エンパワーされた女性たちが南アフリカでより安全なコミュニティを築く
2024年5月29日
2024年3月6日(水)
「ジェンダーに基づく暴力の撤廃をテーマとした授業に感謝しています。そのお陰で、私はひとりきりではないと気づくことができました。」-グロリアさん(プロジェクト参加者)
南アフリカは、女性と少女に対する暴力の割合が世界的に最も高い国のひとつであり、交際関係にある女性の5人に1人がパートナーからの身体的暴力を経験しています[i]。女性と少女に対する暴力は、広く受け入れられている家父長制規範とジェンダー不平等に根ざしており、厳しい社会経済状況によって悪化しています。
女性に対する暴力撤廃のための国連信託基金(UN Trust Fund to End Violence against Women)からの支援を得て、女性主導型の、信仰に基づく組織であるLesedi la Batho(以下、LLB)は、女性に対する暴力のサバイバーをエンパワーし、支援し、彼女たちの権利を取り戻すことを目的とした3年間のプロジェクトを実施しています。
予防教育
LLBは、女性や少女に対する暴力を永続させる考えや規範を、教育を通じて変えることを目指しています。このプロジェクトは、子どもたちがジェンダーに基づく暴力行為を特定し、報告し、有害な慣習に異議を唱えることができるよう、そして、人権、尊重すべき人間関係、健全なコミュニケーション、そして、ジェンダー平等の重要性を理解できるよう、地域の学校で幼少期からセッションを開催しています。このような青少年に焦点を当てた戦略は、プロジェクトの影響力がより強く、より長く続くことに貢献しています。
現在までに1,800人以上が参加し、地域社会から好意的な評価を得ています。
変革の担い手としての女性たち
このプロジェクトを通じて、LLBは、暴力のサバイバーたちのための週1回の支援グループ・セッションを設け、実践的な支援と心理社会的カウンセリングを提供しています。すでに100人以上の女性が参加し、中にはパートナーへの経済的依存に直結する虐待の話をする女性もいました。
LLBのプロジェクト・コーディネーター、ジェネット・ヌクベさんは言います。「このような活動を提供することは、すでにジェンダーに基づく暴力の影響を受けている人たちが、その経験にもっとうまく対処し、肉体的にも精神的にも癒される最善の方法を学ぶことにつながります。」
このプロジェクトはまた、女性サバイバーたちが自分たちの支援グループのファシリテーターになるための訓練も行っています。これにより、彼女たちは啓発キャンペーンを通じてより広いコミュニティに働きかけ、真の変革の担い手となることができます。
経済的エンパワーメント
このプロジェクトは、経済的依存と虐待の関連性を認識し、女性サバイバーに技能開発訓練、シード資金プログラム、職業斡旋サービスを提供しています。これらは、女性たちが小規模ビジネスを始めたり、強化したり、あるいは、新たな職を見つけるのに役立っています。最終的に、経済的にエンパワーされた女性はより自立して自信を持つようになり、その結果、虐待的関係から抜け出す可能性が高くなります
パートナーからの精神的虐待に直面していたシングルマザーのサリーさんは、LLBの起業プログラムを通じて支援を受けました。2023年10月、彼女は香水ビジネスを提案し、シード資金を得ました。それ以来、彼女のビジネスは開花し、主な収入源となっています。今では2人の女性を雇用し、子どもたちに食事と教育を提供できるようになりました。さらに、彼女は自信と将来への希望も手に入れました。
ジェネット・ヌクベさんはこう述べました。「女性は、収入を得ることで、より安全になりより自立できるだけでなく、女性の家族やコミュニティも強化されるのです。」
女性の権利に投資するということは、LLBのように、暴力のサバイバーがより自立したくましくなれるよう、全力でエンパワーし、支援している女性の権利団体に投資することを意味します。
[i] 南アフリカ共和国統計局(2020年)、「南アフリカにおける女性に対する犯罪、GBVとフェミサイド現象の分析: 同国における女性に対する犯罪の蔓延とフェミサイドにつながるGBVを悪化させる状況の概要」より
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会