シリア人姉妹、トルコで若い難民達に高等教育への道を開く
2022年6月10日
2022年3月15日
シリア人の家庭は、様々な不安や心配を抱いて、娘を高等教育機関に送ることをためらいます。一番皆が感じている不安は、言葉の壁、経済的問題、社会規範です。ラマとアリック・モハマド姉妹はこのような障害を乗り越えて、大学に通いました。今や二人は、あきらめずに社会規範に挑戦するシンボルとなって、仲間たちのエンパワーメントを主導しています。姉妹は、難民申請者・移民連帯協会(SGDD-ASAM)の支援を受けて大学に入学するためにトルコ語を習いました。これは、日本政府とノルウェイ政府が資金を提供してUN Womenが運営する国連女性難民対応プログラムの一環です。姉妹はこの支援で、自分の足で立てる明るい未来を目指しています。
2012年、シリア人姉妹、アリックとラマ・モハマドがトルコに着いたとき、絶対に教育を受けて自立して生きるという夢を守り続けようと決心しました。母親は、二人を強くなるように育ててきて、今や一番の支援者です。同時に教育を受けていないシリア人女性がいかに不利であるかを目の当たりにして、自分たちのような若い女性がジェンダー不平等、特に教育の中の不平等に声をあげて抵抗していかなくてはならないとはっきり認識しています。
アリック(19歳)は大学で建築を学んでいます。「アレッポでは素晴らしい人生を送っていました」と彼女は言っています。シリアにとどまることもできたのですが、トルコに行けば人生が広がり、学ぶこともたくさんあると考えたのです。
アリックはトルコに着くとすぐ学校に行き始めました。「私達の文化では、女性は料理など台所に関わることに責任を持つことが期待されます。もし私のすることが料理だけだったら、どうやって自分の人生を向上させていくことが出来るでしょう。私は自分の足で立ちたいのです」と彼女は言っています。「クラスの中でシリア人は私だけでした。最初、トルコ語を学ぶことは難しかったです。でもクラスメートと交流できるよう、どうしても学びたいと思いました。このようにして私は言葉の壁を乗り越えました」
ラマ(23歳)はこう言っています。「トルコに着いて最初は、これは一時的なものですぐ帰るものと思っていました」でもすぐそうでないことが分かりました。妹と同様、彼女は大学で栄養学を学び、将来に大きな夢を抱いています。でも教育を受ける道が平たんではありませんでした。「うちの親せきや近所の人たちは、父親が亡くなっているのに、母親が私たちを大学で学ばせるということに否定的な反応を示しました」と彼女は言っています。「始めはその反応にがっかりしましたが、母のおかげでこの難局を乗り越えられ、高等教育を受けようというモチベーションは高まりました」
ラマは、シリアの少女の多くが教育を受けてないが、それはシリア人家族が抱く不安のせいだと指摘しています。彼女によれば、シリア人の両親は娘が教育を受けると自分たちの文化から離れてしまうと考えているのです。大学教育を受けてない少女は多くを求めず、家事を手伝って、自分たちが望むことをしてくれると思っています。彼らは少女を、他人、一般には社会の男性メンバーである父、兄弟、そして最終的には夫に守られる弱い存在とみなしているのです。
ラマは言っています。「私達のしていることが、コミュニティにも前向きな変化を起こしました」最近2人の少女が退学しましたが、姉妹の助けでこの少女の母親は、父親に娘たちを学校に通わせることに何の問題もないと説得することに成功しました。ラマによれば、問題は経済的なことではなく、むしろ社会的なことです。解決策としては、家族にもっと情報を提供して、成功した例を示すことです。彼女は、18歳以下の少女と結婚する男性への法的制裁をもっと厳しくすべきだとも言っています。
アリックとラマには、少女たちにぜひ伝えたいメッセージがあります。「自分の権利を守るための戦いを絶対あきらめないで。もし暴力を受けたり、教育を受ける権利を侵害されたら、支援を求めて自分を主張すべきです。教育へのアクセスは皆に与えられた基本的な権利です」
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