生理の貧困 – なぜ何百万人もの少女や女性が生理に対処することができていないのか
2024年7月12日
2024年5月24日
世界中の何百万人もの女性と少女が、生理の健康や衛生を管理するのに必要な生理用品を買えず、水や衛生施設を利用できていません。生理のために学校や仕事に行けなかったり、健康に悪影響が出たりしていますが、このままであっていいはずがありません。
生理の貧困とは
毎月、世界中で20億人以上 [1] が生理を迎えます。 当たり前で健康な現象なのに、何百万人もの女性と少女が自身の生理の健康と衛生を管理するのに、生理用品を買う余裕がなく、安全な水や衛生施設を使うことができていません。そのために女性の暮らし、権利、自由が妨げられています。
生理の貧困とは、生理用品の購入や衛生施設の利用ができないことや、生理の健康を管理するための教育や啓発を受けられないことを指します。簡単に言うと、生理の貧困によって女性と少女は多大な犠牲を強いられているということですが、このままであっていいはずがありません。
生理の貧困の原因とは
偏見、高額な生理用品、水と衛生施設の不足が世界中で生理の貧困を引き起こしています。
世界中の何百万人もの人にとって生理用品はとてつもなく高額です。ジェンダーに無関心な政策と税法(女性用製品への「ピンクタックス」など)がその一因ですが、そうした政策決定は、生理に関する偏見やタブーと結びついています。例えば、米国の多くの州では、バイアグラ(勃起不全治療薬)は税控除の対象になる健康製品に分類されている一方で生理用品はぜいたく品と分類され、最高税率がかけられています。
加えて、個室トイレなどの基本的な衛生サービスをいまだに受けられない人が15億人以上います。安全に管理されたトイレを利用できないことで、生理の間、多くの少女が学校に行けず、女性は仕事に行くことができません。12か国の農村部の少なくとも10人に1人の女性または少女は、前回の生理の間、洗濯や着替えをする専用の場所がありませんでした。
生理の貧困はまた、偏見に加え情報や教育の不足によってずっと続いており、多くの少女や若い女性が生理についての知識や準備がないだけでなく、政策決定者や学校や職場で意思決定の力を持つ大人も生理の教育を十分に受けていません。
バングラデシュとエジプトでは、 初潮の前に生理のことを知っていたと答えた少女がそれぞれ32 %と66 % にとどまり、そうでない少女の多くがショックを受け怖がりました。
生理に関して有害な社会的文化的規範が存在するコミュニティにおいては、偏見と差別が高まっています。今日に至っても、世界には生理中の少女や女性は不潔で触れてはいけないものとされている地域があり、移動や皆のいる場に近づくことを制限されています。生理中の女性や少女は、腐るので特定の食べ物に触れてはいけない、礼拝の場に入ってはいけない、隔離しなくてはいけない、という根拠のない社会的通念が広まっています。
生理の貧困の影響を受けるのは
生理の貧困は、豊かな国、貧しい国のいずれにおいても女性と少女に影響が及ぶ世界的な健康問題です。生理の健康と衛生を管理するために女性と少女がとれる手立ては、収入や都市部に住んでいるか農村部に住んでいるかによって大きく異なります。
例えば、バングラデシュ、エジプト、インド、マダガスカル、ジンバブエでは、 都市部に住んでいる思春期の少女と女性は生理用ナプキンを使っている傾向が高く、 一方で農村部の少女と女性は布を使う傾向にあります。WHOとユニセフのデータによると、 エチオピアの農村に住む思春期の少女と女性の5人に1人は生理用品を使っていないのに対し、都市部では使っていないのは20人に1人です。
アメリカでは、 10代の4人に1人、大人の3人に1人が生理用品の購入に苦労しており、 特に有色人種や低所得世帯の10代が苦労しています。
プラン・インターナショナルの2020年の調査によると、 英国の10人に3人が生理用品の購入や利用に困っており、その半数以上が代わりにトイレットペーパーを使っていました。
危機の中での生理の健康と衛生の管理に関する課題
生理を管理することは、衛生というよりむしろ健康の問題であり、何よりも人権とジェンダー平等の問題であるという認識が高まっています。今日、6億1,400万人の女性と少女が紛争地域で暮らしており、紛争、危機、災害から逃れてきた女性と少女の数は増加しています。国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) は2023年、難民全体の51%を女性と少女が占めると推定しました。危機の中でも生理は止まりません。しかし、生理の衛生管理と、女性と少女の健康と尊厳は、危機対応において優先順位が低いです。
移動中や難民キャンプでは、国を追われた女性と少女には着替えや洗濯のためにプライバシーを守られる場所がありません。ミャンマーの国内避難民の女性と少女は、生理用ナプキンの使い方と処分の仕方を知ると、布よりも使い捨てナプキンを好むようになりました。
UN Womenの最近のガザからの報告によると、54万人以上の出産可能年齢の女性と少女が自身の衛生、健康、尊厳を守る用品を入手できていません。 生理用品を入手できないので、布やスポンジを使わざるを得ません。UN Womenは、ガザの女性と少女のニーズに応え尊厳を守るために、毎月1,000万個の使い捨て生理用ナプキンが必要だと見積もっています。
レバノンでは、経済危機の間、 国内産の生理用ナプキンとその他の衛生用品の価格が98~234%上昇しました。 2020年4月、66%の少女が生理用品を買う余裕がないと答え、そして生理は触れてはいけない話題なのでほとんどの少女と女性はそれについて語りませんでした。
この解説記事のパート2をお読みください: 生理の貧困の負担は重すぎる、終わらせるために行動しよう!
注[1]: 既存の生理の健康のデータはおおむね15歳から49歳の思春期の少女と女性に関するものです。2022年には、この年齢層の女性は世界全体で約20億人でした。しかし、ノンバイナリーやトランスの人たちも生理を経験しています。
(翻訳者:早乙女由紀)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会