ファクトと推計:パレスチナ紛争下の女性と少女たち

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2024年9月5日

2023年10月7日、ガザ市のナスル地区で、自宅が破壊された後の女性たち
写真 ユニセフ/Mohammad Ajjou

パレスチナ自治区(OPT)では、56年以上にわたるイスラエルの長期占領、16年にわたるガザ封鎖、そして、イスラエル治安部隊とパレスチナ武装集団との間で繰り返される敵対行為によって、因習的に人道的ニーズがもたらされてきました。 2023年は、暴力の激化、政治的不確実性、人道危機の深化の年となりました。人道支援カントリー・チームは、2023年10月7日以前に、パレスチナ自治区全体で約210万人のパレスチナ人が何らかの人道支援を必要とし、そのうち49.2パーセントが女性であると推定しました(24パーセントが18歳未満、23.7パーセントが18歳から65歳、1.5パーセントが65歳以上)。人口の約53パーセントが貧困ライン以下で生活しており、247,000世帯が貧困状態にあると推定されています[1[i]]。

10月7日、ハマスとガザの他のパレスチナ武装集団がイスラエルに対する攻撃を開始し、約1,200人が死亡、イスラエル軍のメンバーや民間人が拘束されました。イスラエル軍は「臨戦態勢」を宣言し、ガザ地区の標的への攻撃を開始しました[2[ii]]。10月9日、イスラエル政府はガザに対する「完全包囲」を命じ、水、電気、燃料を遮断、ガザ内部への支援の一切の流れを止めました。ハマスが一部の人質を解放し、ガザへの人道援助を増加させた7日間の「人道的一時停止」は、12月1日には終了してしまいました。ガザとイスラエルの交戦は続いており、ヨルダン川西岸で暴力行為が急増している中、有意義な人道支援活動は「ほぼ不可能」となっています。

ガザに住む女性は、現在の紛争の関連で、またパレスチナの法律が女性を男性の保護・後見の下に置くことを前提としているなど構造的にあるジェンダー差別のために、特有で緊急なニーズと脆弱性を抱えています。紛争の激化は、ガザに住むすべての人々に保護の危機をもたらし、特に単身女性、世帯主の女性、思春期の少女、障がいを持つ女性、高齢の女性の保護に対するニーズは高まりました。過密状態の避難所では、女性と少女のプライバシーは確保できません。食料と水へのアクセスは非常に限られており、これは特に授乳中の女性や若い女性に深刻な影響を与えています。女性と少女は、安全で尊厳の守られるトイレや入浴施設を利用できていませんし、月経衛生は損なわれています。 女性と少女は、安全なシェルター、食料、水、性別に分けられた尊厳の守られる安全なWASH設備(水・トイレ・衛生設備)、性と生殖に関する健康と心理社会的支援を含む保健サービスを利用可能である必要があります。ディグニティ・キット、生理用ナプキン、防寒着、補助器具など、食糧以外の必須アイテムへのアクセスも必要です。ジェンダーに対応した人道支援は、世帯主の女性、単身女性、妊娠中の女性、障がいを持つ女性、慢性疾患を持つ女性、高齢の女性など、最も弱い立場にある女性に届くものでなければならなりません。

暴力はガザ以外にも広がり続けています。2023年はすでに10月7日以前の時点で、ヨルダン川西岸地区において、第2次インティファーダ(パレスチナ人による民衆蜂起)以来最も死者が多い年のひとつであることが判明していました[3[iii]]。ヨルダン川西岸地区におけるパレスチナの建造物の破壊は、とりわけ住宅、商業ビル、学校、医療施設において、過去6年間で最高レベルに達していました[4[iv]]。公共インフラや住宅の破壊が続き、イスラエルにおける労働許可の取り消しやその他の移動制限も、ヨルダン川西岸のパレスチナ人の生活に大きな影響を与えています。

敵対行為の激化を受けて、UN Womenは、女性、男性、少年、少女に対する差別化された危機の影響を分析し、それぞれのニーズへの適切な対応を確保すべく取り組んできました。推計値からなる以下のデータは、2023年10月7日以降、ガザおよびヨルダン川西岸地区の女性と少女がどのような影響を受けているかという問題の一部を示しています。

2024年8月18日の時点で、少なくとも40,139人のパレスチナ人がガザで殺害されました。殺害された人の約70%は女性と子どもだと言われています。また、92,743人のパレスチナ人が負傷しています。多くの人々が行方不明で、おそらく瓦礫の下に埋もれていると思われ、今も救助や回復を待っています。

ガザ

ヨルダン川西岸地区

最終更新2024年8月21日

UN Womenは1997年以来、パレスチナ女性が社会的、経済的、政治的権利を獲得できるよう支援しています。

Facts and estimates: Women and girls during the conflict in Palestine | UN Women – Palestine Country Office



[1][i] https://www.ochaopt.org/content/humanitarian-needs-overview-2023

[2][ii] https://www.ochaopt.org/content/flash-appeal-occupied-palestinian-territory-202

[3][iii] https://www.ohchr.org/en/press-releases/2023/01/israelpalestine-un-experts-condemn-renewed-violence-and-israeli-killings

[4][iv] https://www.ochaopt.org/data/demolition

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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