南スーダン 気候の影響と暴力の増加にさらされる女性たち
2025年3月28日
2024年11月19日付

イエイ川郡ムグォ・パヤムでは、今年の大雨でウィニーさんの家の農場の農作物が流され、背の高い草が生い茂りました。翌日に備えて用心しなければならないことをウィニーさんは知っています。
「背の高い草が、道沿いで女性を襲いレイプする男たちを隠してしまうのです」と彼女は説明します。
ジェンダーに基づく暴力の増加
人口1,170万人[1]の南スーダンは、水と経済をナイル川に大きく依存しています。人口の95%が農業、漁業、牧畜に依存しており[2]、安定した水の供給と効果的な排水システムは不可欠です。しかし、長年にわたる政情不安、予測不可能な天候、蔓延する風土病が深刻な食糧不足をもたらし、ひいては女性と少女に対する暴力を悪化させています。
森林伐採によって、女性たちは薪や水を求めて遠くまで行かざるを得なくなり、暴力にさらされる機会も増えています。「茂みで他の男と会っていると夫に言いがかりをつけられ、殴られたりレイプされたりする女性もいます」とウィニーさんは説明します。
一方、干ばつによって、母親が食料や水を探すのを手伝うために、少女たちは学校に通えなくなり、それにより、またしてもリスクが増えているとウィニーさんは言います。
Women for Women International (WfWI)のイニシアティブ

ウィニーさんは、Women for Changeおよび南スーダン法律協会と協力してWomen for Women International(WfWI)が主導する、南スーダンの不安定な状況における女性と少女に対する暴力に対処するためのプログラムに参加している最初の247人の女性の一人です。「女性に対する暴力撤廃国連信託基金」から資金提供を受けているこのイニシアティブは、最初の1年間で、すでに避難民を含む約500人の地域住民を巻き込み、女性が気候の影響に適応し、その権利を守るための地域主導の活動に取り組んできました。
WfWIは、その初年度、訓練、資源、支援を提供することによって経済的自立と社会変革を促進することを目的とした「より強い女性、より強い国」(SWSN)プログラム」に、国内避難民の女性や障害を持ちながら生活している女性など、最も所得の低いグループの女性たちの参加を得ました。これまでのところ、SWSNは以下のような分野で参加者たちをエンパワーしています。
- 情報トレーニング:女性の仕事の価値、健康教育、権利と意思決定、貯蓄の利点を含む金融リテラシーおよび村の貯蓄貸付組合(VSLA)の設立と運営方法を含むグループ形成などの重要なモジュール。
- スキル育成:数字、ビジネススキル、選択した職業のスキル。職業訓練では、ムグウォの女性にとって最も経済的に実行可能な職業として、農業とパン作りに焦点が当てられた。
- リソースの提供:毎月の現金支給、選択した職業を追求するためのリソース、医療サービスや法律サービスの紹介、貯蓄グループへのアクセスなど。
- ネットワークとのつながり:地元の女性ネットワーク、グローバルな支援者、これまでの本プログラム卒業生を含む他の女性たちとのつながりなどを通じて支援を共有。
さらに、女性の夫や親族の男性を対象とした「男性参加プログラム」では、女性の権利、家庭内のパワー・ダイナミクス、ドメスティック・バイオレンス、家計の共同管理方法に関する知識を提供しています。最初に登録した250人の男性の中には、16人のコミュニティ・リーダーと13人の宗教指導者がいました。
気候変動への適応
気候危機の影響について、Women for Women International (WfWI)南スーダン・カントリー・ディレクターのマリアンヌ・カジョカヤ氏はこう語りました。「私たちのプログラムを実施する上で最大の課題のひとつは、女性を私たちのトレーニングに参加させることです」。
WfWIが活動するイエイ郡、ジュバ郡、テレケカ郡のような地域では、コミュ ニティは、道路や橋を定期的に破壊してしまう洪水や、人々が家を追われることになりかねない予測不可能な天候に直面しています。
こうした課題に対し、WfWIは次のような取り組みを行ってきました。
- コミュニティ対するトレーニングやサービス
- スタッフやトレーナーへの耐候性の備品供与
- 薪を入手しやすくするため、研修センター近くに植樹
- 有機肥料、輪作、家庭菜園などの有益な農業慣行の促進

貧困、暴力、気候危機の交差点
環境災害や環境劣化は、家庭における女性の負担を増大させ、女性や少女の識字率低下につながっています。その一方で、政治的不確実性が親密なパートナーからの暴力、児童婚、強制結婚の割合を増加させています。
「気候変動に対して最も脆弱で、同時に気候危機を引き起こす原因にはなっていないコミュニティが、紛争や経済的不安定によって最も大きな打撃を受けることが多いのです」とマリアンヌさんは語りました。「このようなリスクと脆弱性の組み合わせは、生活だけでなく、こうした課題の矢面に立つ女性の命をも脅かすのです」。
南スーダンには多くの複雑な課題がありますが、WfWIとそのパートナーは、女性たちが日々の生活の中で安全とエンパワーメントを見出すことができるよう、女性たちとともに活動を続けています。
[1] https://data.who.int/countries/728
[2] https://www.fao.org/south-sudan/fao-in-south-sudan/south-sudan-at-a-glance/ar/
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会