UN Womenウクライナ、東ウクライナで最も支援を必要としている人々に人道支援を提供
2022年7月29日
2022年6月6日
ウクライナでは、現在約1,570万人の人が人道支援と保護を緊急に必要としています。ウクライナ東部と南部では民間人の居住地域と生活インフラへの攻撃が続いており、人命と基本的なサービスへのアクセスが脅かされています。
UN Womenウクライナ事務所は、ドネツク州東部の最も激しい攻撃が続く地域では入手困難になっている生活必需品を、最も必要としている女性と男性に届けるために活動計画を再編しました。
「私の夫は、障がいがあって動けません。障がい者が安全な場所へ避難する支援をするボランティアの存在は知っていますが、夫には特別なケアも必要です」と、ドネツク州の小さな町オレクサンドリフカで年金生活をするリュドミラさんは話します。「そのケアには薬の他に、特別な衛生用品や専門的な治療も必要です。ですから、私たちは家にとどまることにしました」。
ロシア軍による本格的な侵攻が始まる前、オレクサンドリフカには1万2千人以上の住民が暮らしていました。現在残っている人はごくわずかで、そのほとんどが他に行くところのない高齢者や障がい者、子育て中の母親です。
障がい者や高齢者は、避難所への移動が困難なため、見捨てられたり家族と離れ離れになったりするリスクが高くなります。人々が安全を求めて避難を急ぐ一方で、身体に障がいを持つ人たちが置き去りにされることもあります。また、障がいに対する偏見や専門的なサービスの欠如から、障がい者や障がい児が自宅から離れた施設に入れられることもあります。現在の状況で、障がい者や高齢者がサービスと安全を確保できるのか大きな懸念があります。
「私には子どもが5人います。一番上の子は10歳で、一番下の双子は3歳になったばかりです。夫は軍隊にいるので、ここには私と子どもたちだけで住んでいます。ウクライナ全土に戦火が広がっているので、この場所を離れる意味はありません」と、ドネツク州クラマトルスク市の若い女性アナスタシアさんは話します。戦争前のクラマトルスクには25万人が暮らしていました。「地元の人の話では、住民のほぼ3分の2がすでにクラマトルスクを離れたそうです。以前の暮らしも大変でしたが、今の状況は大惨事というほかありません。何も残っていないのです。オムツ、ベビーフード、衛生用品などはどこにもありません」。
ドネツク州とルハンスク州の政府支配地域における女性世帯主の割合は全世帯の71%でしたが、2月24日の侵攻開始以降、その数は増える一方です。徴兵される男性もいれば、ウクライナ領土防衛隊として自発的にウクライナ軍に入隊する男性もいます。その結果、高齢の家族の介護など、女性たちの家事労働の負担が増加しています。
「私は、隣人たちを助ける役目を担うことにしました。住民のほとんどが避難し、家に残っているのは高齢者と障がい者だけです。面倒を見てくれる人がおらず、みな弱っていて動くことができません」と、クラマトルスクでボランティアをしているオルガさんは話します。彼女の娘家族はマリウポリにいますが、オルガさんは、ここで他の人たちを支援することで自分自身のトラウマが癒されていると言います。
UN Womenは、地域行政機関の協力と地元ボランティアの支援のもと、東ウクライナの戦闘地域に住む子どもと障がい者に、ベビーフード、衛生用品、オムツなど最も必要とされる生活必需品を届けました。
「地域行政のウェブサイトに人道支援の窓口を設け、申し込みを受け付けています。一日に400件も申請があります」と、クラマトルスク市議会のイホル・スタシュコビッチ事務局長は話します。「私たちは、子育て中の女性に支援を提供する施設を別に用意するなど、脆弱な立場にあるあらゆる人々に、柔軟なアプローチをとるよう心がけています。また、ボランティアの協力は、大きな助けとなっています。ボランティアのおかげで、最も困窮している人々に手を差し伸べ、支援を届けることができます」。
ドネツク地方の各地で最も弱い立場にある男性と女性に提供された今回の人道支援は、UN Womenウクライナ事務所が、デンマーク政府の資金提供を受け、ドネツク州とルハンスク州の戦闘地域で実施したジェンダー平等プロジェクトの一環として行われました。
(翻訳者:祖父江美穂)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会