国際ガールズ・デー:少女たちの権利と未来へのビジョン

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2024年10月18日

国際ガールズ・デーに際して、UN Womenは世界中の少女たち、そして少女たちの権利に関心を寄せるすべての人々と力を合わせ、「少女たちの未来へのビジョン」を支援します。

2024年10月8日付

今年の「国際ガールズ・デー」のテーマは、「少女たちの未来へのビジョン」ですユニセフの調査結果は、少女たちは困難に立ち向かう勇気を持つだけでなく、未来に希望を抱いていることを示しています。今日、そして毎日が、世界が彼女たちのビジョンに賛同し、平等でより良い未来を築くために投資するチャンスなのです。

2023年12月、バングラデシュのコックスバザールで国際人権デーのポスターを作る少女たち。写真 UNWomen/シャイヌール・モニール・シムル

少女の権利と北京宣言・行動綱領

平等とは、より良いことであり、合意された事柄です。 約30年前の1995年、世界中から17,000人の代表が参加した第4回世界女性会議で、189カ国の政府が北京宣言と行動綱領を採択しました。この宣言は、女性の権利に関する世界で最も広く支持され、先見性のあるアジェンダであり続けています。また、特に少女の権利に焦点を当てた、女性に関する最初の世界的な政策文書でもあります。

北京行動綱領は、少女に対する差別や、少女を教育や機会から遠ざけている否定的な姿勢や固定観念をなくすための行動を約束したものです。また、STEM(科学、技術、工学、数学)や技能訓練への少女のアクセスを向上させる必要性を強調して、少女の健康を改善し、暴力から守り、発言力、選択力、参加力を高めるための行動の青写真を示しました。これらの行動は、今日もなお妥当なものであり、緊急性を帯びています。

少女の権利に関する重要な事実


現在、1億1,930万人の少女が学校に通っていないが、これは2015年からわずか4.3%しか減少していない

19歳になるまでに、思春期の少女の4人に1人がパートナーからの虐待を経験している

2030年までに900万人の少女が子どものうちに結婚する

データ出典:UN Women, UN DESA, The Gender Snapshot 2024; WHO, Violence against women prevalence estimates, 2018. 女性に対する親密なパートナーからの暴力に関する世界、地域、ならび国レベルの推計値、女性に対する非パートナーからの性的暴力に関する世界および地域レベルの推計値;ユニセフ、最新動向と将来展望2023年更新版

2023年10月、ルリンド地区のIPRCトゥンバ・ポリテクニック・カレッジで開催されたルワンダ初のAGCCI(African Girls Can Code Initiative)でコーディング・ブートキャンプに参加したナタチャ・サングワさん。写真 UN Women/ジェノ・オチエン

少女の権利、少女のビジョン、私たちの未来

ICTにおける少女たち

今日、かつてないほど多くの少女が学校に通っていますが、特にSTEM(科学、技術、工学、数学)の分野では、男子と同等の機会を享受していません。STEM分野の卒業生のうち女性はわずか35%STEM分野の労働者のうち女性はわずか29%を占めているだけです。これからの未来において、少女たちの雇用を逃がし、大きな損失を被ることになります。一方、今後5年間でデジタル男女格差を解消すれば、世界経済に5240億ドルをもたらす可能性があるのです

ルワンダ出身のナタチャ・サングワさんがコンピューター・コーディングを学ぼうとしたとき、彼女の周りの人々は「本当にできると思うの?」と疑問を呈しました。コーディングには時間と集中力が必要ですが、女の子にはそれが足りないと思われていたのです。何しろ、技術職のほとんどは男性が占めているのですから。

サングワさんは、「私は、コーディングを学び、技術分野のキャリアを追求することで、彼女たちが間違っていることを証明したいと思ったのです」と語りました。彼女は、ルワンダを含む11カ国でUN Women、国際電気通信連合、アフリカ連合が主導しているAGCCI(African Girls Can Code Initiative)の一員です。このプログラムが主催するコーディング・キャンプでは、参加している少女たちはコーディング、ロボット工学、ジェンダー平等について学びます。

「若い女の子たちに技術分野における女性のロールモデルを提供し、やる気を起こさせることは、この分野に女性を増やすために不可欠だと思います」とサングワさんは語りました。コーディング・キャンプに参加して以来、サングワさんは他の少女たちのピア・メンターになることを楽しみにしています。

「私たちはテクノロジーの未来であり、多くのことを成し遂げることができます。ジェンダーを理由にテクノロジーの分野で成功できないなんて、誰にも言わせないでください」とサングワさんは言います。彼女のストーリーの全文はこちらからご覧ください

ブラジル・リオデジャネイロ出身のレベッカ・クリスティーナ・カシアーノ・ドス・アンジョスさん(19歳)は、OWLA参加プログラムのヤングリーダー。写真 UN Women/ロッサーナ・フラガ

ジェンダー平等なオリンピックがゲームを変える

パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会は、今年、男女同数の出場という歴史を刻みました。UN Womenはブラジルとアルゼンチンの少女たちに話を聞きましたが、彼女たちは、スポーツにおけるジェンダー平等のビジョンを披露してくれました。

スポーツは、少女たちが人生を前進させるために必要なスキルを教えてくれます。スポーツをする少女は自尊心を育み、学校に長く通い、妊娠を遅らせ、より良い仕事に就く傾向があります。フォーチュン500社の女性CEOの80%は、人格形成期にスポーツをしていました

しかし、14歳になるまでに、少女は男子の2倍の割合でスポーツから遠ざかってしまいます。社会的規範、安全な場所の欠如、そして、少女のためのスポーツプログラムへの投資が不十分であることがその原因です。

ブラジルのリオデジャネイロに住むレベッカ・クリスティーナ・カシアーノ・ドス・アンジョスさんは、4歳のときに水泳を始めました。しかし、スポーツを続けるのは大変なことでした。

「偏見、性差別、スポンサーや後押しの不足との闘いの毎日です」とレベッカさんは言います。「不平等は子ども時代に始まります。女の子は人形や台所用品を与えられ、家庭や家族に尽くす方法を学ぶことを期待されるのに対して、男の子はサッカーボールを与えられ、サッカーのプログラムに参加させられるのです」。

彼女は、UN Womenと国際オリンピック委員会(IOC)が後援するスポーツプログラムを最近修了したブラジルの若い女性15人とアルゼンチンの若い女性30人の集団の中に入っています。「OWLA参加」イニシアチブの下、彼女たちはアドボカシー・スキルを身につけ、スポーツ・エコシステムにおける著名な意思決定者数人と出会い、スポーツ管理職における女性の割合の低さ、スポーツにおける少女と女性のための安全なスペースの欠如、そして、人種差別に取り組むための戦略を提案しました。彼女たちの考えについて、こちらからさらにご覧ください

マカ・チコウェロさんはMTC Educate A Girl Incの創設者兼社長であり、アスリートであり、国連世代間平等ユース・タスクフォースのメンバーでもある。写真 UN Women/ライアン・ブラウン
 

生理の貧困を終わらせ、STEMに取り組む少女たちを支援する

マカ・チコウェロさんは15歳のとき、ジンバブエの農村部の少女たちが教育やスポーツにアクセスし、リーダーシップを発揮できるよう支援する非営利団体MTC Educate A Girl Incを設立しました。

生理の貧困が農村の少女を退学に追い込むとチコウェロさんは言います。「若い女性や少女たちは、生理のために人生を逃しているのです。必要な生理用品を手に入れることができないために、仕事や学校、スポーツイベント、リーダーシップの機会を得ることをやめなければならなくなっています」。

チコウェロさんはジンバブエとアメリカ合衆国の出身で、アスリートであり、青年活動家でもあります。彼女は今年、第68回国連女性の地位委員会に出席し、少女の権利を支援するための政策と財政的支援を提唱しました。

「教育は、特に農村部において女性と少女を貧困から脱却させるツールです。私はその証しを見てきました」と彼女は言います。

「少女の高等教育への投資と支援システムの構築は非常に重要です。少女たちはしばしばSTEM教育からはじき出され、少女であるという理由だけでSTEMの追求を奨励されません。教師は、幼い頃から少女がSTEMを追求することを奨励し、自分たちがそのような場にいる価値があると思わせるよう、その役割を果たさなければなりません。」

電子機器廃棄物のリサイクルに関する意識を高めるために講演を行うE-Cycle Indiaの創設者サヒティ・ ラダさん(マイクを持っている女性)。写真提供:サヒティ・ラダ

気候変動対策をリードする少女たち

電子廃棄物は、インドで最も急速に増加している廃棄物です。インド環境森林気候変動省によると、2021年および2022年にインドで発生した電子廃棄物は160万トンで、そのうちリサイクルされたのはわずか32.92%でした。

インド・ハイデラバードの16歳の環境リーダー、サヒティ・ラダさんは、路上で衛生作業員たち(その多くは子どもたち)が不適切に処理された電子廃棄物によって影響を受けているのを見て、問題の深刻さに気づきました。

「電子廃棄物には、水銀やヒ素などの有毒な発がん性物質が含まれています。これらの物質が私たちの生態系を汚染することで引き起こされる被害は、取り返しのつかないものです」と彼女は話します。

2022年、ラダさんはE-Cycl Indiaを設立し、電子廃棄物をリサイクルし、責任ある電子廃棄物処理に関する一般の人々の意識を高めています。E-Cycl Indiaは、回収とリサイクル活動を通じて1万キログラム以上の電子廃棄物をリサイクルし、これまでに100人の衛生作業員の生活を支えてきました。学校や職場での学生主導の啓発セッションやソーシャルメディアを通じて、何百人もの若者を取り込んできました。

ラダさんにとって、気候変動対策について若者たちに希望と自信を持ってもらうことが重要です。「自分の行動がどんなに小さくても、取るに足らないものであっても、それは意味のあることなのです。常に最新の知識を身につけましょう。あなたから奪うことのできない唯一のものはあなたの知性であり、知性なくして気候変動との闘いはありえません」。

ラダさんはUN Womenと国連環境計画(UNEP)と共に、インドにおいて「気候変動に対して強靭な社会のための女性(EmPower)」のプログラムに取り組んでいます。

インドとパキスタンで気候変動対策をリードする少女たちについては、こちらからもっと詳しくご覧ください。
☞ Youth Day Spotlight: How Two Young Women are Tackling Environmental Crises | UN Women – Asia-Pacific

(記事原文)International Day of the Girl: Girls’ rights and vision for the future | UN Women – Headquarters

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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