カンボジアとベトナムの女性起業家をエンパワーする助成金と研修プログラム
2024年5月6日
2024年3月6日
新型コロナ・パンデミックの前、33歳のユン・ソーさんは、カンボジア南西部ココン州の村、クルトで、オートバイの清掃と修理を行う自営業を営んでいました。しかし、2021年に彼女の家がロックダウンで封鎖されると、一家は十分な食料を確保するのに苦労することになりました。パンデミックの規制が解除された後も、ソーさんは十分な収入を得るのに苦労しました。
ソーさんは、2023年にUN Womenが運営する金融リテラシー、中小企業経営、求職スキルに関する2日間のトレーニング・セッションに参加した27人の女性のうちの一人でした。彼女はそこで金銭管理の方法を学んだだけでなく、自分の置かれた状況を改善する希望も得ました。
「メリットとデメリットの両方を考えてお金を使うようになり、予算の計画を立てるようになりました。エコツーリズムのビジネスにも興味を持つようになりました」とソーさんは語ります。
カンボジアでは、新型コロナからの復興の一環とし て、UN Womenが2023年後半までに228人を対象にプログラムを実施しました。ココン州のプロジェクトには、男性がジェンダーに対するより公平な考えを受け入れるのを助けるためのネットワークのワークショップ、コミュニティに根ざしたエコツーリズム・プログラムの調査を目的としたカンポット州トロパン・サンケ・ コミューン(Tropang Sangke Commune)への女性の現地視察、カンポット州の女性チャンピオン・ネットワーク（Women Champions Network）の訪問、財務スキルに関するコーチング・セッションなどが含まれていました。さらに、50人の弱い立場にある女性に家庭用の太陽光発電ライトが、また、100人の女性にレインコートと防水バッグが届けられました。
LGBTIQ+コミュニティの一員であるソーさんは、この研修プログラムによって貴重なスキルを学んだだけでなく、ジェンダーの多様性に関する貴重な情報を得ることができ、それによって自分のアイデンティティに自信を持つことができるようになったと語りました。
「自分のままでいることに自信を持てるようになりました。以前より幸せで、自信があり、強くなった気がします」とソーさんは話します。
もう一人のプログラム参加者であるパール・ショーングレーさんは、レッスンを受けたおかげで家計を効果的に管理することができるようになり、自律性と自立性が高まったと語りました。
「私は夫や他のコミュニティの人々と共に家業に関する話し合いに積極的に参加し、身につけた交渉やファシリテーションのスキルを活用しています。この研修がきっかけで、海産物等の特産品を販売するなど、所得を創出するプロジェクトを始めようと思うようになりました。」
隣国ベトナムでも、グエン・フォンさんが新型コロナ・パンデミックによって経済的苦境に陥りました。四人家族は借金を抱え、彼女はその返済に頭を悩ませていました。
しかし、2023年11月、フォンさんの家族は、ティエンザン省の11の地域の困窮している女性たちとともに、ティエンザン女性組合を通じてUN Womenから550万ベトナム・ドン（約200 USドル）の現金給付を受け、生計を立て直すことができました。
フォンさんは、助成金を使って2頭の豚を購入し、女性組合による豚の適切な世話と管理に関する研修を受けて、小規模農場を再開しました。彼女は、旧正月後には、豚を売ることで最大1,000万ベトナム・ドン（約400 USドル）の収入を見込んでいます。
「豚を売って得たお金で、家の雨漏りを直したり、子豚を買い足したりして、これから家族が食事に困らないようにします」と彼女は話します。
もう一人の助成金受給者は、ティエンザン省で4歳の息子を育てる障がいをもつ母親、レ・キム・ティエンさん（29歳）です。彼女は、新型コロナのために、貯蓄と小さな食料品店から得た収入をすべて失いました。
「2023年10月、私は小さな店を拡張するためにUN Womenから資金提供を受けました。商品を多様化し、ネット販売のための新しいスキルを身につけ、経営管理も改善させました。」
彼女は、助成金を利用してから、近所の人以外にも新しい顧客に販売できるようになり、収入が倍増したと言います。
2023年10月から12月にかけて、ティエンさんやフォンさんを含むティエンザン省の現金給付受給者全員が、家畜飼育、作物栽培、経済管理、ビジネススキルなどのさまざまな技能訓練を受けました。研修では、ジェンダーに基づく暴力の防止なども取り上げられました。
UN Womenの「COVID-19の影響を最も受け暴力の危険にさらされている女性のための緊急対応・復興支援」プロジェクトは、オーストラリア政府の資金援助を受けて、ティエンザン省とホーチミン市の合計3,388人の女性に助成金を給付しました。
助成金は、COVID-19の影響を受けている女性世帯主、妊娠中の女性、2歳未満の子どもを持つ女性、障がい者、移住労働者、HIV感染女性、暴力のサバイバー、60歳以上の女性など、最も弱い立場にある人たちを優先的に支援しました。
ティエンザン女性組合のグエン・ティ・キム・フォン委員長はプログラムの意義を強調し、「このプログラムは、経済状況や気候変動が厳しい状況の中で、生活再建を支援する、弱い立場にある女性にとって不可欠なライフラインです 」と述べました。
カテゴリ： ニュース , 国連ウィメン日本協会