30万人のハイチの女性と少女、基本的な安全・保健サービスを受けられず、避難を余儀なくされています
2024年7月25日
ハイチの政情不安定が、女性に対する性暴力の増加に拍車をかけているとUN Womenが報告
2024年7月17日
ニューヨーク、ポルトープランス – UN Womenの最近の報告書によると、ハイチで30万人の避難民となった女性と少女が憂慮すべき生活環境と治安の欠如に直面しており、おさまらない政情不安やギャングによる暴力の激化がそれに拍車をかけています。さらにカリブ海の島はハリケーンシーズンの脅威にもさらされています。
ハイチの国内避難民58万人のうち54%を女性と少女が占めていることから、UN Womenの新たな緊急ジェンダー評価(Rapid Gender Assessment)は、その場しのぎのキャンプがいかに基本的な生活必需品を欠いており、女性と少女を、特に性的暴力やジェンダーに基づく暴力の危険にさらしているかを明らかにしています。ポルトープランスで最も人口が多く、多様な人々が暮らす6つの国内避難民キャンプで実施された調査によると、ほとんどのキャンプでは、寝室やトイレなどの重要な場所に照明や鍵がなく、キャンプで暮らす人々は武装ギャングの脅威に日常的にさらされています。流れ弾やその他の治安上のリスクが常に存在することからも、キャンプ内の防護強化が緊急に必要であることが浮き彫りになっています。
女性や少女に対する攻撃、より具体的にはレイプも、人道支援への女性のアクセスをコントロールするための意図的な戦術として、ほとんどのキャンプで使われています。調査対象となった女性のうち、避難場所の管理で指導的役割を担っているのはわずか2%にとどまっており、キャンプ内の意思決定に女性と少女が積極的に参加することを保証し、日常的に危険にさらされている女性と少女のための保護措置を講ずることが急務です。
UN Womenのシマ・バフース事務局長は、「私たちの報告書は、ハイチで女性がギャングの手によって直面させられている、性暴力への不安と残虐行為のレベルが前例のないものであることを示しています。今すぐやめさせなければなりません。私たちは、新たに任命された政府に対し、女性と少女が受けている暴力を防止し、対応措置を講じるとともに、キャンプの運営への女性の参加を増やし、彼女たちの安全上の懸念に耳を傾け、行動するよう強く求めます。人道支援は、女性と少女の異なるニーズに沿って安全に行われなければなりません」と述べました。
この調査では、聞き取り調査に応じた女性の88%以上が、キャンプで収入源を持っていないことも明らかになっています。その結果、10%以上が、少なくともいちどはニーズを満たすためにセックスワークや売春に頼ったことがある、または検討したことがあると答え、さらに20%が少なくともセックスワークや売春をした人ひとりを知っていると答えました。女性回答者の約16%が、暴力的な武装ギャングから脅迫、嫌がらせ、トラウマを感じていると回答し、70%近くが暴力の急増によって精神的に影響を受けたと回答しました。調査対象となった女性のうち、避難民キャンプで医療サービスを受けられたと答えたのはわずか10%にすぎませんでした。
UN Womenは、女性平和人道基金、国連平和構築基金、ドイツが支援するプロジェクトなどを通じて、受け入れコミュニティやキャンプ内の避難民に手を差し伸べる女性団体を支援しています。UN Womenは、性暴力やジェンダーに基づく暴力の防止を向上させ、女性サバイバーにサービスを提供するために警察官の訓練もしています。また、ノルウェーが資金提供する女性の経済的エンパワーメントプロジェクトを通じて、道路封鎖ややまない暴力の影響を受ける女性起業家が経済活動と安全を守れるように支援を続けています。
UN Womenは、多国間安全保障支援(MSS)ミッションに関与するすべての関係者に対し、女性と少女の即時保護を保証し、毎日何千人もの女性と少女の命が危険にさらされている過密な避難民キャンプを管理する上で、ハイチの女性団体に主導的な役割を与えるよう呼びかけています。
レポートと方法論について
緊急ジェンダー評価は、98人へのアンケートと、140人の女性と少女とのフォーカスグループディスカッション(ある特定のテーマに関して少人数(通常6〜8人)のグループに対してインタビューを行うもの)を通じて実施されました。
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会