国連「国際ガールズデー」オンライン チャリティ イベント「紛争下における南スーダンの少女たちの状況」を終えて
2024年10月11日
国連ウィメン日本協会では、少女たちを取り巻く課題を多くの方々に知っていただくために毎年イベントを開催しています。2024年10月6日には、前年に引き続き公益財団法人日本女性学習財団との共催で実施しました。現在、UN Women南スーダン事務所でMonitoring and Reporting Specialistモニタリングならびに報告専門官として勤務しておられる会田有紀氏をお迎えし、現地の少女たちの状況を伺いました。
国連ウィメン日本協会の橋本ヒロ子理事長に続いて日本女性学習財団の野村浩子理事長のご挨拶の後、会田氏から南スーダンの概要、紛争と隣国スーダンの内紛の影響、甚大な被害をもたらした水害と少女の状況、女性の教育、女性への差別や暴力、UN Womenの活動について等を伺い、また日本政府の資金援助により自立した生活が可能になった現地女性の様子を紹介したビデオを視聴しました。
10月11日は「国際ガールズデーInternational Day of the Girl Child」です。少女のエンパワーメントを目的とし、少女たちの権利を守り、ジェンダー平等で明るい未来を目指すための日として国連が2011年12月に制定しました。
世界で193番目の国として、2011年にスーダンから独立して誕生した世界で一番新しい国 南スーダン。平和構築と国づくりが同時進行で行われている国です。推定1億2千万人(2021年)の人口のうち5~9歳の子どもの数が一番多く、30歳以下が人口の70%を占めている多民族国家です。成人年齢は18才。識字率は世界最下位(2023年)です。男性優位の傾向は顕著であるとのこと。多子家庭が多く、持参金目当ての児童婚が行われています、2016年に起きた武力衝突以降、南スーダンから国外へ逃れた難民は2024年5月31日現在でも220万人を数え、女性と子どもが多いそうです。逃れた先は隣国ウガンダを筆頭に、スーダン、エチオピア、ケニアと続き、ヨーロッパ、アメリカも含まれます。また、度重なる洪水被害により、多くの避難民を抱えることになり、避難民の一時滞在先であるキャンプも安全であるとは言えず、性暴力や蛇等による被害が報告されているそうです。また、水害のために学校が閉鎖になり、学校から支給される生理用品がないために、苦労している少女たちも少なからずあるとか。このように十分な支援が得られない、支援を受けることができても格差がある等、厳しい現状が伺えました。
100名に近い参加者にとっては、ご講演を聴くだけでなく、様々な質問に対する会田氏からの丁寧な回答を通して、日本からはるか遠い南スーダンで暮らしている少女たちが置かれた状況の一端を知り、理解を深める貴重な機会になりました。イベント開始時刻の日本時間16時は現地時間の9時という時差を越えて、会田氏がおられる首都ジュバの空気を感じることができたのも得難い経験になったと言えます。
「南スーダンの少女と女性の状況を良い方向にもっていくのは気の遠くなるような長い 道のりであると感じています。」と会田氏はおっしゃっています。国際NGOでジンバブエの教育支援、エチオピアの難民支援、日本の福島の復興支援、ラオスの生計向上支援等の豊富なご経験を通しての言葉として重く受け止めました。
これからも国連ウィメン日本協会は世界の女性と少女のために息の長い、継続的な支援を続けてまいります。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。