カウシャリヤ・ハプアラチーさん:「法的措置を講じるには、暴力の被害者と証人の安全を確保しなければなりません」
2022年7月11日
2022/6/20
サキナ・アリアクバーによるインタビュー
カウシャリヤ・ハプアラチーさんは、1978年からスリランカ政府の法律扶助委員会で副委員長として働いています。全国に84ある委員会の事務所では、経済的に困難な人に無料で法律サービスを提供しています。2021年10月、ハプラアチーさんは、日本政府が資金を提供するUN Womenの「スリランカにおける女性・平和・安全保障アジェンダの実施」に関するプロジェクトの一環として開催された、複数政党による対話に出席しました。
私たちの国には、女性が助けを求めて声をあげるのを妨げる数多くの文化的障壁があります。暴力の被害者は、しばしば裁判を起こさないように脅されたり、極端な身体的・精神的虐待を受けたりします。女性自身も、家庭や職場で複数の役割をこなさければならないため、法廷闘争を日常生活の「厄介なこと」として捉えがちです。夫が育児や家事を手伝わない場合はなおさらです。
スリランカでは、司法への平等なアクセスが憲法で保障されていますが、女性の権利問題が関わる場合は、制度自体に内在する不平等によってアクセスの有効性が阻害されます。
女性が極度の危険や暴力にさらされている場合、委員会は警察に連絡をして、犯罪被害者及び証人の支援・保護法(2015年4号)に基づいて保護を要請する権限を持っていますが、ほとんどの場合、相談者は訴えを取り下げるよう圧力をかけられます。
この問題を回避する方法の1つとして、避難所や家など、加害者が被害者やその子どもたちに接触できない安全な場所を被害者に提供することがあります。安全な居場所が確保できなければ、女性たちは家庭での暴力や虐待を耐え忍ぶしかありません。
法的措置を講じるには、暴力の被害者と証人の安全を確保しなければなりません。そのためには、暴力の被害者のための避難所の役割を強化し、数を増やさなければなりません。また、進歩的で共感的な考え方を持つことで、被害者がどのように受け取られるかに影響を与えることができます。彼女たちが排斥されることなくコミュニティに留まることができれば、より強力な支援システムを提供できるでしょう。
UN Womenのプロジェクトの一環として開催された複数政党の対話は、私にとっては貴重な学びの場となりました。国際的な枠組みを使って、自分の仕事の現場から得たアイデアや意見を述べることができました。そして対話を通じて、女性の問題の複雑さについて、場所や宗教、人種、社会経済的地位などを考慮に入れつつ、参加者に伝えることができました。不平等にはさまざまな問題が交差しているため、女性たちは衝撃的な障害にぶつかったり、その結果、虐待を受けたりすることがあります。私たちは女性の問題を扱うとき、画一的なアプローチを採用するのではなく、個々の状況をケースバイケースで評価して解決策を探さなければならないことを意識し、心がける必要があります。
さらにポジティブな点として、法律委員会(法改正を勧告する政府機関)には大きな価値があると思います。委員会のメンバーに元検察官と裁判官を含めたことで、女性の割合が増えました。女性が他の女性のために働いたり、他の女性と一緒に働いたりすることは大切なので、心強いことです。このような問題を扱うときは、相談者も相手が女性の方が安心するようです。
(翻訳者:松本香代子)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会