プレスリリース: ハイチで人道的対応が功を奏するには、地震による影響を最も強く受けた女性と少女の参画とリーダーシップが不可欠
2021年10月9日
2021/9/15
8月14日にハイチを襲ったマグニチュード7.2の地震を受け、UN Women ハイチ事務所とCAREインターナショナルは、女性課題・権利省、市民保護総局、国別人道支援チームの特別ジェンダータスクフォースと協力し、女性と少女の権利やニーズを復旧・復興活動の核に据えるために、人道活動関係者に女性と少女のニーズに対応するための提言を行うことを目的とした 緊急ジェンダー分析 を実施しました。
利害関係者に提示された緊急ジェンダー分析の調査結果では、性別、年齢、その他の脆弱性の条件ごとに地震による具体的な影響について、第一番目に報告しています。
レポートは、女性にとって最も重大な影響のひとつは飲料水の不足であるとしています。地震発生後、ハイチ南西部のスド県、グランダンス県、ニップ県の3つの県の60%の地域で飲料水が入手できなくなりました。女性は伝統的に家族の世話の大部分を担っているので、水不足の影響を特に受けているようです。加えて、女性の約40%以上が世帯主であり、その仕事を分担できないことが状況をさらに悪化させていることも示されています。
食料不足も差し迫った問題のひとつとしてレポートで取り上げられています。地震が起きる前から人口の46%が食料不足の状態にあり、中でも子ども、若者、妊娠中の女性の状況は憂慮すべきものでした。今回の地震によってそうした既存の脆弱性がさらに悪化し、状況の深刻度が増しました。インタビューに答えてくれた人たちは、十分な援助を受けていないと訴えました。最も弱い立場にある子ども、高齢者、病人、障害のある人たちは配布される食料をなかなか受け取りに行くことができません。
レポートによると、現在の医療危機に伴って女性の53.6%と男性の46%が保健医療サービスを利用しにくい状況にあります。回答者の83%が住居や避難所がないのは大きな不安の種であり、また暴力のリスクを高める要因になっていると考えています。79%の人が、対応のプロセスの大部分に女性が参加していると認識している一方で、22%の人が意思決定の場での女性の存在感は弱くなっていると言っています。
「この調査に基づいて、私たちは女性、子ども、障害を持った人、弱い立場にある人たちのスペースを作るなど、より包括的な対応を要求しています」とムハメド・ビジマナCAREハイチ副事務局長は語りました。「こうした人たちが直接関与しなければ、彼・彼女らを置き去りにしたまま復旧が進んでしまうおそれがあります」。
「女性と少女の権利を危機対応のあらゆるレベルで考慮に入れ、復旧戦略への参画とリーダーシップを確保する必要があります。そのためにデータを利用します。データによって最も脆弱な立場にある人たちのニーズに焦点を置き、優先的に対応することができます」とマリア・ノエル・バエザUN Women中南米カリブ地域事務所長は言いました。
緊急ジェンダー分析は、得られたデータに基づいて、男女の地域リーダーの協力のもとで国勢調査と物資の配布業務を皆が参加できる形で計画、実施する必要性を示しています。また、緊急時における責任ある参加とリーダーシップを発揮できる女性の能力を育てること、意味のある市民社会の協議体制と地域参加のチャンネルを作ること、迅速な対応の一部として女性、少女、少年、LGBTQIA+ の人たちへの暴力や性的虐待のリスクを防ぐための治安体制を整えること、対応にかかわる意思決定体制への女性の包括的な参加を推進することの強化も示唆されています。
UN Womenはハイチにおいて、ハイチ政府、市民社会、国連関係者と協力しています。ハイチ政府内では、女性課題・権利省、国家災害管理庁、農業省、環境省、国立矯正局と協力しています。UN Women はCAREインターナショナル、OCHA(国連人道問題調整事務所)、UNICEF(国連児童基金)、UNFPA(国連人口基金)、UNDP(国連開発計画)、WHO(世界保健機構)、 IOM(国際移住機関)、 WFP(世界食糧計画)、FAO(国連食糧農業機関)と協力して活動しています。 協力関係にある市民社会は、地域に根差した女性のネットワーク、国や地域のジェンダー平等活動家、社会組織などです。CARE は、1954年の緊急対応介入からハイチで活動を始めました。それ以来、CARE は、継続的に人道支援、復旧、長期開発といった分野でプログラム立案能力を高めてきました。国内の状況が変化する中、CAREハイチは何年もかけて経験を積み、地域について理解し、緊急対応、復旧、長期開発の分野でプログラムを提供し、分野に応じてプログラムを実施したり変更する能力を磨いてきました。そのおかげで、CARE は新型コロナウイルス感染症対応のさまざまな面にいち早く関与することができました。
(翻訳者:早乙女由紀・実務翻訳スクール)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会