ナイジェリアのFGM(女性性器切除)を終わらせるため、伝統的な社会規範と行動に挑戦
2023年4月26日
2023年2月24日
FGM(女性性器切除)は、ナイジェリアでまだ広く実践されています。この国には推定1,990万人の経験者がおり、これは、世界で1番目に高い数字です。
EU/国連スポットライトイニシアチブの下、国連女性に対する暴力撤廃信託基金(以下、国連信託基金)の支援を受けて、女性主導の組織である女性研究介入センター(CWSI)は、ナイジェリア南部のクロスリバー州で、女性と少女に対するさまざまな形態の差別や暴力の原因となる有害な文化的規範や行動を変えるプロジェクトを実施しています。 この中に含まれるのがFGMです。
ジェンダー・トランスフォーマティブ・アプローチ(ジェンダー変革的アプローチ)
予防活動の一環として、このプロジェクトは、FGMを誘発するような規範の根本原因について広報し、理解しあうことにより、家父長制からジェンダー平等へと規範と行動を移行することを目指し、男性と女性の両方が積極的に参加できるようにしています。これは、CWSIが目指すジェンダー変革アプローチの重要な要素です。このアプローチにより、CWSIは、能力開発と人権トレーニング、コミュニティ主導の世代間対話、啓発プログラムを通じて、幅広いステークホルダー(警察、人権擁護家、コミュニティリーダー、若者など)と協働して、プロジェクトを運営し、その成功を目指しています。
CWSIは2022年を通じて、ジェンダーの固定観念に挑戦し、暴力の根本原因に対処するために、コミュニティレベルで複数の意識向上活動を実施し、660人以上がこれに参加しました。
「ジェンダー変革的アプローチを取り入れたことは、プロジェクトの成果に大きな影響を与えました」とCWSIプロジェクトオフィサーのチニエール・オビンナさんは説明します。
宗教指導者や伝統的な指導者との協力
FGMは、慣習法が合法的である場所で広まっている、根深い有害な固定観念、規範、慣習に関連する慣行であるため、それに終止符を打つには、これらの面で影響を持つリーダーを巻き込む必要があります。CWSIは、女性と少女を保護し、ジェンダーに基づく暴力の加害者の処罰逃れを廃止する慣習法の公布を支援するために、伝統的および信仰に基づく指導者に働きかけました。
2022年、CWSIの啓発活動のおかげで、(クロスリバー州)オゴジャ地方行政区のエカジュク族地域でFGMを終わらせるための慣習法が制定され、伝統的な指導者が現場で同法が確実に実施されるよう見守るようになりました。ボキ地方自治体では、30のコミュニティで新しい慣習法が採択され、これによって女性と少女の権利が促進され、強制結婚や早期結婚などの他の形態の有害な慣行が禁止され、ボキ地方自治体、ベクワラの伝統的な意思決定評議会に女性首長が初めて任命されました。
伝統的な指導者たちは、人権侵害を監視および報告するためのスキルと知識を身に付けるために、法執行機関や市民社会組織の代表者とともに、女性の権利に関するトレーニングも受けています。
危機に対するレジリエンス
COVID-19パンデミックの封鎖中、国連信託基金の支援とEU/国連スポットライトイニシアチブCOVID-19追加資金により、CWSIは迅速に危機に適応でき、交差的差別を経験している女性と少女の新たなニーズを満たすために、長期的なコミュニティ主導の対応戦略を開発しました。
たとえば、訓練を受けたコミュニティのフロントライナーを設立し、各コミュニティの女性と少女のサバイバーにカウンセリングを提供し、230人以上の女性と少女に手を差し伸べました。またこの組織は、女性と少女に対する暴力に即時介入するために、パラリーガルや人権擁護者を含むコミュニティボランティアグループを導入しました。これらのボランティアは、プロジェクトが終了しても、危機の時に代弁者としてすぐ対応できるよう訓練されています。
チニエール・オビンナさんによると、この組織は現在、「緊急時の女性と少女に対する暴力プロジェクトを実施するために、迅速かつ柔軟な対応を展開する」準備ができています。
「組織のレジリエンスは、女性と少女に対する暴力撤廃イニシアチブの成功と持続可能性を確保するために重要です」と、国連信託基金のポートフォリオマネジャーであるイネス・フィンチェルスタインさんは説明します。「国連信託基金が提供する長期的で柔軟な資金調達は、CWSIのような組織が急速に変化する危機的環境でも効率的に成果を出し続けることを可能にするレジリエンスを構築する上で重要な要素です。」C
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