2波中、700のワンストップ危機センターはずっと開いており、虐待されてシェルター、法的支援、治療が必要な30万人の女性を支援しました。
COVID-19に感染して回復した人はワクチンを打たなくてもよいのでしょうか?
インドでは2021年7月19日現在、人口の6.2%がワクチンを2度接種、17%が1度接種しています。しかし、接種率は減少しつつあり、現在1日の接種回数は4百万回です。
世界の主要保健機関によると、COVID-19から回復した人でもまた感染することがあります。感染で獲得した身体の自然免疫力がどのくらい持つのか、あるいは他の変異株から守ってくれるのか、十分なデータは存在していません。したがって、COVID-19に感染した人でもワクチンを打つ必要があります。
COVID-19ワクチンは妊婦や生理中の女性にとって安全ですか?
生理中、妊娠中、あるいは授乳中の女性にCOVID-19ワクチンが有害な副作用をもたらすかどうかについて現在のところまだ明確な証拠はありません。COVID-19が生殖能力に問題を起こすかについても何の証拠もありません。ただ実際のところ、妊娠中に感染するとCOVID-19症状が重くなるリスクがあります。
WHOは、授乳中の女性がワクチンを接種しても安全であること、母乳によってCOVID-19のウイルスが感染したという例はないことを確証しています。抗体は母親から子供に移るので、ワクチン接種した授乳中の母親は、赤ちゃんをある程度保護できています。
COVID-19予防やワクチンについてもっと詳しい情報が必要な方は、WHO ウェブサイトをご覧ください。
インドのCOVID-19危機のなかで、私たちはどのように女性・少女を支援できるでしょうか?
現在のジェンダー規範や不平等のため、危機はどんなものでも女性、男性に違った影響を与えます。COVID-19危機から良い社会の復興(Build Back Better)を遂げるためには、女性・少女をターゲットにした投資とアクションが必要です。
UN Womenは、政府や現地の草の根組織と協力して、食料、女性用個人防護具、現金などを提供しています。 また、UN Womenは様々なプログラムを実施し、遠隔学習によって女性が教育や職業訓練を受けて、就業や起業につなげられるようにしています。またUN Womenは、各国のパートナーと協働して、COVID-19が原因でジェンダーに根差す暴力を受けた女性達に、シェルター、財政的・法的支援や医療援助を提供しています
(抄訳 本田敏江 理事)
最後の回答、私たちにできることの一つに寄付があります。ご賛同いただける方はこちらからどうぞ。
■インターネットでクレジット決済を利用される方
以下のURLから1口1000円からでもお申込みいただけます。
https://kessai.canpan.info/org/kokurenwomennihon/donation/101056/
「団体へのメッセージ」に”コロナインド女性”とご支援先がわかるようにご記入ください。
■インターネットを利用されない方
以下の、郵便局からの振り込みのご利用をお願いいたします。
郵便局 振替口座番号:00240-7-43928
口座名義:NPO法人国連ウィメン日本協会
通信欄:「コロナインド女性」
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会