タリバンによる政権奪取から3年を迎えた国連本部での記者会見: UN Womenアフガニスタン代表アリソン・ダビディアン氏
2024年8月16日
UN Womenアフガニスタン駐在代表のアリソン・ダビディアン氏は、国連本部の正午のブリーフィングで、タリバンによる政権奪取から3年が経過した女性と少女の状況について語りました。
2024年8月13日
アフガニスタン北部から帰ってきたところです。そこで出会った女性たちに、自分たちの人生について世界に何を伝えたいかを尋ねました。
ナシマという女性は、こう言っていました。「私は16歳で結婚しました。学校は卒業できませんでした。私の願いは、娘の人生がより良くなることでした。でも今、彼女の人生がもっと悪くなるのではないかと心配しています。私たちの声にまだ耳を傾けてくださる方たちに、私たちが自由のために戦うのを助けてください、と訴えたいです」
今週は、タリバンがアフガニスタンを掌握してから3年を迎えます。
3年間にわたって、女性や少女を標的とした数え切れないほどの法令、指令、声明が発令され、彼女たちの基本的権利が剥奪されてきました。まさに彼女らの自主性が骨抜きにされています。
本日発表された最新の出版物は、2021年8月以降、州都から農村部まで、何千人ものアフガニスタンの女性に対して行った聞き取りをもとに、彼女たちの身に起こっている出来事の動向を示しています。
最初の、そして最も顕著な動向の一つは、アフガニスタンの女性が公的な生活から抹殺されていることでした。
3年前から今日まで、アフガニスタンでは、国や州レベルで政治的に影響を与える指導的地位に就いている女性はいません。アフガニスタンの女性がタリバンの組織に関与するときは、彼女たちの役割は主に、他の女性が差別的な法令を遵守しているかどうかを監視することに限られています。
この政治的な場からの抹殺は、社会レベルに反映されています。私たちのデータによると、基本的権利が奪われると、生活のあらゆる領域に影響を与えることがわかっています。調査対象となった女性のうち、98%が、コミュニティの意思決定に限られた影響力しか与えられない、あるいはまったく与えられないと感じていました。
それは家庭にも反映されています。自分が家庭レベルでの意思決定に影響を与えることができると感じている女性の割合は、昨年から60%近く減少しています。3年前、アフガニスタンの女性は、法制上は大統領選に出馬することを決めることができました。でも今では、いつ食料品を買いに行くかさえ決められないこともあるのです。
3年前でも状況は完璧ではありませんでした。でも、これほどひどくはありませんでした。
権利の喪失に関連して、私たちのデータはメンタルヘルスの危機が深刻化していることを示しています。聞き取りを行った女性の68%が、メンタルヘルスが「悪い」または「非常に悪い」と報告しています。また、8%が、自殺未遂をした女性や少女を少なくとも1人知っていると回答しました。
また、3年経った今、明らかなのは、タリバンによる女性と少女の権利に対する制限が、次の世代に影響を与えるということです。
私たちの分析によると、2026年までに、110万人の少女が学校から、10万人以上の女性が大学から退学し、その影響により、早期出産率が45%増加します。また、妊産婦死亡のリスクが少なくとも50%増加します。
この深刻化する女性の権利危機に直面して、私はよく尋ねられます。「アフガニスタンの女性と少女を支援するために何ができるでしょうか」と。
私の答えはいつも、以下の要点に集約されます。
私たちは、女性への投資を続けなければなりません。タリバンの社会に対するビジョンを覆せるのは、彼らが抑圧しようとしている国民の一部、つまり女性に力を与えること以外にありません。
実際には、過去3年間のUN Womenの活動に基づき、女性への投資は3つの主要な戦略に集約されます1
1.草の根の女性組織に柔軟かつ長期的な資金を配分することです。 これは、女性や少女に手を差し伸べ、彼女たちのニーズに応え、女性が意思決定に影響を与えることができる数少ないセクターに投資するための最も効果的な方法のひとつです。難しいですが、可能性はあります。
2.女性と少女の抹殺に対抗するためのプログラムを設計し、彼女たちのレジリエンス、エンパワーメント、リーダーシップに直接投資することです。特に教育、生計、起業のための取り組みは、ジェンダー不平等の構造的要因に有意義に対処するための重要な方法です。
3.最後に、アフガニスタンの女性が自分の懸念や優先事項を直接表現できるスペースを促進することが不可欠です。私たちのデータによると、アフガニスタンの女性は自分自身を表現したいと考えています。しかし、ただあちらで会議に出席したり、こちらで活動に参加するだけでは不十分です。どのような取り組みにおいても、私たちは次のように自問自答する必要があります。アフガニスタンの女性の意見をどのように取り入れて、彼女たちの真の参加を実現できるでしょうか? 女性の排除のパターンを打破するために、何ができるでしょうか。今までやってきたことと違うもっと有効なやり方を実現できるでしょうか?
3年前、全世界がタリバンによる政権奪取によって引き起こされた恐怖に次ぐ恐怖をライブストリーミングで見ていました。
3年後、世界の注目が他の場所に向けられても、アフガニスタンの女性や少女たちの恐怖は止まらず、抑圧に立ち向かうという彼女たちの信念も失われていません。
女性の権利のための闘いに関して言えば、アフガニスタンだけでなく、世界的にも転換点にいます。世界は、アフガニスタンの女性と少女に何が起こっているのか、見定めようとしています。ある場所では、非難するために監視しているかと思えば、タリバンの構造的抑圧を見習うために監視している所もあります。
アフガニスタンの女性たちをひとりで闘わせるわけにはいきません。もしそうするなら、女性の権利のために闘う道徳的根拠はどこにもなくなります。
彼女たちの運命は、世界中の女性の運命を決定します。
ナシマさんと彼女の娘、そしてすべてのアフガニスタンの女性と少女たちのために、私たちが何をするか、あるいは何をしないかは、私たちが国際社会として何者であり、何を支持しているのかという究極の試練をつきつけています。
アフガニスタンを視察したアリソン・ダビディアン氏は言っています。草の根の女性組織に柔軟かつ長期的な資金を配分することが大切と。
アフガニスタンの女性に寄り添うUN Womenが活動を続けるには、安定した、持続可能な資金が必要です。その実現に欠かせないマンスリードネーション(毎月継続寄付)にご協力ください。
https://www.unwomen-nc.jp/202407_campaign/
都度募金ご希望の方は以下をごらんください。
■インターネットでクレジット決済を利用される方
以下のURLから1口500円からでもお申込みいただけます。
https://www.unwomen-nc.jp/?page_id=4292
「団体へのメッセージ」に”アフガニスタン”とご支援先がわかるようにご記入ください。
■インターネットを利用されない方
以下の、郵便局からの振り込みのご利用をお願いいたします。
郵便局 振替口座番号:00240-7-43928
口座名義:NPO法人国連ウィメン日本協会
通信欄:「アフガニスタン」
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会