ウクライナの活動家、紛争に関連した性暴力の被害者支援に乗り出す
2023年8月9日
2023年6月19日
昨年、ロシアによる本格的なウクライナ侵攻が始まって以来、ウクライナでは2万人以上の民間人が犠牲となり、1,300万人以上が避難を余儀なくされ、数百万人の人にとって暴力が日常的な現実になりました。女性や少女を含むあらゆるジェンダーの人々が破壊、喪失、死に直面し、さらにレイプや性暴力の増加という、あまり表面には現れない別の脅威にもさらされています。
紛争はさまざまな形で性暴力を引き起こします。レイプなどの性虐待は軍隊などが直接行う場合もありますが、経済的・社会的不安が高まると、性的搾取や人身売買、その他の性的虐待が増加する条件が整います。同時に、司法や医療などのシステムの崩壊によって、被害者への支援がますます届きにくくなります。
6月19日は「紛争下の性暴力根絶のための国際デー」です。私たちは、被害者を支援し、加害者の責任を追及し、紛争下における性暴力をきっぱりと終わらせるための闘いの最前線にいる女性と女性主導の団体に敬意を表します。
増大する脅威
この16か月の間に、ウクライナで性暴力のあるパターンが見られるようになりました。「レイプ(通常は集団レイプ)、性的拷問、ヌードの強制などの虐待がジャーナリスト、人権団体、法執行機関によって記録されています」。ウクライナの女性の権利擁護者で弁護士のフリスティナ・キットさんは言います。「実際の被害の大きさは明らかではありませんが、その影響が長引くことは明らかです。私たちは、これから何年にもわたって(紛争に関連した性暴力の)結果と向き合っていかなければなりません」。
戦争という状況の中で、女性に対する他の形態の暴力への対処も難しくなってきています。「戦争状態にあるときに、女性に対する暴力との闘いを前進させるのは困難です」とフリスティナさん。「以前から家族内で虐待や暴力をしていた人は、今も暴力行為を続けています」。しかし資源や人々の注意が戦争に集まる中、「女性と少女に対する保護はいっそう疎かになっています」。
「形態は異なっていても、暴力は本質的にはつながっています」と、ウクライナのジャーナリスト、弁護士、人権活動家でもあるラニサ・デニセンコさんは言います。「紛争に関連した性暴力(CRSV)を含むあらゆる暴力は、力関係と支配に関わるものです。加害者は自分の力を誇示したい、相手を支配したいのです。戦争や武力衝突で性暴力が多発するのはそのためです。この侵略と不処罰の根源はドメスティックバイオレンスにあります」。
司法と支援へのアクセスの拡大
キットさんとデニセンコさんは、2017年、ウクライナの女性弁護士協会JurFemを共同で設立し、ドメスティックバイオレンスの被害者に法的支援を提供する活動をしています。ロシアによるウクライナ戦争が始まると、JurFemの電話相談窓口には性暴力の報告が殺到しました。「女性も男性も、ただほとんどが女性ですが、自分や自分の身近な人が性的暴力を受けたと電話で訴えてきました」とデニセンコさん。
この事態を受けて、JurFemはUN Womenと提携して「JurFem:支援」という取り組みを始め、性暴力の被害者に支援を提供し、正義と説明責任の道を切り開くために活動しています。この取り組みで、JurFemは法的アドバイスとサポートを無償で提供し、被害者が裁判を起こす手助けをし、裁判の期間中も支援を継続します。また、被害者が医療や心理的ケア、シェルター、その他の支援サービスを利用できるように支援します。
「女性の主体性を否定する女性や少女に対する暴力を、重要でないものとして軽視することはできません」とデニセンコさんは強調します。「二度とこのようなことが起こらないよう、正義を取り戻さなければなりません」。キットさんが付け加えました。
(翻訳者:松本香代子)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会