エフゲニア・オリニクさん:「ウクライナのジャーナリストは決意をもって仕事を続けています」
2022年5月9日
2022/4/14
メディア開発財団は、ウクライナの報道機関を支援する非営利団体です。ロシアによる軍事侵攻が始まるとすぐ、ウクライナ西南部の都市チェルニウツィでメディア支援連携センターを設立し、ウクライナ全土のジャーナリストや報道局のために移動手段や滞在先を斡旋し、安全な環境で仕事ができるよう支援を行っています。
「私はチェルニウツィ出身ですが、6年前キーウに移り、メディア開発財団でプログラムディレクターとして働き始めました。ロシアが侵攻を始める可能性があるとの一報が入ったため、私たちは侵攻を想定して準備を始めました。報道局の多くが防弾チョッキを購入し、他の都市に移転せざるをえない状況に備えて計画を立てるところもありました。私たちは、戦争が始まった場合にはオフィスをチェルニウツィに移転させようと話し合いました。キーウには15名の職員、その他の地域にはおよそ100のメディアパートナーがいました。
2月24日、朝5時に戦争が始まりました。私は冷静に、ためらいなく行動し、同僚に指示を出さなければなりませんでした。その日のうちにパニックがおさまると、私たちは業務継続のため、ウクライナ西部への移転を開始しました。はじめの3日間は、ストレスを受けた状態でどれだけ身体が動くかを把握する上で、たいへん重要でした。ジャーナリストのなかには、急いで戦地に引き返す人もいました。自国が戦火にあるのを目の当たりにした後では、平和な街の雰囲気に耐えられなかったのです。
侵攻開始から数日以内に、メディア支援連携センターの設立を発表しました。真っ先にメディアに接触して、どこでどうしているのか、そこから軍事攻撃を報道するつもりか、それともスタッフを安全な場所に移動させるつもりか、などと質問しました。
メディア支援連携センターでの活動は、現在、いくつかに分かれています。まず、ヘルメット、防弾チョッキ、ゴーグル、戦地でジャーナリストが着用する特別服の提供です。次に、戦地に留まるメディアや報道局の支援です。そして、戦争を報道する上での適切な方法について、編集者やジャーナリストの相談に乗ったり研修を行ったりしています。さらには、支援が必要な報道局やメディアに資金を援助しています。
また、メディア、フリージャーナリスト、報道局全体のチェルニウツィや西部地域への移転にも積極的に関わっており、滞在先を斡旋したり、センター内でワークスペースを提供したりしています。ここ数週間で、40ほどのメディアを移転させました。すべてがチェルニウツィに留まったわけではなく、ヨーロッパの国々に移転した例もありましたが、ほとんどがチェルニウツィを拠点としてウクライナ各地で取材を行っています。
私たちは今、決意をもって仕事を続けており、自分たちや仲間のジャーナリストたちが、2014年のクリミア併合以来、プロとして成長した姿をみて、誇りを感じています。
本記事は、カナダ国際関係省の資金援助を受けたUN Womenのプロジェクト「ウクライナの分権改革を通じたジェンダ―平等と女性のエンパワーメントの前進」の枠組みで作成されました。本プロジェクトは現在、ウクライナ戦時下における女性のリーダーシップと女性および少女への支援に焦点をあてています。
(翻訳者:本多千代美)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会