小さくても強くならなければならないとき (トルコ)
2025年3月20日
2024年9月26日付

2024年3月、女性に対する暴力撤廃国連信託基金(国連信託基金)とUN Womenトルコ事務所 は、ガジアンテップにある、難民の女性と少女を支援するために最前線で活動する女性主導の小さな組織、アマル・ヒーリング・アンド・アドボカシー・センター(AHAC)を訪問しました。AHACは、国連信託基金第26回助成金交付先選定で選ばれた24のパートナー組織のひとつです。暴力を経験したシリアの女性弁護士アマル・アル・ナシンさんが2014年に設立したAHACのスタッフはわずか10人ですが、全員が難民としての経験をしています。2011年以来、トルコにはシリアから逃れた約360万人が難民登録されています。[1]難民、特に暴力を経験した難民のような最も支援を必要としている人々が必要なリソースを利用できないことが多く、AHACのような組織は、そうした人々にとって欠かせない支援のメカニズムになっています。
AHACの活動
AHACが提供する専門的なサービスには、紹介、ホットライン、法的支援、心理カウンセリング、トルコでの生活に関するクラスなどがありますが、これらはすべてシリア難民が必要としているものです。これまでに約150人の女性と少女に心理的サポートを提供してきました。

AHACで案件の管理を担当するレシット・クルデさんは、「私はひと月に約100件の案件を担当します。私たちの能力を超えるような依頼がきたときは、地域のパートナーが提供する外部サービスを紹介します」と言います。
クルデさんの隣のオフィスでは、弁護士のベスマ・メハメルシクナさんとジャラ・ラハルサオドさんが、人種差別や政府サービスへの限定的なアクセスなど、難民が直面する課題について話してくれました。
2人の弁護士は暴力事案に法的手段を提供し、トルコにおける女性の権利について女性たちに説明します。国連信託基金の訪問中も、事務所の電話は鳴りっぱなしでした。
別の部屋では、心理学者のアヤ・イスキフォグルさんと心理支援担当のラザン・アル・アワッドさんが、信頼関係や感情的なつながりの構築やアイデンティティの共有など、暴力の経験者をどのように支援しているかについて話してくれました。2人とも、支援を求める若い女性たちから報告されるハラスメントや感情的な恐喝、デジタル暴力の程度がひどくなっていると言います。[2] このためAHACは、シリアの若者がトルコのどこで助けを求めることができるかを確実に知ってもらえるようにデジタルキャンペーンを拡大しました。
効果とレジリエンス(強じん性)を強化するためのつながり

こちらから動画もご覧いただけます☞https://untf.unwomen.org/sites/default/files/2024-10/ezgif.com-resize-2.gif?t=1727794244
トルコへのシリア人女性の入国が続いていること、そしてすでに定住している人々が直面している課題は、避難の影響が続いていることを示しています。AHACには日々膨大な数の依頼が寄せられており、危機の直接的な結果としての避難の影響が13年経った今でも続いていることを明確に表しています。こうした支援をAHAC単独ではしない、またできないことは明白です。そのため、ガジアンテップ滞在中、国連信託基金はAHACと、トルコで女性の権利と市民社会のパートナー組織の活動を長年推進してきたUN Womenトルコ事務所とが対話を深める機会を提供しました。このつながりによって、AHACも共通のパートナーを見つけることができました。
UN Womenトルコ事務所は、欧州連合が資金を提供する6年間(2021~2027)のプロジェクト「ジェンダー平等のための強力な市民空間」の下で、女性と少女に対する暴力撤廃に関するテーマ別のプロジェクト、経済的なエンパワーメント、小規模助成金、データ収集、エビデンスに基づくアドボカシーと災害リスク管理に関する能力開発、特に社会から疎外された人々による活動の構築など、さまざまな形で技術的、財政的支援を行っています。
UN Womenトルコ事務所のプログラム分析官であるイルマク・イズナン・シュナールさんは、次のように言います。「市民社会と女性の運動は、UN Womenにとって重要な戦略的パートナーです。UN Womenは、ジェンダー平等や女性のエンパワーメントを推進する市民社会組織に対して、直接的で柔軟かつ長期的な資金を確保し、提供することに注力しています」。
シリア難民を支援する複数の非営利団体が入居するビルにある新しいオフィスで、AHACは紹介サービスのネットワークを有機的に拡大しています。自らもシリア難民であるスタッフ一人ひとりが、支援サービスを充実させるために他の組織とのつながりを構築しています。国連信託基金が小規模助成金制度を導入した2014年以来、女性が主導する女性の権利を守る小規模な組織は、地域レベルで女性と少女に人生を変えるような影響をもたらしてきました。AHACのような小規模組織への投資は、特に社会から疎外され、支援が届きにくい女性と少女の権利と安全に、状況に応じた取り組みや適応を通じて投資することを意味します。
組織のレジリエンスを強化するための国連信託基金のアプローチについては、こちらをご覧ください。
[1]https://www.unhcr.org/tr/en/refugees-and-asylum-seekers-in-turkey
[2]テクノロジーによって助長されるジェンダーに基づく暴力として知られている。
(翻訳者:結城直美)
(原文)
When Small Must Become Mighty | UN Women – United Nations Trust Fund to End Violence against Women
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会