女性に対する戦争 ― 武力紛争で死亡する女性の割合は2023年に倍増
2024年10月29日
国連、戦時下の女性の悲惨な姿を描く: 紛争の増加にもかかわらず、2023年の和平プロセスにおける交渉者のうち女性は10%に満たない
2024年10月22日付
【プレスリリース】
10月22日、ニューヨーク ― 戦争や紛争が女性と少女に及ぼす影響は悪化しています。2023年、武力紛争で死亡した女性の割合は、2022年に比べて倍増しました。2023年に紛争によって死亡した10人のうち4人が女性でした。また、国連が確認した紛争関連の性的暴力の事例は50%増加していました。
このような戦死者の増加や女性に対する暴力の増加は、戦時中の女性と子どもを保護するための国際法がますます露骨に無視されるようになっていることを背景に起こっています。例えば、戦地にいる女性たちは、医療へのアクセスが制限され、ますます苦しんでいます。紛争の影響を受けた国々では、毎日500人の女性と少女が妊娠・出産に関連する合併症で命を落としています。戦争で荒廃したガザでは、2023年末までに、毎日180人の女性が出産しており、そのほとんどは必需品も医療ケアも手に入れることができていませんでした。
これは、UN Women主導によるアントニオ・グテーレス国連事務総長の「女性・平和・安全保障(WPS)」に関する最新の年次報告書が描いている悲惨な姿です。この報告書は、紛争のすべての当事者に対し、女性と少女の安全を確保し、和平プロセスへの女性の全面的な参加を求めた安全保障理事会決議1325の採択から24年後に出されたものです。
UN Womenのシマ・バフース事務局長は、「女性たちは、男性たちの戦争の代償を払い続けています」と述べ、更に、「これは、女性に対する、より大きな戦争の中で起きていることです。女性の権利が意図的に標的にされるのは、紛争の影響を受けた国に限ったことではありませんが、そのような状況ではより致命的です。私たちは、様々な紛争地で、ジェンダー平等が敵意の対象となり、攻撃されるのを目の当たりにしています。もし私たちが立ち上がり、変化を求めなければ、その結果は何十年も続き、平和には手が届かないままでしょう」と続けました。
平和と安全保障の問題への女性の完全かつ有意義な参加を確保するために長年にわたって取り組みがなされてきたにもかかわらず、政治的・軍事的権力および紛争をめぐる意思決定は、依然として圧倒的に男性が支配しています。女性が参加することで、平和協定はより長続きし、よりよく実施されるという研究結果が出ているにもかかわらず、2023年の和平プロセスにおける交渉者のうち、女性はわずか9.6%を占めているだけでした。
たとえばイエメンでは、女性主導の交渉の結果、市民が水源を安全に利用できるようになりました。スーダンでは、49の女性主導の団体が、より包括的な和平プロセスを推進しています。しかし、このような努力は、正式な和平交渉ではほとんど支持されていなかったり、認められなかったりしています。
報告書で指摘されている女性・平和・安全保障(WPS)のコミットメントを実現するための重要な課題のひとつは、深刻な資金不足です。2023年、世界の軍事費は過去最高の2兆4,400億ドルに達しました。これとは対照的に、女性の権利を支援する組織や運動の資金は不足し続けており、年平均で援助総額のわずか0.3%を占めているにすぎません。また、ジェンダーに基づく暴力の防止と対応への投資は、全人道援助支出の1%にも満たないのです。
2025年、世界はすべての人のためのジェンダーの平等と人権の促進を目的とした重要な世界レベルの行動に関する一連の記念日を迎えます。189カ国が採択した女性の権利についての最も先見的な青写真である北京行動綱領の30周年はその最たるものです。本報告書は、大胆な政治的行動と資金提供の拡大を通じてのみ、平和と安全保障における女性の平等で有意義な参加が現実のものとなると結論づけています。
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会