毎日の習慣を変えると大きな変化が生まれます
2019年6月23日
2019/4/18
セルビアで都市プランナーをしているミレナ・ジンドヴィクさんは、ジェンダー専門家でもありセルビア女性建築家協会の会員でもあります。UN Womenの支援を受け、ジンドヴィクさんは、ゴミの発生と処理における女性の役割を把握するために、セルビアの家庭で現在ゴミがどのように処理されているかを調査しました。その調査結果を踏まえて、UN Womenは、ゴミ処理と気候変動対策について女性と地域住民の意識を高めるためにターゲットを絞ったキャンペーンを展開する予定です。
ジェンダー、都市計画、気候変動対策はどのように関係していますか。
都市計画は長い間、ジェンダーに中立な分野だと考えらえてきました。しかし近年、都市空間は、ジェンダーに中立ではないとする認識が世界中で広まっています。都市空間は、ジェンダー視点から見るとかなり偏りがありますが、ジェンダー主流化の観点を取り入れれば、より包摂的で安全な、すべての人にとってより良いものにすることができます。
まず、都市プランナーと都市デザイナーは、都市空間を利用するすべての人のことを考える必要があります。(現状では)都市空間へのアクセスがない可能性がある女性や子ども、障がい者など、すべての人です。
また、都市は環境汚染源の最たるもののひとつですから、その開発は気候変動と密接に関わっています。こうしたことすべてを全体的にとらえることが、これからの都市計画、都市デザイン分野の正しい方向性だと思います。
都市計画においてジェンダーと気候変動対策を中心に考えるとはどういうことですか。
ジェンダーの視点と気候変動対策を都市計画に取り入れる簡単な例を挙げると、緑を増やすということです。木陰ができて気温が下がると、より快適な都市空間が生まれます。木々が建物に差し込む日差しをやわらげるので、空調に必要なエネルギーを減らすことができます。
緑と木陰がそこかしこにある都市空間をつくるときには、同時にその空間を使う人たちにとって快適なものにする必要があります。木陰の美しい場所であれば、腰を下ろしたくなります。ベンチを考えるときには、それを使う人のことを考えます。例えば、お年寄りには背もたれがあった方がいいかもしれません。
子どもや子連れの母親といった、その都市空間でひとときを過ごす(女性)たちのこと(も)考え(なければなりません)。このように使う人それぞれの特有のニーズを考慮に入れます。こうしてあらゆることを考慮してデザインしていくと、すべての人を受け入れる包摂的な空間をつくることができます。
セルビアのゴミ処理では女性はどのように関わっていますか。
ゴミのほとんどは食品や食品パッケージなど料理から出たゴミで、料理の大半は女性が担っているということが以前の調査からわかっています。また、ゴミを捨てるのも女性です。
調査でつかんだデータで最も重要なのは、すべての家庭において女性が最大の変化の推進役であるということです。約70パーセントの女性が、家庭のゴミ処理方法を決めるのは自分だと回答しています。現在、家庭の中心にいるのは女性なので、女性を取り込んで、啓発キャンペーンのターゲットを女性に絞り込むことで、日々のゴミ処理を変えることができます。
家庭ゴミの処理で一番の課題は何ですか。
動機づけです。インフラの状況や国の計画はさておき、しかるべき処理方法や気候変動対策の重要性について説明しなければなりません。まず自分の家庭からゴミの処理方法を変えていくように動機づけをする必要があります。
インフラが整備されていないことも大きな課題です。ゴミ処理のインフラは、未整備か現在整備中です。皆そのことを知っているので、自分では行動を起こそうとしません。国や社会がこの問題に十分に取り組んでいないと思っています。ですからゴミの量を減らすために一人ひとりに何ができるかを考えてもらうために、私たちは個々の習慣に目を向けてもらおうとしています。
個人レベルでできる気候変動対策にはどのようなものがありますか。
気候変動は現実のことで、現に進行しています。そのことを私たちは日々身体で感じています。大きな変化を待たずに、国や大企業が何か手を打ってくれるのを待っていないで、とにかく自分が行動するべきです。小さなことからで構いません。毎日の習慣を変えると大きな変化が生まれます。
使い捨てのプラスチックゴミを減らすなど、毎日できる簡単なことがあります。買い物には布製のバッグを持っていき、コーヒーは保温カップで飲み、水のボトルは使い捨てではないものを使いましょう。エアコンを使う時間を短くすれば環境保全につながるので、窓を開けたり、植物を増やしたりして、もっと自然を活かした方法で自宅や職場の気温を下げてみましょう。自宅に断熱材を使って、暖を取るのに必要なエネルギーを減らしましょう。徒歩での移動も環境保全のためにできることです。車を使う頻度を減らせば温室効果ガスの排出削減になるので、歩いて学校や職場へ通いましょう。ゴミを減らすために、女性や少女は(生理用ナプキンの代わりに)月経カップを使うといいでしょう。
(翻訳:高尾紀章・実務翻訳スクール)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会