世界人道デー(8/19)によせて: 忘れられ、置き去りにされているロヒンギャ難民
2024年8月6日
支援が足りていません。今こそ皆様のお力が必要です!
世界を見渡すと、ガザ、アフガニスタンなど厳しい状況が続いている中で、いつの間にかロヒンギャ難民がニュースから消え、忘れ去られてきました。でもその大変な状況は全く改善していません。
ロヒンギャの人々が大量にミャンマーからバングラデシュのコックスバザールに強制的に集団移住させられてから6年以上が経過しました。 現在約96万1000人のロヒンギャ難民がコックスバザールとバサンシャル島に居住しており、その半数以上(52%)が女性と少女です。
深刻な資金不足
持続性のある解決策が早急に求められているのに、必要な資金が全く不足しています。UN Womenを含む国連は、2024年3月、共同対応計画(JRP)2024を立ち上げました。8億5,240万米ドルを拠出して、100万人のロヒンギャ難民と34万5,000人以上のバングラデシュ人に救命支援を提供することを目指したのです。しかし、この計画が深刻な資金不足に陥っています。
資金不足の中で陥っている現状
キャンプ レベルのモニタリングとUN Womenによるコミュニティへの働きかけによると、ジェンダーに基づく暴力事件が増加傾向にあります。難民がますます児童婚や一夫多妻制、人身取引などの負の対処方法に頼るようになっている様子がうかがえます。受け入れ地域の特定の区域では、貧困と脆弱性が極めて高くなっています。また縛りをともなうジェンダー規範が、女性と少女の自己実現と主体性の権利の行使を制限しているのです。
ロヒンギャ難民の権利を守るために設立された女性・ロヒンギャ・難民主導の団体の創設者でディレクターのヌール・アジザ氏はこう言っています。「私たちの大量虐殺は、過激派ビルマ軍事政権によって戦略的に計画され、82年間も続いてきました。彼らは徐々に抑圧的な規制を実施し、強制労働、1982年の市民権喪失、軍事戦術としてのレイプの使用、土地の没収、身体的暴力、結婚の制限、モスクの閉鎖、教育の拒否、家族の規制、村の焼き討ちなど、アパルトヘイト体制下でロヒンギャに生きることを強いてきたのです。私たち女性と少女は、先祖代々の故郷でも、移住中でも、ジェンダーに基づく暴力に耐えながら、計り知れない困難に直面しています」
それでも希望はあります:女性たちはがんばって自立を目指しているのです
これは、UN Womenが立ち上げた8つの多目的女性センター(MPWC)で行われている研修に参加して、自立の道を歩めるようになった女性のストーリーです。
「ミャンマーでは、簡単に直せる粘土製のコンロを調理に使っていました。でもここ(難民キャンプ)では、どの家族にもガスバーナーが与えられました」と28歳のモスダは言っています。「壊れるたびに毎回修理工を呼ぶのはお金がかります。このトレーニングのことを聞いて、学ぶのが楽しみになりました」。
モスダとラジュマ(30歳)は、ロヒンギャ・キャンプの各家庭に支給されている標準的なシングル・ガス・バーナーの分解方法を誇らしげに実演しています。「バーナーはよくゴミやホコリでふさがれ、以前は毎回250タカ(2.30米ドル)を修理工に払わなければなりませんでした。でも、訓練を受けてからは自分で直せるようになりました」とモスダは付け加えました。
「昨日、近所の人からバーナーの修理を頼まれました」とモスダは言っています。「私は彼女からお金はもらっていません。私はいつも、啓発セッションで得た情報を家族や近所の人たちに伝えています。他の女性たちからどうやって学ぶのと聞かれたら、こう答えています。『 私が教えることもできるし、MPWCに行くこともできる』と」
ラジュマは、研修がきっかけで、6人の子どもたちを養うための収入を得ることができる実用的な技術を学ぶようになったと言っています。「夫も喜んでいて、私の学習にとても協力的です。次は漁網を作って、売れるようになりたいです。キャンプでは網の需要がたくさんあるからです」。
UN Womenが現地で行っている支援
多部門にまたがるサービスをワンストップで提供できるようにするため8つの多目的女性センター(MPWC)が設立されました。2022年9月現在、8つのMPWCは次のようなサービスを提供しています。
* ロヒンギャと受け入れ地域の153,668人の女性と思春期の少女が、命を救うための情報にアクセスできるようになった。
* ロヒンギャと受け入れ地域の9,797人の女性と思春期の少女が、生計技能開発に参加し、経済的能力を向上させた。
* ロヒンギャと受け入れ地域の1,943人の女性と思春期の少女が、セカンド・チャンス教育プログラムを通じて教育を受けた。
* 指導力が改善された結果、ロヒンギャと受け入れ地域の女性指導者80人が参加する5つの自主的な女性指導者ネットワークが設立され、社会的結束を高めるのに貢献した。
ジェンダーに対応した統治や取り締まりを含め、ロヒンギャの女性や少女は、ジェンダーに対応したサービスを受けられるようになりました。
* 女性・児童警察ヘルプデスクが10カ所に設置され、259人(女性113人、男性146人)の警察官が、ジェンダーに対応した取り締まりを確保するための訓練を受けた。
* ロヒンギャの女性と少女、60人のボランティアが、5人のUN Womenジェンダー・フィールド・オフィサーと協力して、6つのキャンプでジェンダーに対応した統治原則を実施するための支援を行っている。それには、ジェンダーに対応した統治原則の実施、広報と活動への参加を通じて、248,430人のロヒンギャのコミュニティメンバーへの啓発・感化が含まれる。
世の中から忘れ去られた現場で、UN Womenは今も立ち去ることなく支援を続けています。
それを可能にするのは、安定した長期にわたる資金をもたらす皆さまからの継続的なサポートです。
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通信欄:「ロヒンギャ」