パキスタン政府の不法移民国外退去方針により数十万のアフガン人が過酷な帰還
2024年2月13日
2023年12月25日
2023年9月初旬、パキスタンとの国境検問所を通ってアフガニスタンに入国する人は1日300人足らずでした。ところが、9月15日にパキスタン政府が不法移民に国外退去を求めると発表したところ、国境を越える人が大幅に増え(この政策に該当するアフガン難民は130万人と推定)、1日2万人に達する検問所もありました。
11月1日にこの政策が履行されると、40万を超えるアフガン人がパキスタンを離れて祖国に帰還しましたが、そのおよそ80パーセントが女性と子どもでした。
6人の子どもの母親で、現在アフガニスタン東部のナンガルハル州に住むナシマさんは、「夫の仕事がなく、アフガニスタンを出ていくしかありませんでしたが、今度はパキスタンに追い出されました」と話しました。帰還にはかなりの費用がかかるため、多くの人がやむを得ず家財道具を売って移動費用を捻出しました。
ナシマさんは、「ずっとテントにいて、子どもたちは病気になってしまいました」と言いました。「アフガニスタンに戻る費用を工面するため、仕方なく持っていたものをすべて売りました。仕事も家も失いました。これから先、ここでどうなるのか、とても不安です」。
7人の子を持つナビラさんは、人があふれかえる国境検問所で動けなかったつらい夜のことを語ってくれました。
「車や人が殺到したので、国境で一夜を明かしました。国境を越えるのに、いくつもの困難に直面しました。寒さをしのぐあたたかい服もなく、身体をあたためるものもなく、凍える夜を過ごしました。そして翌朝早く出発し、アフガニスタンに戻りました」。
UN Womenが共同で主導した、人道的支援ワーキンググループのジェンダー部門が12月5日に発表したレポートによると、女性たちがそもそもアフガニスタンから逃げざるを得なかった根本的な原因の多くが今も変わっておらず、帰還した少女や若い女性の中には、パキスタンで生まれた人や人生のほとんどをパキスタンで過ごしてきた人がいるということです。
「この15年間、パキスタンで夫と子ども3人と暮らしてきました」とサイーダさんは話しました。パキスタンでは、不法移民だからと家族が差別や嫌がらせを受けたと言います。でも今サイーダさんが心配しているのは、タリバンが女性の移動を制限し社会生活を送る力を封じる中で、どうやって娘が暮らしていけるのかということです。
「私の人生はすでに破綻しています。でも、心配なのは娘の将来です。学校に行くこともかなわなければ、娘はどのような人生を送ることになるのでしょう」とサイーダさんは言いました。
UN Womenはアフガニスタンの現地で女性と少女を支援しており、女性への投資に重点を置いた戦略をとっています。その範囲は、命を救うサービスを提供する女性団体への支援拡大から女性が主導する事業への投資にまで至ります。
UN Womenは帰還民が流入している今回の状況に合わせて、その影響を最も受けているナンガルハル州とカンダハル州に拠点を置き、女性と少女の固有のニーズを捉え、最も危険な状態にある人々を援助しています。
UN Womenが話を聞いたとき、ナビラさんはアフガニスタンに戻って20日ほど過ぎたところで、クナル州に家族で家を借りていました。
「私はアフガニスタンの安全と発展を願っています。戻ってきた祖国で、また良い日々を送れることをみんな望んでいます」とナビラさんは言いました。「子どもたちが飢えないように、辛い目に遭わないようにと願っています。アフガニスタンでより良い生活を送り、豊かに幸せに暮らしたいのです」。
さらに彼女は続けました。「ここアフガニスタンで息子たちも娘たちも学校に行けるようになって、勉学に励み、成功した人生を歩んでほしいです」。
アフガン女性の安全を確保するため、この記事では仮名を使用しています。
(翻訳者:本多千代美)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会