ガザの声:空爆の真っただ中で生きるヌルハンさんのストーリー

記事をシェアする

2023年12月7日

2023年11月13日

「ガザの夜は終わることのない悪夢と化しました。睡眠は、もはや享受することのできない贅沢となり、あらゆるところに死が待ち受けています」。

ガザ市の中心部において、29歳の弁護士で活動家のヌルハンさんは、周囲の人からレジリエンスの象徴として見られています。ヌルハンさんは、演劇やアートを通じて平和的に社会変革を進めようと活動するパレスチナの若者プログラム「YV Micイニシアチブ」に積極的に参加するメンバーであり、UN Womenがジェンダー平等の解決策を促進し、地域の若者の参加を促すことを目的として2020年に設立したプラットフォームYouth Gender Innovation Agoraに貢献しています。

イスラエルとガザ地区の間で過去に起こった4回の紛争では苦難に耐えたヌルハンさんも、今回の危機では打ちのめされています。都心にほど近い自宅では爆撃音が聞こえ、揺れを感じました。

「壁が震え、私の周りでまるで世界が砕け散っていくかのようでした」。それでもヌルハンさんは自宅を離れませんでした。ここが自分の居場所だという思いが強く、かすかに聞こえる鳥のさえずりに癒しを見出していたのです。

2023年10月9日。イスラエルの空爆を受けたガザで立ちのぼる炎と煙。写真/アハメド・ザコット(WHO)

それでもやはり夜は長く、恐怖に満ちていました。近所の家々が空爆を受けて破壊されると、ヌルハンさんは断腸の思いで家を出る決断をしました。

「愛する家から一歩離れるたびに痛みを感じました。思い出や夢を置きざりにすることになるからです」。

ヌルハンさんは、そこまで空爆を受けていなかったガザ旧市街の実家に避難しました。それでも、と彼女は言います。ガザで本当に安全な場所など、どこにもないのだと。数日後、荷物を取りに少しだけ自宅に戻った時のことを話してくれました。「家を失った家族、泣き叫ぶ子供たち。絶望が街に漂っていました」。

「今のガザで、人間が抱えている深い苦しみをあらためて痛感しました」とも話しました。

日が経つにつれ、ヌルハンさんは両親の家でホッとするような感覚を取り戻し始めていました。ところが、その平穏は突然打ち破られました。10月16日、近くに爆弾が落ちたのです。ヌルハンさんは、めいを腕に抱えて建物から逃げざるをえませんでした。

「誰もが絶望の中で走っていました。子どもたちが皆いるかどうかを確かめることさえできないままに」と話しました。「恐怖におびえる人々の叫び声が響く薄暗い路地を逃げまどう悲惨さを、私は永遠に忘れないでしょう」。

ヌルハンさんは、その場にいた兄の身を案じていました。のちに兄から電話がかかってきて、ヌルハンさんの気持ちは明るくなりました。兄は爆風で怪我を負っていましたが、ヌルハンさんは安心し、孤独感も薄れました。

しかし、ガザでの希望は儚いものでした。次の日、アル・アハリ・アラブ病院が爆撃を受けて何百人もの避難者が亡くなると、またしても天と地がひっくり返りました。

「生き抜くことは最初の一歩にすぎません」と彼女は言いました。「イスラエルの空爆がおさまった後も、戦争の傷跡は長く残るでしょう」。

ヌルハンさんは弁護士として、また活動家として、人道的理念や環境保護主義、政治改革を擁護してきました。今、彼女は自分が闘ってきた大義では、自分自身も家族も守れないという厳しい現実に直面しています。

「私が学び、闘ってきた法律が、私たちを戦争の恐怖から守ってくれることはありません。それでも、私たちの不屈の精神とレジリエンスはガザの人々への証になります」と彼女は述べました。「私たちは絶望に直面していても、平和が続くことを願い続けていかなければなりません」。

(翻訳者:本多千代美)

Voices from Gaza: Nourhan’s story of survival amid airstrikes | UN Women – Headquarters

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

寄付する