マリにおける女性性器切除(FGM):致命的な伝統を終わらせるための闘い

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2025年2月12日

2025年2月3日付

「母は “切除者 ”で、私は家族に伝わるその習慣とともに暮らしていましたから、それが普通のことだと思い込んでいました。ある日、母は数人の少女を切除し、そのうちの一人が出血多量で亡くなりました」と、女性器切除施術者の母を持つシアカ・トラオレさんは語ります。トラオレさんは、女性器切除はマリの少女たちにとって普通の通過儀礼だと思って育ちました.....その日までは。

今日、トラオレさんは熱心な提唱者として、この慣習を終わらせるためのキャンペーンを展開しています。

シアカ・トラオレさんは、母親が女性性器切除の施術者だったため、女性性器切除はマリの少女たちにとって普通の通過儀礼だと思って育ちました。現在、彼は熱心な提唱者として、この慣習を終わらせるためのキャンペーンを行っています。
写真: UN Women/Kalifa Daouda Keita.

女性器切除(FGM): それは明らかな人権侵害

公式記録によると、マリでは15歳から49歳までの女性の89%が女性器切除を受けています。現地では、この慣習はしばしば単に「切除」と呼ばれています。

女性器切除(FGM)は有害な伝統的慣習であり、女性と少女に対する暴力の一形態です。医療以外の理由で、女性の外性器の一部または全部を切除したり、女性器官を傷つけたりするすべての施術を指します

マリ、女性器切除施術者にとって安全な逃げ場となっている

女性性器切除は世界的な問題です。毎年、世界中で200万人以上の少女が女性器切除を経験しており、その多くは5歳の誕生日を迎える前、時には生まれて数日以内に経験しています。

この慣習はアフリカで最も広まっており、1億4,400万人の女性と少女が女性器を切除されています。 多くの国には、女性器切除を禁止する国内法がまだありません。

マリはその典型で、この慣習を明確に禁止する国内法がない、とトラオレさんは言います。

「私たちはマリ政府に、この慣習を禁止する法律を制定するよう要請しました。それ以来、私たちは政治家たちがこの慣習を禁止する法律の草案を作成する手助けをしてきました」とトラオレは語り、彼ら提唱者たちはまだ法律の成立を待っているところだと付け加えました。

女性器切除を禁止する法律がないため、女性器切除の加害者たちは完全に免責されています。さらに、近隣諸国が女性性器切除を禁止する法律を可決したため、マリは加害者にとっての逃げ場であるとの評判を得てしまっています。

「ブルキナファソ、コートジボワール、ギニア、ニジェールといった私たちの周辺の国々は、この慣習を禁止する法律を可決しました。しかし、私たちは(女性器切除の)プロだと言われているので、人々は自国を離れ、ここマリにやって来て自分の子どもの切除をするのです」とトラオレさんは説明します。

「ここで切除を受けるためにヨーロッパから来る人さえいます。」

女性器切除がもたらす結果: 生存者が語る

女性器切除には健康上の利点はありません。女性器切除は、深刻な肉体的、精神的、心理的被害を被害者に与えます。

知らずに切除され、結婚式の日に劇的な結末を迎えた女性の匿名の証言は、この慣習によって引き起こされる静かな苦しみと打ち砕かれた人生を浮き彫りにしています: 

「私は切除されましたが、結婚するまでそのことを知りませんでした。両親は私を知らない男性と結婚させました。私はまだ15歳で、初夜に彼は私とセックスできませんでした。彼は私を魔女呼ばわりし、私の人生から立ち去り、二度と戻って来ることはありませんでした」と、マリのある女性が、匿名を条件に自身の体験を語ってくれました。

この女性は、医療支援を受けることのできた幸運な数人のうちの一人でした。女性器切除の直接的な結果には、ひどい出血、感染、衰弱させるほどの痛みなどがありますが、それは多くの女性や少女にとって、長期的な健康リスク、さらには死に至ることさえあるものです。

匿名希望のマリ人女性がUN Womenの取材に応じ、知らずに切除された経験を語りました。写真 UN Women/Kalifa Daouda Keita.

女性器切除を止めるために何ができるか

法律だけでは女性器切除を止めることはできません。この慣習を後押ししている、深く根付いた社会的・文化的規範が大きな障害となっています。女性性器切除は、通過儀礼として不可欠なものと認識されているため、女性性器切除を疑問視することは、地域社会で強い抵抗を呼び起こすのです。

女性性器切除を予防し、根絶するためには、社会全体としてのアプローチが必要で、それには、法律の施行、伝統的・宗教的指導者との協力、医療専門家の訓練と啓発、そして、そうした慣習を拒否するように、地域社会の少女や女性に力を与えると同時に男性や少年たちと協働することも含まれます。

女性器切除のない未来は、すべての人々にとってより良い未来なのです。

(原文)

Female genital mutilation in Mali: The fight to end a deadly tradition  | UN Women – Headquarters

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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