生物多様性の喪失は女性にどのような影響を与えるのでしょうか、 どのようにすれば流れを変えられるのでしょうか
2024年10月28日
2024年10月21日付
生物多様性の喪失、気候変動、汚染という3つの地球危機は、生命と生活を危険にさらし、地球上のすべての生命に変化を起こしています。
気温の上昇と汚染は、すでに多種多様な生物とその生息地の喪失につながっており、気候変動のスピードと影響を抑制するために緊急の行動を取らない限り、これらの傾向はさらに悪化すると思われます。
これらの変化はすべての人に影響を及ぼしますが、なかでも女性と少女への影響は甚大です。特に農村部の女性は、漁業、農業、薪収集など、生計を立てるために天然資源に大きく依存しています。生物多様性の損失は、これらの資源へのアクセスを減少させることで、彼女らの生存を直接脅かし、ひいては食料安全保障と収入に影響を与えています。
これらの結果は、ジェンダーと生物多様性に関するUN Womenの新しいデータブリーフに記載されています。この報告書は、私たちが直面する可能性のある悲惨な未来と、その最悪の被害を軽減するために今何をしなければならないかを示しています。
生物多様性は、2024年10月21日から11月1日までコロンビアのカリで開催される国連生物多様性条約第16回締約国会議(UNCBD)でも議題の最重要課題になっています。
生物多様性の喪失が女性に与える影響は、世界の中でどのように異なっているでしょうか
生物多様性の喪失が世界の女性や少女に与える影響は、正確には彼女たちが以前から持っていた脆弱性、疎外、そして私たちが共有する環境の特定の部分にどれだけ依存しているかによって異なります。
緑地
森林、牧草地、その他の緑地が生物多様性の喪失を経験し始めると、それらに依存する人々の食料、水、空気に影響を及ぼします。
これは、女性や少女に広範な影響を与える可能性があります。雇用されている女性の約26%が農業で働いており、さらに数百万人が、家族の所有する区画を耕したり、水を汲んだりするなど、環境に依存する非公式の責任を負っています。
これらの環境が緊張にさらされると、家族は抜本的な手段に頼ることがあります。例えば、乾燥率の増加と児童婚率の上昇との間には強い相関関係があり、児童婚はしばしば思春期の妊娠、学校中退、生涯収入の低下、家庭内外で主体性を持てなくなることにつながります。
生物多様性の喪失は、特に健康問題に関連しており、女性がすでに負担している介護負担を悪化させます。汚染と生息環境の劣化は、マラリアのような媒介感染症の蔓延を増加させ、女性は家族やコミュニティの病気のメンバーの介護者として不釣り合いな負担を強いられることになります。
変化する海と水不足
気候変動、汚染、土地利用の変化、水需要の無制限の増加により、世界の河川、海、その他の水域の健康状態が悪化しています。
世界的に、女性は食料が不足すると、家族の栄養を優先して、自分自身の食物摂取量を減らす傾向があります。データがある国全体で、藻類が大量に発生している水辺 (多くの場合、農業による水などの流出や肥料の過剰使用の結果) に住む女性は、他の女性よりも高レベルの貧血を発症する可能性が高く、これは彼女たちが多様で栄養価の高い食品を摂取することが不十分であることを示しています。
これは特に、漁業や海産物の収穫に頼って生計を立てている、沿岸地域社会の最貧困世帯に住む女性に当てはまります。
水不足の増加は、女性と少女にも特定の影響を及ぼします。多くの地域では、女性が水を汲み、家庭の食料供給を管理する責任を担っています。環境の悪化は、彼らの無償労働を大幅に増加させ、重要な資源へのアクセスを難しくします。
また、何百万人もの女性が生計を海に依存しています。例えば、セネガルでは、漁業の仕事の約50%が女性によって占められています。しかし、乱獲や気候変動などの要因により、この地域の魚資源が枯渇し、女性の貧困と食料不安が深刻化しています。
政治力と経済力
女性は、世界の環境に最も大きな影響を与える公的機関や民間組織の意思決定から、いまだに大きく排除されています。
環境省庁のうち、女性がトップを占めているのはわずか16%で、水管理や漁業など、極めて重要な環境保全に関連する省庁の指導的ポストに女性はほとんどいません。
また、世界のトップの漁業、林業、農業、エネルギー企業、収益上位10社を調査しても、女性のCEOは見当たりません。これらの企業の多くは、世界中の生物多様性の損失に最も大きな責任を負っているというのにです。
こうした省庁や企業のトップ・リーダーの地位に女性がいないことは、世界的に永続的な影響を与える意思決定プロセスに貢献出来うる女性の可能性を大きく制限しています。
では、何ができるのでしょうか?
これらすべての問題に対する包括的な対応は、ジェンダー平等以外にありません。
緑地では、男性は女性よりも多くの土地を所有し、管理しているため、女性は農地の使用について決定を下せていません。しかし、データが入手可能な国で見ると、女性は化学農薬や化学肥料の使用を制限する傾向があります。
土地所有と保有権の保障への女性の権利を強化することは、緑地を緑に保つのに役立つ可能性があります。
女性は、健康と生活のために沿岸での漁獲と清潔で健康的な水システムに依存しているにもかかわらず、これらの重要な生態系の管理を監督する世界的な意思決定プロセスは、主に男性の手に委ねられています。
国際海底機構、国際船級協会連合、大陸棚限界委員会などの組織で女性の代表を増やすことで、漁業、水質汚染、資源管理などのトピックスに関する政策に女性の視点が統合されるようになる可能性があります。
権力の世界では、環境に関する意思決定への女性の関与を促進することが不可欠です。
環境とそれに最も直接的に生活が結びついている人々の両方にとって環境保護システムの有効性を高め、保護方法が地域社会や移住者の間で適切に実施されるようにするために、特に先住民族の女性は主要なリーダーシップの役割を果たすべきです。
気候変動、汚染、生物多様性の損失は、すべての女性、男性、少女、少年に影響を及ぼします。その結果は、誰もがさまざまな方法で感じています。そして、女性と少女への影響は、児童婚の増加から体力低下まで、深刻と言わざるを得ません。
衰退しつつある生態系を救うために協力することによってのみ、私たちはすべての人にとってより健康で公正な世界を創造できます。
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会