災害の多発するバングラデシュでスウェーデン拠出のプロジェクトがもたらした暮らしの変化、 援助活動家とヤギ飼いの女性が語る
2022年8月12日
2022年6月29日
タイ、バンコク — バングラデシュの援助団体を率いる女性たちが、スウェーデンが資金を拠出する女性と少女を自然災害から守るプロジェクトからどれだけ恩恵を受けたかについて、オンライン対話でスウェーデンの政府高官に語りました。
しかし、UN Womenと国連環境計画(UNEP)の共同プロジェクトEmPower:気候変動に強い社会のための女性が、厳しい環境の中でなんとか生計を立てている人々にもたらした違いを最も鮮明に示したのは、あるヤギ飼いの女性のストーリーでした。
レティ・カトゥンさんは、バングラデシュ南西部のチュアダンガ県クルパラ村に住む母親です。この地域は気候変動に対して極端に脆弱で、夏には長期にわたる干ばつによって壊滅的な被害を受けます。夫は障がいがあって働くことができないので、彼女は家族のケアの担い手であると同時に稼ぎ手でもあります。以前は個人の家を訪問して清掃の仕事をしていましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大すると仕事の依頼はなくなりました。
カトゥンさんはクルパラ村にある自分のヤギ小屋から 5月30日のビデオ対話 に参加しました。後方には少しさびたトタン屋根と十字に組まれた木の板の壁を覆うエメラルドグリーンの布が見え、そこから太陽の光が差し込んでいます。
女性の起業家が気候変動に強い生計手段を得られるように、再生可能エネルギー技術、金融やビジネスのスキルの習得を支援するEmPowerのプロジェクトに参加して以来、太陽光によってカトゥンさんの生活は一変しました。
UNEPの技術支援のもと、2021年12月から2022年2月まで実施されたこのプロジェクトで、カトゥンさんは騒音と煙の出るディーゼルポンプに代わるソーラーパネルと太陽光発電によるポンプを受け取り、環境に優しく、生産的で費用対効果の高い(電気料金が発生しない)仕事ができるように、これらの機器の使い方の研修を受けました。
「太陽光発電の水汲みポンプを設置する前は、ヤギの飼育状況を管理するのが大変でした」とカトゥンさんは言いました。「今では、30トンの米を育て、ヤギのために飼育空間、餌、夜間照明、飲み水、洗い場を用意しています。このポンプのおかげで、ヤギの飼育に関することならなんでも調整できます」。
「以前は個人のお宅で家事をしていましたが、今はヤギの飼育をしています。家事よりもずっと割がいいので、子どもたちを学校に通わせることができます」。
カトゥンさんの成功によって同じ村の女性たちも勇気づけられ、起業して経済的安定を目指すようになりました。
「この地域の多くの女性が私の農場の経営の様子を見学しに来ます」と彼女は言いました。「私たちも学んでスキルを身につけたので、他の女性たちに教えることができます」。
EmPowerのプロジェクトはアジア太平洋地域、特に バングラデシュ、カンボジア、ベトナムの女性と少女の脆弱性を低減する取り組みを行っています。この5か年プロジェクトは12月で終了します。
5月30日の対話は、UN Womenとスウェーデン政府の間の連携の成果と影響を可視化するために計画されました。スウェーデン側からは、ジェニー・オールソン国際開発協力担当副大臣、アレクサンドラ・ベルグ・フォン・リンデ在ダッカ大使などが参加しました。
「ここ(バングラデシュ)の人々や地域のレジリエンスを強化するために、やるべきことがたくさんあります」とリンデ大使は言いました。「ほとんど毎年襲ってくる洪水やその他の危険の影響から回復するためのシステムが必要です。また、食料やエネルギーといった基本的なサービスを人々に継続的に利用可能にし、家族の生計を確保するための能力と資源が必要です」。
また今回の対話には、EmPowerプロジェクトに参加し、その成功の土台になっている56の女性主導の草の根の市民社会団体のうち、再生とイニシアチブ女性連合(Nari Associate for Revival and Initiative)、代替開発協会(Association for Alternative Development)、クミッラ総合開発協会(Association for Integrated Development: COMILLA)、草の根女性財団(Trinamul Nari Foundation)の4団体の代表者も参加し、その成功に寄与しました。
この4つの団体は、災害の際に立場の弱い人々を援助し、地域社会の再建が思いやりのあるジェンダー平等に配慮したやり方で行われるよう支援することによって、持続可能な変化を作り出そうとしています。代表者たちは、毎年洪水と河岸浸食の被害を受けているバングラデシュ北部のクリグラム県から参加しました。
「Empowerプロジェクトから、災害から受ける影響は男女で異なるということ、そしてどんな災害であっても女性の方が不利な影響を受けるということを学びました」とクミッラ総合開発協会のロケヤ・ベグム・シャファリさんは言いました。「だからこそ、女性と少女の特有のニーズを心に留めながら、あらゆる予防と管理の取り組みを計画する必要があります」。
(翻訳者:早乙女由紀)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会