行動の要請:ガザへの緊急人道対応
2024年6月19日
ヨルダンのスウェイメで開催された会議「行動の要請:ガザへの緊急人道対応」でのシマ・バフース国連事務次長 兼 UN Women(国連女性機関)事務局長のスピーチ
2024年6月12日 UN Women事務局長 シマ・バフース
[実際のスピーチ]
ヨルダンとエジプトがこの緊急行動の呼びかけのために今日私たちを招集してくれたことに感謝申し上げます。
私たちの目の前で、想像を絶する事態がガザで繰り広げられています。戦争は誰の犠牲も厭いませんが、女性や少女は異なった影響を受けます。
ガザで起きている危機の連鎖を示す統計は数え切れないほどあります。それは多くの意味で、女性に対する戦争でもあります。
しかし、平和、人道支援、復興、そして希望を求める最も力強い声は、ガザの女性たち自身です。彼女たちの声、強靭性、勇気こそが、私たちの対応に響き渡らなければなりません。先週、あるガザの女性が私たちの会議にボイスメッセージを送ってくれました。:
「ガザの女性たちは、世界中の女性たちと同じように、子どもたちを埋葬したくないのです。彼女たちは子どもの遺体が瓦礫の下に残されることを望んでいません。彼女たちは飢えたくありません。そして、世界に目をそらしてほしくないのです。」
今日、私たちのほんの少し向こうで起きていることの前では、復興について語るのはほとんどばかげたことのように感じられます。しかし、私たちがここにいること、目をそらさないことが重要なのです。
この9カ月間、UN Womenのガザにおける戦争のジェンダー分析(UN Women ジェンダーアラート)は、全住民、そして女性と少女の基本的な生活環境がシステマティックに悪化していることを示してきました。
これまでにイスラエル軍によって、6,000人の母親を含む10,000人以上の女性が殺害され、19,000人以上の子どもたちが孤児となっています。
これらの悲痛な統計は、悲劇の実際の規模を過小評価している可能性が高いと思われます。女性たちは私たちに、食料なしで生活していると報告してきます。食事を抜いている家庭の95%で、食べていないのは母親であることが、私たちのデータから明らかになっています。ガザの全人口230万人は、飢餓の危機に瀕しています。女性は医療的支援がなく、しばしば麻酔なしで出産しています。
ガザでは100万人以上の女性と少女が、安全な水や、ディグニティ(尊厳)を保つために不可欠な衛生用品を手に入れることができずにいます。
女性たちは眠ることができず、複数の健康問題を抱えています。不安や抑うつを感じ、深いトラウマを負い、多くは食料不足でめまいがすると報告しています。私たちはこうした現実から目を背けることはできません。
当面の課題、そして最終的な復興に向けて、私たちは解決策を探らなければなりません。
何よりもまず、包括的な復興アプローチが必要であり、そのためには女性が必要なのです。
女性なくして復興はありえない。それは当然のことであり、暗黙の了解のように思うかもしれませんが、私たちは何度も何度も復興初期の取り組みにおいて女性の声が軽んじられ、女性の主体的な能力が見過ごされることを目の当たりにしてきました。
緊急生活支援から現金支援、がれき撤去、民間セクターへの支援、インフラの復旧など、早期復興への介入が確実に機能するためには、女性の声と女性の主体性が必要です。
混乱が落ち着いた時、ガザのパレスチナ人は、開発の遅れや失業といった厳しい現状に戻されます。復興と癒しのための余地は限られています。
女性の方が、こうした厳しい現実の影響をずっと深刻に受けます。
私たちが行動を起こさなければ、ガザの女性や少女たちが耐えた深い苦しみは、何世代にもわたって響き続けることでしょう。すべての女性と少女が癒されるような包括的な心理社会的サービス、財産証書や書類のない女性ですらアクセスできるシェルター、生活再建のための経済的機会、学校や大学への復帰、そして、社会的結束を守り、コミュニティと国の幸福を回復するための経済的機会を、あらゆる復興努力に含めることが不可欠です。
破壊はジェンダーを考慮しませんが、復興がそうである必要はありません。女性の参画は譲れないということを明確にする必要があります。
それは後から付け加えられるものではなく、前提条件です。女性の権利と参画のために絶え間ないアドボカシーが必要です。
また、復興活動をリードしていくガザの女性やパレスチナの組織が必要です。彼女たちは我々の「ネクサス」(絆、つながりの中心)なのです。昨日発表されたUN Womenのジェンダーアラート第4号では、こうした組織に光が当てられています。彼女たちは爆撃を受け、スタッフが殺されているにもかかわらず、折れることがなく、揺らぎません。
彼女たちは急速に優先事項を命を救う援助と緊急救援へと拡大し、また、それらへと優先順位を移してきています。
私は、すべての人道支援および開発パートナーに対し、ガザ対応への貢献においてジェンダー平等のための資金を確保するよう強く求めます。
私たちは、アドボカシー活動、現金支援、そしてジェンダー平等を提唱する人々が行っている救命活動のために、柔軟に対応できる資金を必要としています。もし私たちが失敗すれば、人々すべてのニーズを満たすことができなくなるでしょう。
私はまた、私の友人であり同僚でもあるフィリップと彼のUNRWAチーム全員に敬意を表します。彼らは前例のない状況の中で、希望とレジリエンス(強靭性)の光であり続けています。
UNRWAは、ガザ、ヨルダン川西岸、そしてこの地域のパレスチナ人にとって生命線であり、彼らのサービスは不可欠であり、その勇気は称賛に値します。
私は、平和への呼びかけでこの発言を終えたいと思います。爆撃を止め、流血を終わらせ、癒される必要があります。恒久的な停戦、妨げられない、即時かつジェンダーに対応した人道的アクセス、人質の解放、そして二国家解決への回帰の必要性は、かつてないほど緊急性を増しています。
昨日採択された安全保障理事会決議2735が、女性と少女を含むすべてのガザの人々のための復興対応を遅滞なく前進させる一助となることを願っています。
UN Women事務局長としての私のメッセージはシンプルです。ガザの女性たちは、行動に対する私たちの呼びかけの中心であり、和平に向けたあらゆる努力の中心であるべきです。女性抜きではいかなる対応も長続きせず、持続可能でもありません。
ありがとうございました。
Call for action: Urgent humanitarian response for Gaza | UN Women – Headquarters
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会