HeForSheの2024年活動総括
2025年2月19日

HeForSheは2024年、10周年を迎えました。このムーブメントは、あらゆるジェンダーの人々がつながってジェンダー平等を推進するという、シンプルでありながらも力強い呼びかけで2014年に始まりました。過去10年間で、HeForSheは変化に向けて世界的な影響を持つようになり、個人をエンパワーし、リーダーを鼓舞し、世界中のコミュニティで変革への活動を育ててきました。
2024年の締めくくりにあたり、2024年、そして過去10年間に達成した成果を振り返ります。革新的な調査からアライアンスへの新メンバーの歓迎まで、ともに成し遂げてきた進歩に敬意を表し、すべての人にとってより平等な世界をつくるという決意を新たにします。
過去10年にわたり、HeForSheのアドボカシー活動は、男性や少年を巻き込んで差別的な態度や振る舞いに異議を唱え、変革を促すことでジェンダー平等と望ましい社会規範を推進し、それによって社会規範を変えるというUN Womenのより大きな戦略的目標に貢献してきました。HeForSheムーブメントは200万人を超える地域の活動家をつなぎ、オンラインと対面を合わせて30億を超える会話を生み出しました。直接的なアドボカシーキャンペーンを通して、HeForSheのメッセージは10億人以上に届いています。
1月:
新年の始まりに、HeForSheはコメディの領域に進出し、性差別的なユーモアをなくすことを目的としてソーシャルメディアに関する #ChangeThePunchlineキャンペーンを世界的に展開しました。7人の男性コメディアンが率先して、自身のプラットフォームを使い、ユーモアを通してジェンダー平等、包摂性、尊重を呼びかけました。このキャンペーンでコメディにおける有害な固定観念に異議を唱えることで、ユーモアが社会の変化とジェンダー平等を進めるための力強い手段になりうることを示しました。この革新的なアプローチによる反響は大きく、投稿への反応数は以前のキャンペーンの2.6倍となって、1,120万人のユーザーに届き、ソーシャルメディアチャンネル全体で2,020万回の視聴数を獲得しました。
2月:
イコールケアデーフェスティバルのパートナーの一員であるUN Womenドイツ国内委員会が、国際的な「イコールケアデー」でのバーチャルパネルディスカッションを主催しました。UN Womenドイツ国内委員会の理事であるノラ・テウマさんが、HeForSheのパートナーシップ管理コンサルタントのフランチェスコ・メローラさん、HeForSheドイツの提唱者のビンセント・イマヌエルさんとともに洞察に富んだ議論を展開しました。男性とケアワークに関する重要な話題を掘り下げ、男性がケアワークを公平に担うことを妨げている構造的、個人的な障壁について探究しました。
3月:
HeForSheの取り組みの一環として、UN WomenはFTSE上位100社のドメスティックバイオレンスや虐待を経験した従業員への支援方法に関する革新的な調査結果を公表しました。ボーダフォン財団の支援を受けたこの報告書「小さな一歩、大きな変化」では、職場での支援方針の現状を明らかにし、さらに行動が必要な分野はないかを探っています。
さらに、HeForSheへの支援としてチームルイス財団が実施した調査によって紛争、貧困、気候変動、新型コロナウイルス感染症の影響が世界中でジェンダー平等の進展を妨げていることが明らかになりました。こうした調査結果から、変化を途切れさせないためには継続的なかかわりと革新的な解決策が必要であることが浮き彫りになりました。
4月:
ニューヨーク大学スターン経営大学院のジェンダー平等会議に、ジェンダー平等に関する対話と行動の推進に努めている学生と提唱者たちが集まりました。学生が主催したこの会議では、UN Womenとニューヨーク大学スターン経営大学院のような学術機関との協力の重要性が強調されました。HeForSheのグローバル責任者のヴェスナ・ジャリク氏が、社会の変化を推進する上でジェンダー主流化と若者の参画が果たす重要な役割に焦点を当てた基調講演を行いました。こうした連携は、未来のリーダーに力を与え、より公平な世界に向けた取り組みを拡大する大切な役割を果たしています。
5月:
UN Womenは、HeForSheアライアンスの新たなメンバーとしてアフリカ開発銀行(AfDB)を迎えました。世界におけるジェンダー平等を目指すという使命において、重要な節目になりました。アキンウミ・アデシナAfDB総裁がHeForSheチャンピオンに就任し、この連携によってジェンダー平等の推進にあたって国際金融機関との協力がもたらす影響力が明らかになりました。AfDBは、ジェンダー評価の実施、プロジェクト受益者間のジェンダーバランスの確保、ジェンダーに対応した指標の使用を通して、ジェンダーへの配慮を投資プロジェクトに組み込み込むと約束しました。
6月:
HeForSheアライアンスのメンバーであるHCLテクノロジーズ社(HCLTech)が#ShePowersProgressキャンペーンを立ち上げ、テクノロジー分野での多様性とジェンダー平等への取り組みを強化しました。HCLテクノロジーズ社はこの取り組みを通して、女性リーダーたちの活躍を紹介し、テクノロジー業界における女性の平等なキャリア機会を促進しています。包摂的な職場づくりをし、業界内のジェンダーバランスを提唱することで、HCLTechはジェンダー平等に向けて企業のリーダーシップが意義ある前進をもたらすことができるということを示しました。
7月:
HeForSheアライアンスのメンバーである MTNグループが初めての「ピープルレポート」を出版し、包摂的な職場文化を育てるための企業の取り組みを公表しました。この報告書では、MTNのジェンダーバランスの達成に関する進捗状況や、メンター制度、リーダーシップ開発、包摂的な方針を通した女性のエンパワーメントへの取り組みを紹介しています。MTNグループは、多様性と包摂性を優先することで、企業文化が意義ある変化を促し、ジェンダー平等を推進するHeForSheの使命を支えることができるということを例証しています。
8月:
HeForSheアライアンスは、職場でのジェンダー平等実現に向けて男性の立場や影響力を生かすためのアライシッププログラムを構築し、維持するための実践的なリソースとして男性アライシップツールキットを作成しました。男性に対して、職場でのジェンダー平等を積極的に支持するよう働きかける実用的な手引きです。アライシップを育てるためのツールを組織に提供することで、より包摂的で公平な職場づくりを推進し続けます。
9月:
HeForSheは10周年を迎え、2024 HeForSheサミットを開催しました。革新的なHeForSheの取り組みの10周年を記念する画期的なイベントになりました。このサミットは、第79回国連総会ハイレベルウィークと「未来サミット」に合わせて開催され、2030年までに持続可能な開発目標を達成するためにジェンダー平等を進め、世界的な取り組みを強化するための重要な場になりました。
HeForSheは、2024 HeForSheインパクトレポートを発表し、ジェンダー平等の推進においてアライアンスチャンピオンたちが達成したすばらしい進展を紹介しました。このレポートは、協調的な行動が世界中の女性と少女に革新的な変化をもたらしたと強調しています。
HeForSheは、このアライアンスに新しく加わる4名の世界のリーダーを発表しました。スペインのペドロ・サンチェス首相、グローバルシチズンのヒュー・エバンスCEO兼共同設立者、アフリカ開発銀行のアキンウミ・アデシナ総裁、モーベンバーのミシェル・テリーCEOです。新しいチャンピオンの皆さんは、それぞれの分野において平等に関する新たな基準をつくると約束し、世界中で女性と少女が平等な機会を得られるようにするというHeForSheの使命を強化します。
10月:
HeForSheアライアンスのメンバーである国際テニス連盟(ITF)が、UN Women HeForSheと協力して制作した力強いキャンペーン動画でジェンダー平等に対する決意を表明しました。動画にはITFのデービッド・ハガティ会長とテニス界のスター選手が出演し、スポーツをはじめとするさまざまな分野における女性の平等な機会の重要性を訴えています。ジェンダー平等の提唱にテニスという世界的なプラットフォームを活用することで、スポーツ団体が文化的変化を促し、より包摂的な未来のきっかけになりうるということを示しています。
11月:
HeForSheは、ジェンダーに基づく暴力撤廃のためのUNiTEキャンペーンに参加しました。2024年WEPsのディープダイブウェビナーシリーズの一環として、UN Womenは女性に対する暴力に正面から取り組む民間企業:新たな実践例と題するウェビナーに民間企業のパートナーを招待しました。このイベントでは、女性と少女に対する暴力に対処する際に企業が果たす重要な役割が強調されました。毎年恒例の16日間のジェンダーに基づく暴力撤廃キャンペーン期間中に開催され、この世界的な危機に対処するための民間企業による革新的なアプローチが紹介されました。講演者の一人であるボーダフォン財団のリサ・フェルトン代表は、ドメスティックバイオレンスに立ち向かうにあたって、テクノロジーと職場の方針が果たす革新的な役割を強調しました。
12月:
HeForSheアライアンスのメンバーである英国警察は、英国警察におけるジェンダー平等: 第6回年次報告書を発表しました。この報告書は、英国警察全体における進展を反映しているだけでなく、平等を追求するにあたって揺らぐことない大胆な姿勢が極めて重要であることを強調しています。この報告書に記されているデータと優れた取り組みの例から、有意義な進展が成されたことが分かります。
(翻訳者:早乙女由紀)
(原文)
https://www.heforshe.org/en/heforshe-wrapped-2024
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会