COP29:第2週目の交渉が始まった今、ジェンダー平等のために何が問われているのか
2024年11月28日
2024年11月18日付
アゼルバイジャンのバクーで開催されている第29回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP29)が2週目に入り、世界のメディアは、6万5千人の参加登録者数を誇る過去2番目の規模のCOPになる可能性、ブラジルの大胆な排出削減の約束、気候変動への適応と緩和努力のための裕福な国による気候変動資金の増額を求める途上国からの新たな要請などにスポットライトを当てています。
しかし、ジェンダー平等については何が語られたでしょうか?あまり多くはありません。それでも、今回のCOPの成果は女性と少女にとって重要なものです。ここでは、第2週目のキックオフに向けて注目すべき5つの重要なプロセスを紹介します。
1. 女性の参加は必要なレベルに達していない
締約国代表団の40%が女性であるとの速報値が発表されるなど、登録確認者数ではこれまでで最もジェンダーバランスのとれたCOPとなりましたが、最高幹部レベルの代表については、そうではありません。開幕部分では、78人の政府首脳のうち女性の発言者はわずか8人で、気候変動が女性に与える影響に言及した首脳はわずか4人でした。
2. ジェンダー平等は交渉段階で依然として膠着状態にある
先進国と途上国の間の地政学的な隔たりが、ジェンダー平等などの問題を後回しにしています。交渉は膠着状態にあり、気候変動資金やキャパシティ・ビルディングなどの問題でコンセンサスが得られていないために、女性の権利やエンパワーメントに関する具体的な文言が固定されておらず、ジェンダー平等に焦点を当てる時間がますます少なくなっています。
3. ジェンダー平等・平和構築・気候変動対策の相互関連性は、ほとんど見過ごされている
気候変動に対する強じん性と紛争予防の取り組みをリードする女性たちは、「女性、平和、安全保障」のアジェンダが、気候変動資金をよりジェンダーに対応し、平和に配慮したものに変える可能性があることを強調しました。しかし、これらの重要な問題の相互関連性にはほとんど注意が払われていません。
4. ケアエコノミーを「公正な移行(Just Transition)」計画に組み込む
それが保たれる保証はまだないものの、突破口となったのは、公正な移行に関する成果文書草案に、有償・無償を問わずケア労働が盛り込まれたことです。同文書は、気候変動による資源の不足により女性と少女が無償のケア労働に費やす時間が増加するためケア経済が気候変動対策にとって極めて重要な部分であること、また、気候変動政策はこの問題に対処しなければならないことを認めています。同時に、公正な移行は、ほとんどが男性によって占められている「グリーンな仕事」に就くのに求められるSTEM等のスキルにおけるジェンダー格差を認識し、対処しているものでなければなりません。この重要なポイントが最終文書に盛り込まれるかどうかはまだわかりません。
5. ジェンダーに対応した気候変動資金をめぐる不確実性
気候変動資金に関する決定草案には、ジェンダーに関する記述が入っています。しかし、これまでの議論では、女性が気候変動対策の最前線にいるにもかかわらず、ジェンダーに対応した行動をとることの必要性が十分に反映されておらず、それがトレードオフされる恐れがあります。第2週では、気候変動対策の最前線に立つ女性主導の草の根組織やフェミニスト・グループが利用しやすいジェンダー対応型気候変動資金を明確に推進する必要があります。
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