すべての人の性と生殖に関する健康と権利を求める国連共同声明
2024年7月19日
2024年世界人口デーを記念するUNFPA、WHO、UNICEF、UNAIDS、UN Womenによる声明
2024年7月11日
4月、ニューヨークの国連本部で、各国政府は1994年の国際人口開発会議(ICPD)の行動計画の実施を加速させるというコミットメントと決意を新たにしました。この行動計画の原則は、誰もが性と生殖に関するヘルスケア・サービスにアクセスできることを確保し、リプロダクティブ・ライツ(生殖に関する権利)を推進するというコミットメントを含め、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に組み込まれています。
過去30年間には大きな進歩がありました。1990年以降、近代的な避妊法を利用する女性の数は倍増しました。2000年以降、妊産婦死亡率は34%減少しています。2022年までに、HIV治療へのアクセスにより、世界で推定2,080万人の死亡が回避されました。しかし、最近では、この進歩は停滞し、場合によっては逆戻りしつつあります。今後も進展が続くという見通しには全く保証はありません。コロナ・パンデミックの継続的な影響、紛争の持続と増加、気候変動、格差の拡大、二極化の深まりなど、すべてが質の高い必要不可欠な保健サービスへのアクセスを損なっています。こうした妨げに対して、緊急の行動が求められています。
女性と少女は、こうした課題の影響を不釣り合いな割合で受けており、強制、暴力、差別を受けることなく、情報に基づいた意思決定を行い、完全な身体の自律性を行使するという基本的人権である権利を妨げられています。人権に基づく性と生殖に関する健康への介入や情報への公平で持続可能なアクセスは、多くの人々、特に社会から疎外された女性、思春期の少女、人道危機にあったりや紛争地帯に住む人々には、依然として手が届かないものです。最新のデータによれば、生殖可能年齢にある女性の半数以上が、妊娠するかどうか、あるいはいつ妊娠するかについて、十分な情報を得た上で自分自身で決定することができず、また多くの女性が、リプロダクティブ・ライツ(生殖に関する権利)を十分に行使するための自律性と主体性をいまだに欠いています。
すべての人々の健康と権利を促進し、誰一人取り残されないことを確実にする義務がある国連機関として、私たちは、世界人口デーに際し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの一環として、プライマリー・ヘルスケアレベルを含む強靭な保健システムを通じて提供される包括的な性と生殖に関する保健サービスへのアクセスを強化するよう、政府、ドナー、市民社会組織、民間セクターを含む国際社会に対して呼びかけます。私たちは、安価で質の高い、権利に基づくケアへのアクセスを強化するために、エビデンスに基づく規範的ガイダンスを実施する必要性を強調します。サービスがすべての人に受け入れられるようにするためには、スティグマと差別をなくし、有害な社会的・ジェンダー的規範をなくす努力が必要です。
私たちはまた、包括的なセクシュアリティ教育へのアクセスを加速化し、教育やジェンダーなどの社会セクターを横断して、少女と女性の生涯を通じての健康と幸福を高めるための行動を強化することを求めます。包括的な性と生殖に関する健康と権利を促進することは、正しいことであるだけでなく、賢いことでもあります。女性と少女のリプロダクティブ・ライツと主体性に投資し、サービスへのアクセスを拡大することによって、私たちの世界が切実に必要としている社会的福利、経済的繁栄、平和の面を含めた顕著な見返りが得られることが証明されています。女性と少女にとって長期的にプラスとなる結果を生み出すためには、国内、国際、公共、民間など、あらゆる資金源からの追加的資金調達が不可欠です。
私たちはまた、若者、女性、そして、地域社会が、性と生殖に関する健康と権利をめぐる懸念について声を上げ、彼・彼女らのニーズや変わりゆく世界(そこでは特に気候変動が性と生殖に関する健康と権利に影響を与えている)の現実に対応した解決策を設計し提供しようとしている一層の努力を早急に支援しなければなりません。コミュニティとともに、またコミュニティのために保健介入策を立案し、実施するための包括的でボトムアップのアプローチは、より持続可能な結果をもたらし、最も取り残されている人々に手を差し伸べることを可能にします。
私たちは、遠隔医療、人工知能、ビッグデータ分析、予測モデリングのような最先端技術の探求において官民が協力し、地理的なギャップを埋め、特に遠隔地や十分なサービスを受けていない地域において、必要不可欠なサービスへのアクセスを拡大することを強く求めます。同時に、私たちは、アクセスにおけるジェンダー格差、テクノロジーによって助長されるジェンダーに基づく暴力、テクノロジー設計に組み込まれたシステマティックな偏見など、こうした新しいテクノロジーに内在するリスクに対処するよう、イノベーターたちに呼びかけます。
最後に、私たちは政府、地域社会、市民社会組織、民間セクターが団結し、ICPD行動計画の画期的なビジョンに沿って、ジェンダーの平等を推進し、人権の完全な実現を促進するやり方で、包括的な性と生殖に関する健康への普遍的なアクセスを優先することを求めます。私たちは、コミットメント以上のもの、いつも通り以上のものを求めています。つまり、これはすべての人が健康、尊厳、安全に対する権利を実現できるような方法で協力し、革新することを訴えるものです。9月の国連総会で開催される「未来サミット」に向けて、今こそ大胆かつ果断に行動し、すべての人にとってより公正で公平、かつ持続可能な世界への道を切り開く時です。
30年前、カイロで179カ国の政府が、性と生殖に関する健康とリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)、そして女性と少女のエンパワーメントを、持続可能な開発の基礎となる柱として認識する枠組み、すなわち国際人口開発会議(ICPD)の画期的な行動プログラムを採択しました。国連機関として、私たちは共に包括的な性と生殖に関する健康と権利を推進することにコミットしています。これは、すべての人が到達可能な最高水準の身体的・精神的健康を享受する権利に不可欠であり、ジェンダー平等の達成にとって非常に重要なものです。
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