「現代で最も深刻な人道危機のひとつ」-ロシアの全面戦争から3年、ウクライナの女性たちはいかに支え合っているか

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2025年3月26日

2025年1月31日付

ロシアのウクライナ全面侵攻が4年目を迎えようとしている今、IOM(国際移住機関)のデータによれば、ウクライナ全土で170万人以上の女性と少女が依然として国内避難民となっています。戦争は、ウクライナの370万人の国内避難民すべてに壊滅的な打撃を与えており、また、女性と少女にジェンダー特有の負担を課しています。

ハリナ・スキパルスカさん 写真 UN Women/Dmytro Korenev

ウクライナ戦争の女性への影響

「今も続くロシアによるウクライナ侵攻は、現代で最も深刻な人道危機のひとつを引き起こし、不均衡に女性と少女に影響を及ぼしています」と、ウクライナ公衆衛生財団のエグゼクティブ・ディレクターであり、Healthright Internationalウクライナ事務所のカントリー・ディレクターであるハリナ・スキパルスカさんは言います。

また、「多くの女性が母親として、またケアテイカーとして重荷を背負っている一方で、難民として避難を余儀なくされたり、地域のボランティアや復興活動のリーダーとして積極的な役割を担っている女性もいます」と彼女は語りました。

クリスティナ・キットさん  写真:JurFem提供

ウクライナにおけるジェンダーに基づく暴力

国連人道問題調整事務所(UN OCHA)は2024年、ウクライナの250万人(主に女性と少女)がジェンダーに基づく暴力防止に関連するサービスを必要としていると推定しました。

こうしたサービスを展開するため、UN Womenはスキパルスカさんの財団と、戦争の最前線で女性と少女を支援するSafeWomenHUBプロジェクトに技術支援を行っています。2022年4月以来、同プロジェクトの心理学者、ソーシャルワーカー、法律専門家は、1万9500人の女性と少女に4万6000件以上の相談とサービスを提供し、ジェンダーに基づく暴力や家庭内暴力、紛争に関連した性的暴力のサバイバーを支援してきました。

スキパルスカさんは、SafeWomenHUBのプラットフォームでサービスを受けた女性たちの体験談を紹介してくれました。その中には、「圧倒的な恐怖を感じることなく、バスの中で男性の隣に座ることができるようになった」という女性や、「軍服を見ても不安になることなく、軍の病院にいる父親を見舞うことができるようになった」という女性もいました。

「私たちがサバイバーから受け取るフィードバックは、私たちの活動が変革的な影響を与えていることを強調しています」とスキパルスカさんは指摘しました。「女性たちは、睡眠が改善され、不安や悪夢が減少し、社会的に関与する能力が回復したと報告しています」。

UN Womenはまた、ウクライナで最初の女性弁護士団体のひとつであるJurFem(ウクライナ女性弁護士協会)のような地元の団体と協力し、暴力のサバイバーに法的支援を提供し、性的暴力をめぐるウクライナの法的枠組みを改革していています。

「戦争とは関係のないジェンダーに基づく暴力や性的暴力について語るとき、この分野にはまだ十分なリソースや支援がありません」とJurFemのクリスティナ・キット会長は言います。「現在、ほとんどのリソースは戦争に集中しており、それは私たちの課題を考えれば当然のことです。しかし今日、私たちは、戦争に関連しない暴力に取り組む団体を支援し、司法へのアクセスを発展させ、女性一般を支援する必要もあります。」

JerFemは、ウクライナにおける性暴力事件の取り扱いを体系だって変えていくべきだと提唱しています。

「性暴力の場合、人々は法執行機関に連絡したがらず、自分たちだけで問題を解決したがることがわかりました。彼らは法執行機関やその仕事の有効性を信用していないのです」とキットさんは言います。「私たちの支援アプローチは、法執行システムに対する信頼を築き、人々に通報の重要性を示し、彼らがどこでこの助けを得ることができるか理解するのを手助けするものへと変わってきました」。

カテリーナ・ジュチェニアさん 写真提供:Professionals of the Future

ウクライナにおける女性主導のコミュニティ支援

戦争は、性的暴力やジェンダーに基づく暴力を受けた女性サバイバーたちのニーズを増幅させただけでなく、仕事や生計を諦めざるを得なかった女性たちに悲惨な経済的結果をもたらしました。

カテリーナ・ジュチェニアさんは、Happy Monday(キャリア形成促進のためのプラットフォーム)のプログラム・マネージャーとして、キャリアを再建する避難民女性の支援に取り組んでいます。UN Womenの支援を受けたHappy MondayのWomen for the Futureプロジェクトは、2022年以来、女性が経済的自立を回復できるような高収入の仕事を見つけることを目的とした雇用プログラムを通じて、74,000人以上の女性を支援してきました。

「私たちは毎日、全面戦争によって引き起こされる肉体的・精神的な重荷を感じている女性たちと協働しています」とジュチェニアさんは述べました。

「私たちは、親族が最前線にいる人たちや、家族のために責任を負っている人たち、家族のニーズに応えるために職業能力を伸ばそうとしている人たちを支援しています。それはとても大変なことですが、同時に、私たちにとって、これから他の人を助けられる人材を支援しようというモチベーションにもなっています」と、ジュチェニアさんは語りました。

(原文)
‘One of the most profound humanitarian crises of our time’ – How Ukrainian women support one another after three years of Russia’s full-scale war | UN Women – Headquarters

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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