UN Womenはベネズエラからの移民女性に対して公共サービスを保証
2019年10月13日
UN Womenは、コロンビアで政府や他の国連機関と共に、支援プログラム、国境移動許可カード、特別労働許可証(コロンビアでの滞在・労働を許可するもので、これまでに数千人の移民に対して発行された)に関わる活動をしています。
ベネズエラ国境沿いに位置するコロンビアの都市では、母親が信号待ちの車の間を歩いてコーヒーやスイーツを売る間、歩道では子どもたちが並んで待っている光景をよく目にします。彼女たちの多くはベネズエラからの移民ですが、これは近年のラテンアメリカの歴史においては最大規模の集団国外脱出です。これまでに400万人以上のベネズエラ人[1]が自国の切迫した経済状況、治安の悪さ、食料・医薬品・基本的なサービスの不足[2]から逃れてきました。
コロンビアで、UN Womenは、女性と少女に関する情報の登録管理を改善する活動を行い、ジェンダーに基づく暴力や性的搾取に対して迅速に対応する地域計画を提供し、移民女性の権利に関する市民の意識向上に取り組んでいます。
「仕事をしていると、言葉で[迫ってくる]人たちがいます。気分が悪くなります」と、ラ・グアヒーラ県のエントレリオスの町でコーヒーを売る、19歳のベネズエラからの移民者ジェニファー・ギディセ・ナベダさんは話します。
彼女は2018年7月に夫と二人の子どもと共にコロンビアにたどり着き、家族と共にある男性のアパートで暮らしていました。「その男性は失礼な態度をとるようになり、お金で私を誘ってきました。そうしてある日、彼は私に迫ってきたのです」。ナベダさんが断り続けても、彼はしつこく体に触れてきました。ナベダさんの家族は別の家に引っ越しましたが、ナベダさんがその男性のことを訴えることはありませんでした。
「[移民]女性は、そのジェンダーのため脆弱な立場にあります」と、ベネズエラ人弁護士であり、移民への支援と法的アドバイスを提供する¡De
Pana, que
sí!財団のリーダーでもあるサイラー・フィオリロさんは言います。「彼女たちは騙されて最後には売春婦になってしまうことが多いです。職場での嫌がらせや性的嫌がらせもあります。問題は、[訴えるために声をあげれば]国外退去になってしまうと彼女たちが思い込んでいることです。しかし、証拠文書がなければ訴える権利がないというわけではありません」。
コロンビアには126万人以上のベネズエラ人が住んでいます。コロンビアは移民者を温かく受け入れ、支援プログラム、国境移動許可カード、「ペルミソ・エスペシアル・デ・ペルマネンシア(PEP)」という特別労働許可証(コロンビアでの滞在・労働を許可するもので、これまでに数千人の移民に対して発行された)を導入しました。
コロンビア政府の最新のレポート[4]によると、770,975人のベネズエラ人が合法的地位にある[3]一方で、489,619人は「不法移民という地位(保護や緊急ケアサービスだけは受けることができるが、特に労働搾取や人身売買などの対象になりやすい)」にあります。
脆弱な立場にある移民女性を支援するために、2018年UN Womenはコロンビアの海岸沿いの都市において介入を始めました。まずラ・グアヒーラ県からはじめてバランキージャ、そしてカルタヘナへと介入を拡大してきました。これらの地域では、性的人身売買や性的搾取が増加しています。介入が実施されたことで、緊急支援が可能になり、ジェンダーに基づく暴力や性的搾取から逃れた人々に対するサービスに関する情報が提供され、サービス事業者の意識が向上しました。
リオアチャにあるヌエストラ・セニョーラ・デ・ロス・レメディオス病院の職員であるエルネスティーダ・ペニャランダ・ペレスさんは次のように述べています。「今の要求は私たちの許容量を超えています。例えば、法的に登録されたベネズエラ人の子どもたちの[体重・身長測定]も行うよう求められていますが、子どもの数は約1,000人にものぼります。これを実施するには新たに人を採用し、新たなリソースの確保が必要ですが、実現するための予算がありません。同じことが妊婦のケアでも起きています。保健機関に大きな影響が出ないような別の解決法が必要です」。
ラ・グアヒーラのオンブズマン事務所で女性とジェンダーの担当職員を務め、UM Womenプロジェクトにも参加しているカンデラリア・マルティネスさんは、「コロンビアの職員は、移民のニーズにどう対応するかについてはほとんどトレーニングを受けていません」と言います。そして、コロンビアの法律は、[移民]という地位にかかわらずサービスを提供し、女性の権利を保護することを公務員に義務づけているということを知らない職員もいます。カンデラリア・マルティネスさんは、移民が持つ権利に対する公務員とサービス事業者の意識向上に努めています。
注記
[1] ベネズエラ人の移民者と難民に関する調整政策(R4V)。 2019年6月6日
https://r4v.info/es/situations/platform
[2] 国連難民高等弁務官事務所(2019)。「ベネズエラの情勢」
https://www.acnur.org/situacion-en-venezuela.html
[3] 国連難民高等弁務官事務所(2019)。「ベネズエラの難民と移民」ポータルオペレショナル:難民と移民の状況。2月12日
https://r4v.info/es/situations/platform
[4] コロンビアでのベネズエラ人の現状 (2019)。コロンビア入国管理局。3月31日 https://www.eltiempo.com/uploads/files/2019/05/02/RADIOGRAFIA%20VENEZOLANOS%20EN%20COLOMBIA%20MARZO%202019.pdf
(翻訳者:武藤洋子)
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会