世界で 20 億人の女性と少女が、いかなる形態の社会的保護も受けられずにいることが、UN Women の報告書で明らかになりました
2024年10月16日
2024年10月15日付
【プレスリリース】
女性は、失業手当、年金、ヘルスケアなどの対策に関して、世界的に見て遅れをとっています。
2024 年 10 月 15 日ニューヨーク-UN Women の最新の旗艦報告書は、社会保護(現金給付、 失業保護、年金、保健医療を含む一連の政策)におけるジェンダー格差が拡大し、女性と少女が貧困に対してより脆弱になっていることを明らかにしています。
10 月 17 日の「貧困撲滅のための国際デー」に先駆けて発表された本報告書によれば、 驚くべきことに 20 億人の女性と少女が、いかなる形の社会保護も受けられずにいます。2015年以降、社会的保護のレベルは向上してはいますが、ほとんどの開発途上地域で、社会的保護の適用範囲に関してジェンダー格差は拡大しており、最近の向上は女性よりも男性の利益になっていることを示唆しています。
この報告書は、世界中の母性保護の悲惨な状況を示しています。進歩があるにもかかわらず、依然として世界の女性の63%以上が出産給付金を利用できずに出産しており、サハラ以南のアフリカではその割合が94%に達しています。出産休暇中の経済的支援の欠如は、女性を経済的に不利な立場に追いやるだけでなく、女性と子どもの健康と幸福を損ない、世代を超えて貧困を永続化させています。
報告書は、貧困のジェンダー的性質について、厳しい描写をしています。女性と少女は、人生のどの段階においても貧困層に含まれる割合が圧倒的に高く、その格差は出産期において最大となり、25歳から34歳の女性は、同年齢層の男性よりも極貧世帯に住む確率が25%高くなっています。紛争と気候変動は、この不平等をさらに悪化させます。脆弱な状況にある女性は、脆弱でない環境にある女性に比べて、極貧の生活を送る確率が7.7倍高くなります。
ジェンダー特有のリスクや脆弱性は、ショックの後では軽視されがちです。例えば、2022年以降の非常に高いインフレ率は、食料品やエネルギー価格の高騰を招き、特に女性に大きな打撃を与えました。しかし、その後の数ヶ月間に171カ国の政府によって取られた約1,000の社会保護措置のうち、女性の経済的安全保障を対象としたものはわずか18%であったことが、本報告書で明らかになっています。
「ジェンダーの平等、強じん性、そして変革のための社会的保護の潜在的可能性は非常に大きい。この潜在的可能性を活用するために、私たちは、政策やプログラムのデザインから提供や資金繰りに至るまで、プロセスのあらゆる段階において、女性と少女の尊厳、主体性、そしてエンパワーメントをその中心に据える必要があります」と、UN Women 政策・プログラム・政府間部門 ディレクターのサラ・ヘンドリクス氏は述べ、国連経済社会局との合同イベントで報告書を発表しました。
学術界、市民社会、そして国際労働機関(ILO)をはじめとする国連システムからのインプットにより、本報告書は進歩の事例にスポットライトを当てています。モンゴルのような国々では、牧畜労働者や自営業者を含む非正規労働者にまで出産休暇の給付を拡大し、またケア提供の責任におけるジェンダー平等を支援するために男性育児休暇を強化しています。メキシコやチュニジアのような国々では、家事労働者を社会保障制度に含めるための措置が取られています。セネガルでは、UN Women の支援を受けて、国民健康保険制度が農村部の女性のニーズに対応するようにサービスを拡大し、適応させています。
これらのイニシアチブは、ジェンダーに対応した、すなわち女性と少女が直面する特有の課題に特別な注意を払った社会保護制度、政策、およびプログラムの変革の可能性を示しています。
この混迷する世界において、UN Women の報告書は、社会的保護対策と危機対応における女性と少女のニーズを優先することによって、彼女たちが貧困から抜け出す持続可能な道筋を提供するよう各国政府に呼びかけています。
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会