「希望、決意、レジリエンスの明確なメッセージ」:2022年の女性と少女の人生を変える取り組み
2023年8月7日
2023年6月27日
2023年6月27日、国連女性に対する暴力撤廃信託基金は2022年次報告書に関するウェビナーを開催し、2022年に助成金の交付を受けた団体が主要な成果を報告しました。
ウェビナーでは、女性や少女が暴力を受けることなく生きていけるようにすることを目指して、大胆なイニシアチブを主導してきた市民社会団体や女性の人権保護団体から、直接話を聞きました。ぺちゃくちゃプレゼンテーションの形式にならい、助成金の交付を受けた5つの団体*の代表者が、女性や少女に対する暴力の根絶に向けて、2022年に行った活動を報告しました。
国連女性に対する暴力撤廃信託基金のアビゲール・エリクソン代表は、「私たちのパートナーの勇気と決意のおかげで、パートナーが支援する女性や少女は、より良く安全で平等な社会を夢みたり追求したりすることができます」と述べました。
実状に即したニーズや危機への対応
コンゴ民主共和国のDynamique des Femmes Juristes(女性弁護士らが設立したNGO)のコーディネーターであるクロディーヌ・ツォンガ・ムバラミャさんは、エボラウイルス病や新型コロナウィルス感染症の流行、火山の噴火、不安定な政治・社会情勢など、いくつもの危機が重なり合う中で、女性や少女の司法アクセスを維持するために、いかに状況に合わせて活動したかについて説明しました。例えば、移動法廷審理での支援提供や、危機的状況下での裁判所職員の研修などです。
「状況に応じて対処せざるを得ませんでしたが、私たちが女性や少女にリモートでサービスを提供できたのは、有益でしたし持続することも可能でした」と、ムバラミャさんは語りました。
フェミニストの共創と革新的なソリューション
バングラデシュのBadabon Sangho(女性人権団体)のシニア開発マネージャーであるマムーン・ウル・ラシッドさんは、地主の女性がジェンダーに基づく暴力を受けたり強制移住をさせられたりしないように、女性が主導する小さな組織がどのように女性グループを動員し、リーダーシップを育成したり集団行動を促したりしてきたかを説明しました。
「暴力のない世界を実現するためには、フェミニストや地域の運動を醸成するソリューションへの投資が大切です」と、ラシッドさんは話しました。
バックラッシュ(反動)と抵抗
2022年は反公民権運動やLGBTIQを標的とする攻撃が激化しました。 アルバニアのAleanca LGBT(レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーの女性を支援するNGO)のプロジェクトマネージャーであるリヴィア・ゾトリアさんは、HIV感染者をはじめ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー(LBT)の女性たちに、Aleanca LGBTがいかに迅速に支援を提供したかについて話しました。Aleanca LGBTはまた、求職中のLBT女性や少女のために安全な場所を作ろうと、民間企業とも協力しています。
「私たちは暴力のない世界に向けて、強く活気に満ちたリーダーたちのコミュニティを築こうと頑張っています」と、ゾトリアさんは話しました。
女性の経済的エンパワーメント
メキシコのConservación, Investigación y Aprovechamiento de los Recursos Naturales (CIARENA)(先住民の女性が設立したNPO)は、EUと国連が立ち上げたスポットライトイニシアティブのもと、国連女性に対する暴力撤廃信託基金の助成金交付を受けました。CIARENAの法定代理人シルビア・ペレスさんは、包括的な女性の経済的エンパワーメント活動の重要性を強調しました。新型コロナウィルス感染症が大流行する中、CIARENAがメキシコの先住民の女性や少女に対する暴力を防ぐことを目的として取り組んだ園芸プログラムは、このエンパワーメント活動を反映しています。
「もし女性が家計を握れば、また女性に経済力があれば、自立することができ虐待関係から逃れることができます」とペレスさんは述べました。
科学技術を活用したソリューション
チュニジアのアラブ女性のための研修研究センター(CAWTAR) (女性主導の女性の権利に関するNGO)の暴力とテクノロジープログラムの責任者であるヘディア・ベル・ハジ・ユセフさんは、女性や少女に対する暴力を撲滅するためには、画期的なツールが重要だと強く訴えました。障害のある女性や少女のためのSafeNessアプリなど、テクノロジーを活用したソリューションをCAWTARが利用することが、質の高いサービスや報告の仕組みへのアクセスを増やす鍵であることを説明しました。
2022年助成金交付団体の効果
ウェビナーの最後に、国連女性に対する暴力撤廃信託基金の資源動員・報告の専門家であるアディナ・ウルフさんが、2022年次報告書 の主要なメッセージを紹介し、予防、サービス、法律・政策の3つの分野で助成金交付団体が主導する取り組みの重要性を強調しました。
さらに、2022年11月に開始した第26回助成金交付申請の募集で、総額756億ドルの助成金に対し、113の国と地域から1,600件を超える申し込みがあったと報告しました。これは、ますます困難な状況の中で、女性や少女に対する暴力根絶に取り組む市民団体や女性の人権保護団体のために、より融通の利く、中核的で長期的な資金が必要なことを浮き彫りにしていると、ウルフさんは述べました。
* Dynamique des Femmes Juristes (コンゴ民主共和国); Badabon Sangho (バングラデシュ); Aleanca LGBT (アルバニア); Conservación, Investigación y Aprovechamiento de los Recursos Naturales (メキシコ); and Center of Arab Women for Training and Research (チュニジア)
(翻訳者:本多千代美)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会