国連女性に対する暴力撤廃信託基金 ソマリアのFGM/C(女性性器切除)を終わらせる
2024年2月9日
2021年04月19日
「私は、娘にFGM/Cを行わないよう母親たちを説得しています」
ソマリアのソマリランドでは、推定で9割以上の少女と女性がFGM/Cを経験しています。[1] FGM/Cは、激しい痛みや大量出血、生涯にわたる心身の障がいなど、女性と少女に深刻な健康被害をもたらし、ときには命を奪う場合もあります。この有害な伝統的慣習についての議論は依然としてタブーであり、家族は村八分にされる恐れから、FGM/Cを放棄することがなかなかできません。
国際連帯財団(ISF)は、2001年からソマリランドのFGM/C根絶に取り組んでいます。現在は、国連女性に対する暴力撤廃信託基金の支援を受け、3つの地域の遠隔農村部と国内避難民コミュニティでプロジェクトを実施し、村があらゆる形態のFGM/Cを放棄し、危険にさらされている女性たちが身体の不可侵性や自主権を保ち、暴力、虐待、ハラスメントからの解放を求められるよう後押ししています。
プロジェクトでは、市民社会組織や大学生、ジャーナリストを対象としたFGM/Cの問題についての研修会や、女性グループや女性団体の強化などを行っています。また、開始当初から、伝統的・宗教的指導者たちもこの活動に関与しています。
新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症の拡大により、プロジェクトの目標達成に新たな課題が生じています。長引く学校閉鎖で施術から回復する時間を確保できることから、少女たちにFGM/Cを受けさせるケースが増えています。また、移動の制限により、地方の村を訪れてFGM/Cを根絶する活動を実施することができませんでした。
新型コロナウイルス感染症拡大期間中に急増したFGM/Cの施術が、少女たちにもたらした結果は深刻です。NAFIS(ソマリランドFGM反対ネットワーク )のプロジェクト責任者、アミナ・ハムドさんは、「FGM/Cの施術で大量出血を起こした少女を、遠隔地の村から病院まで搬送しなければならなかったことが何回もありました」と、話しました。[2]
新型コロナウイルス感染症がこうした難題をもたらす中、ISFがここ数か月間に開催した地域および全国レベルの調整会合に、全国のさまざまな市民社会組織から300人を超える代表者が出席し、ソマリランドのFGM/C根絶に向けた活動を継続するための最善策を話し合いました。
意識の変化
ISFの活動は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けながらも、FGM/Cの根絶に向けて前進しています。現地パートナーのNAFISとキャンドルライツの協力のもと、首都ハルゲイサの6地区の宗教指導者に、FGM/Cによる有害な結果に対する認識を高め、この慣習に反対の声をあげるよう働きかけました。
その結果、意識が変化した指導者たちは、FGM/Cについての研修会で、女性の人権を擁護する「アンバサダー」に協力することを約束しました。ゴーダ・ウェイン村のシェイク・アブディラヒ氏は、「私たちの委員会は、娘たちにいかなるFGMも行わないこで合意しました」と、話しました。
また、幼い女の子を持つ、あるアンバサダーは、「私自身FGM/Cの習慣を放棄しました 。そして、娘にFGM/Cを行わないよう母親たちを説得しています」と、語りました。
[1]https://www.unfpa.org/data/fgm/SO
[2]https://www.horndiplomat.com/2021/02/04/a-covid-19-phenomenon-cutters-now-move-from-door-to-door-in-somaliland/およびhttps://solidaarisuus.fi/en/cutters-move-from-door-to-door-in-somaliland/
(翻訳者:祖父江 美穂)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会