政治指導者に女性が少ない理由と、女性の政治参加を促進するための5つの行動

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2024年10月8日

2024年9月10日付

近年で最大の選挙年に、107カ国は一度も女性の国家元首を擁立したことがありません。2024年には、女性は国会で27%、地方自治体で35.5%しか議席を占めていません。

国連は、民主主義の理想を支える原則、すなわち平和、安全保障、開発、人権を推進しています。民主主義体制においては、女性と男性は平等な権利を有し、差別がなく、人々は決定に対して発言権を持ち、決定者に責任を問うことができます。

女性の政治参加は、民主主義が十分に機能するために不可欠です。女性の参画は正義の問題であり、より効果的なガバナンスを生み出す重要な要素です。もっと多くの女性が政策立案に参加することによって、保健、教育、育児、インフラ、女性に対する暴力の根絶など、重要な問題についての立法が促進されること、また、それは女子が高等教育やキャリアの機会を追求するきっかけとなることがわかっています。

しかし、世界のあらゆる地域で、意思決定の場面から女性の声が消えていっています。

9月15日の国際民主主義デーに、また、ジェンダー平等の達成と女性と少女のエンパワーメントのための最も包括的なグローバル・アジェンダである、先見性のある「北京宣言と行動綱領」の30周年に向けて、意思決定の場に女性が少ない理由と、そのギャップを埋めるために何ができるかを探ってみましょう。

XVConferenciaMujerALC2022の枠内で開催された#ForoParlamentarioで、19カ国の国会議員と地域議会の代表が、「地域ジェンダー・アジェンダ」の経験と課題について意見交換した。 写真 UN Women/Demian Marchi

意思決定に携わる女性がまだ少なすぎる

女性の政治的代表性における最も大きなギャップは、権力の最高レベルに見られます。現在、女性がリーダーを務める国は27カ国だけで、10年前のわずか18カ国から小幅の増加にとどまっており、107カ国では女性リーダーが誕生したことがありません[1[i]]。

世界の省庁を率いる閣僚に占める女性の割合はわずか23%で、男女平等数の閣僚を擁する国はわずか15カ国です。141カ国では、女性は閣僚の3分の1以下であり、7カ国では閣僚に女性が全くいません。現在の進捗率では、閣僚レベルでの男女平等は2077年以前に達成されることはないでしょう

世界的に見ると、議会における女性の割合は27%で、平等が達成されるのにはもう39年かかると予想されています

地方レベルでは、今年の時点で女性は選出議員の35.5%です。

国政に占める女性の数が最も多い国と最も少ない国

今年は、少なくとも63カ国で大統領選挙と議会選挙が実施されます。2024年には16億人が投票することになりますが、これは前例のない数です。

選挙に臨む国々には、女性の議会参加率が最も高い国も低い国も含まれています。例えば、メキシコとルワンダは、男女比が唯一50%-50%の二か国です。

2024年1月現在、女性の政治参画率が40~49.9%の国は7カ国(オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、モザンビーク、ナミビア、北マケドニア、南アフリカ)しかなく、女性の政治参加率が5~8%の国は6カ国(イラン、キリバス、モルディブ、パラオ、ソロモン諸島、ツバル)です。

インドのラジャスタン州アルワール地区の村議会議長は、リーダーシップのスキルを身につけるべくUN WomenのパートナーであるThe Hunger Projectが主催する会議に出席。女性たちが集まって、優先課題について話し合い、アルコール依存症、道路や飲料水の不足といった問題の解決策を探っています。 写真 UN Women/Ashutosh Negi

女性の政治参加への障壁

政治参加に対する女性の権利は、北京行動綱領や持続可能な開発目標(SDGs)など、数十年にわたり国際的な合意によって再確認されてきましたが、女性の政治的リーダーシップに対する障壁が世界的に根強く残っているため、その実施は遅れています。

有害な規範やジェンダーに基づく暴力は女性の政治的権利を妨げ、メディアにおける固定観念は男性と比べて女性は正当で有能な指導者として劣るという考えを永続させています。

政治や公の場で活躍する女性に対する殺害、レイプ、身体的暴力のオンライン上の脅迫は、驚くほど一般的になっており、人工知能の台頭は、このようなオンライン上の虐待の規模と範囲をさらに激化させる可能性があります。UN Womenがヨルダン、レバノン、ネパール、パレスチナ、チュニジアの地方議会で女性の役職者を対象に調査を実施した際、調査回答者が直面してきたハラスメントの中で最も蔓延していたのは心理的暴力であり、次いで性的暴力、経済的暴力(給与、執務スペース、備品などの資源へのアクセスを拒否されるなど)であることが明らかになりました。女性役職者は、勤務する地方政府機関内で最も頻繁にハラスメントに遭遇し、さらに地域社会や家庭内でもハラスメントに遭遇したと報告しています。

さらに、政党が女性をリーダーや候補者にすることに抵抗があることや、勝者総取りの選挙制度があるために女性が男性と対等に競争することが難しいことなども障壁となっています。また、女性は男性に比べて、政党の推薦を求めたり、選挙に出馬したりするために必要な資源へのアクセスが少ないことが多く、これには、経済的ネットワークや政治的後援へのアクセスが限られていることも含まれています。発展途上国では、ささやかな候補者登録料さえ払えないことが、女性を選挙プロセスへの参加から排除しかねません

最後に、政治的意志の欠如がこれらの課題を悪化させていることが挙げられます。指導者が男性優位の意思決定に異議を唱えることを拒む限り、ジェンダー平等への進展は遅いままなのです。

「権力と意思決定を担う女性たち:異なる世界の構築」のセッションでの参加者たち: 2月27-28日にサンティアゴで開催されたこのイベントは、2015年に世界中で開催された北京+20の主要イベントのひとつです。写真 UN Women/カロリナ・サインツ

女性の政治参加を増やすために政府ができる5つの行動

すべての選挙は、女性の政治参加を促進し、ジェンダーの平等と女性の権利を向上させる機会です。以下の行動は、永続的な変化を起こすことに資するものです:

1.法制化されたジェンダー割当やジェンダー・バランスの取れた人事など、特別な措置を利用すること

世界中で、ジェンダー・クォータ制が女性の参画を効果的に高めることが示されています。国会のクオータ制が義務付けられている国では、女性は国会の議席の平均26%を占めているのに対し、そのようなクオータ制がない国では21%です。同様に、地方選挙でクオータ制が法制化されている国では、クオータ制のない国よりも女性の代表率が平均7ポイント上昇しています

しかし、クオータ制の潜在的な可能性は、しばしば50%を下回る目標が設定されたり、実施メカニズムが欠如しているか脆弱であったりして、十分に実現されていません。94カ国が議会にジェンダー・クォータ制を導入していますが、そのうち女性代表率の目標を50%に設定しているのはわずか5分の1です

2.政治に関わる女性への暴力をなくすこと

暴力は、女性が政治や公的生活に参加する権利の行使を妨げ、社会により広範な影響を及ぼします。暴力は、公的制度を弱体化させ、政策の成果を弱め、平和と開発の進展を妨げます。政府は、選挙中やそれ以降の暴力を防止し、加害者の責任を追及し、被害者のための司法とサービスへのアクセスを強化するための法律と政策を成立させ、施行しなければなりません。政治に関わる女性に対するオンライン上の暴力によりよく対処するために、政府はそのようなハラスメントに関するデータを収集し、関わったメディアやソーシャルメディア企業に責任を負わせるべきです。

3.女性の有権者、政治家候補者、選挙管理者の平等な扱いを確保すること

選挙管理機関およびその他の利害関係者は、非差別、誠実さ、透明性、暴力からの自由、紛争解決を促進する包括的な政策と行動規範を策定し、実施すべきです。女性の投票権を守るために、政府は有権者登録を促進し、投票所の安全を保証し、強制や脅迫から女性を守らなければなりません。選挙管理への女性の参加は、選挙の包括性と信頼性を高め、より多くの女性の投票を促すことになります。

4.女性の候補者と代表者の意思決定を支援すること

各国政府は、女性候補者のリーダーシップと選挙運動能力を伸ばすための能力開発プログラムに投資し、女性候補者に的を絞った資金を配分するよう選挙資金を規制しなければなりません。また、政府は、政党が女性候補者とそのキャンペーンに的を絞った資金を配分するよう促すために選挙資金を規制することを検討すべきです。このアプローチは、資金ギャップを埋め、政治への平等な参加を促進するのに役立つでしょう。

5.女性の政治参加に関する公正で透明性のあるメディア報道を奨励すること

選挙報道を規定する法律は、選挙プロセスを規制し、十分な情報に基づいた国民の参加を確保するために不可欠です。そのような法律は、すべての候補者についてのバランスのとれた報道を確実にし、すべての政党のメディアアクセスを保証し、暴力を扇動するヘイトスピーチや暴言を禁止し、ジェンダーの固定観念や差別を抑止し、女性やその他の代表権を持たないグループを暴力から守るべきです。さらに、違反した場合の制裁とともに、これらの規制に対する独立した監視を確立すべきです。



[1][i] 2024年8月16日現在、国連代表部が提供した情報に基づきUN Womenが算出。君主制を採用している国は元首の数から除外しています。

https://www.unwomen.org/en/news-stories/explainer/2024/09/five-actions-to-boost-womens-political-participation

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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