ガジアンテップの色あざやかなモチーフとアイスランドのミニマムなデザインの出会い

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2023年4月13日

2022年11月11日

トルコ共和国南部のシリア国境に近いガジアンテップ市にあるSADA女性協同組合は、早朝にもかかわらず、すでにラッシュアワーのような慌ただしさです。遠方から来られるお客さまをお迎えしようと、10人あまりの女性たちが慌ただしく糸巻の準備を進めています。

「私たちはここでやってきたことを誇りに思います。その成果は、はるか遠いアイスランドにまで届きました!アイスランドから、私たちとの連携のためだけに、お客さまがガジアンテップにいらっしゃいます。ありがたいことですし、嬉しいです」と、2021年に協同組合のメンバーになったシリア出身のクテム・クジャさんは話します。

ガジアンテップ市は人口200万人ですが、内戦から逃れてきたおよそ47万人のシリア難民を受け入れています。

デラル・ハサンさんのように、SADAで新しい世界に飛び込んだメンバーは人生を前向きにとらえています。写真:UN Women/イルキン・エスキペライヴァン

縫製室では、ナジィーレ・オズタークさんをはじめ、女性たちが66°Northのクロスステッチパターンの刺繍を練習しています。

「昨日、66°Northチームのサユーンさんとハッパさんと一緒に生地を見に行ってきました。私たちはコラボレーションの真髄が伝わるような製品にしたいと思っています。そのため、伝統的な生地をいくつか選びました」とオズタークさんは話します。トルコ出身のオズタークさんは、SADA女性協同組合が創設された2019年当時からのトルコ人メンバーです。

協同組合は先日、アイスランドのアウトドア用アパレルブランドである66°Northとのコラボレーションを始めました。トルコとシリアの女性が世界市場に進出する機会を増やし、職業技能を身に着けられるよう支援することで、女性の経済的なエンパワーメントを支援するためです。

UN Womenの支援を通してアイスランドのアパレルブランド66°North とSADA女性協同組合を結びつけたプロジェクト。写真:UN Women/イルキン・エスキペライヴァン

協同組合の国際的な連携はこれが初めてではありません。以前、2019年に開催されたパリ平和フォーラムに、10のスケールアッププロジェクトの一つとして参加しています。SADA女性協同組合は、共同生産、包摂的なガバナンス、平和的な共存を見事に実践していたことから、トルコ女性もシリア女性も同じように安全に生産を行える拠点として、また継続的な収入を得られる拠点として知られるようになりました。66°Northとのコラボレーションは、協同組合が新しい市場に進出するきっかけとなったパリ平和フォーラムで、認知度を高めることができた結果です。

協同組合は、SADA女性エンパワーメントと連帯センターから生まれました。SADAセンターは欧州連合(EU)、日本政府、ノルウェー政府から資金援助を受け、UN Womenのジェンダーに配慮したアプローチに沿って、保護や生活支援を行ったり、地域コミュニティの社会的な結束を育んだりしてきました。UN Womenのパートナーであるガジアンテップ市、国際労働機関(ILO)、難民申請者と移民との連帯組織は、SADAが他に類をみない女性のエンパワーメント拠点になる上で重要な役割を果たしてきました。

楽しみながらSADAで新しい技能を習得するファトマ・イボさん。写真:UN Women/イルキン・エスキペライヴァン

シリア出身の協同組合メンバーの女性は、「SADAセンターに来た当初、私には希望がありませんでした。戦争で人生が終わったと感じていたのです」と話します。「センターで心理社会的支援を受け、縫製の職業訓練に少しずつ参加するようになりました。シリア人とトルコ人の友人たちとともに力を合わせました」。

さらにこう続けました。「SadaもしくはSedaはアラビア語とトルコ語で『声』という意味です。協同組合の友達が以前言っていたように、SADAは私たちに翼を授け、協同組合は私たちを羽ばたかせてくれました。新型コロナウィルス感染症で生活に壊滅的な打撃を受けましたが、連帯の力で危機を乗り越え、立ち直る術を学びました」。

協同組合が実施した技術習得コースの恩恵を受けたクテム・クジャさん。写真:UN Women/イルキン・エスキペライヴァン

サユーン・ソーダードッティルさんは66°Northのデザイナーで、SADAの女性たちと製品を開発しています。

「UN Womenアイスランド、SADA協同組合と一緒に取り組んでいるこのプロジェクトを大変誇らしく思いますし、ワクワクしています。このプロジェクトに参加している女性たちは一緒に働く仲間として素晴らしく、驚くべきことをなしています。一緒に、このプロジェクトを次のレベルへと引き上げていくのが楽しみです。ガジアンテップが提供する布製品は美しく、生地や質感、色合いなど、すべてに無限の可能性を感じます」。

元々「クトゥヌ」と呼ばれていたクトゥニアは、ガジアンテップだけで作られてきた伝統的な生地です。生地には、ガジアンテップの文化や歴史を反映した色あざやかなモチーフがよく使われています。SADAと66°Northは、クトゥニアと66°North のミニマムなデザインを組み合わせることを目指しています。

後方左からステラ・サミュエルズドッティルさん、サユーン・ソーダードッティルさん、ハランヒルダ・アンナ・ガナーズドッティルさん。前中央のナジィーレ・オズタークさんと一緒にガジアンテップ中心部の生地屋でクトゥニア選び。写真:UN Women/イルキン・エスキペライヴァン

協同組合と66°North との協力関係強化の一翼を担うべく、UN Womenアイスランドとトルコの職員もSADAを訪れました。UN Womenアイスランド国内委員会で委員長を務めるステラ・サミュエルズドッティルさんは、しばらく前から協同組合の成長を見守ってきました。

「私たちは、この共同事業に時間をかけて誠心誠意取り組んでいます。今、女性たちと一緒に過ごしていると、彼女たちの熱い思いが伝わってきます。このコラボレーションは、SADA女性協同組合の持続を支援することが目標です。この事業が、もっとジェンダーに対応した調達をするよう産業界に働きかけるお手本になることを願っています」と話します。

ガジアンテップのオールドバザールを訪れたUN Womenアイスランド国内委員会のステラ・サミュエルズドッティル委員長。写真:UN Women/イルキン・エスキペライヴァン

UN Women難民対応コーディネーターのサファ・カラタスさんは、このプロジェクトは魅力的であり、ジェンダー対応調達の将来有望な例だと言います。「ロンドンやコペンハーゲン、さらにはレイキャビクでも、店のショーウィンドウでこの製品を見かけるようになるでしょう。かつてSADAセンターでの職業訓練の修了作品であったものが、これからは国際的な衣類産業の製品になるのです」。

このコラボレーションは2025年まで続き、約4,200点のハンドメイドの製品を作製する予定です。完成品は66°NorthとUN Womenアイスランドのオンラインストアで販売されます。

SADAの女性たちとこの新しくエキサイティングなプロジェクトについては、SADAxN66: 初めての出会い、そして未来への動画をご覧ください。

(翻訳者:本多千代美)

https://eca.unwomen.org/en/stories/feature-story/2022/11/colourful-motives-of-gaziantep-meet-with-the-minimalist-design-of-iceland

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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